ユーカリ精油の効果・効能とは?毎日をもっと快適にする使い方も解説
ユーカリは代表的な精油の1つで、シャープで清涼感のある爽やかな香りが特徴です。呼吸器系や花粉症などの炎症に効力を発揮するのだとか。虫よけスプレーなどにも使われていて身近なアロマといえるでしょう。その一方で、赤ちゃん・ペットなどに対する利用上の注意事項などもあります。効能とあわせてチェックしましょう。
2022年10月27日更新
記事の目次
[1] ユーカリの精油はどんな植物から作られる?
そもそもアロマテラピーでは、蒸留・圧搾などの方法で植物から採取したエッセンスを精油として使います。
一度に採れる量はわずかですが、そのぶん、花や葉、樹脂などの成分を凝縮したパワーが詰まっているんです。
さて、ユーカリの精油はどのような植物から作られているのでしょうか。
ユーカリの基本情報
学名 | Eucalyptus (エウカリプトゥス)※品種により異なる |
和名 | ユーカリ |
科名 | フトモモ科 |
抽出部位 | 葉 |
主な産地 | オーストラリア、スペイン、中国など |
1000種類以上の品種がある
ユーカリは高さ50m以上にも育つ常緑高木で、成長が早い植物です。
一般的には、コアラが食用に好む植物として有名ですが、近年では石油の代替エネルギーとしても注目されています。
よく生い茂り、あたり一面を葉で覆う様子に由来し、ギリシャ語で「よく覆われた」を意味するEucalyptus(エウカリプトゥス)という名前が付けられました。
ここから転じて「ユーカリ」という略称が日本で広まったのです。
非常に種類が多いことも特徴のひとつ。代表的なものから亜種までを含めると、およそ1000種類以上もの品種があるといわれています。
それぞれの品種において刺激の強さなどが異なるため、アロマテラピーで使用する精油を得ることができるのは、限られた一部のみとなります。
ユーカリの歴史
生産地の一つであるオーストラリアでは、原住民であるアボリジニの間で、古くから万能薬として利用されてきました。
代表的な使い方としては、包帯の代わりとしての使用です。消炎作用があるため、切り傷の上にユーカリの葉を巻いて、傷を治していたと伝えられています。
また、ユーカリという言葉には「解熱の木」という意味があり、解熱剤として利用されてきました。
マラリアやチフスの治療薬としても重宝され、多くのユーカリが伐採されるとマラリアが広まる、などということも言われていたようです。
風邪をはじめとする呼吸器系の炎症にも効果を発揮してきたようで、現在ではのど飴やハーブキャンディの成分にユーカリ成分が含まれていることがあります。
抗菌作用も期待できるため、ドイツやフランスでは、のどの痛みを抑えるためにユーカリティーを飲んだり、チンキ剤を中耳炎の治療に使う文化もあります
[2] 精油に使われる代表的なユーカリは3種類!特徴を解説
爽やかでシャープな香りをもつユーカリ。
アロマテラピーでは主にユーカリ・グロブルス、ユーカリ・ラディアータ、ユーカリ・シトリオドラの3種類が使われています。
それぞれに特徴や効果効能、注意点がありますので、使用目的や対象に合わせて適したものを選びましょう。
ユーカリ・グロブルス
数あるユーカリの中でも、アロマテラピーに最も多く用いられているのがユーカリ・グロブルスです。
主要成分である1,8シネオールを高い濃度で含み、強いスパイシーな香りがします。
1,8-シネオールには去痰・鎮咳作用や抗炎症作用があります。
風邪や花粉症で鼻が詰まったとき、喉にからんだ痰を切りたいときなどに、積極的に香りを吸い込むと、症状が緩和すると言われています。
さらに抗ウイルス作用を持ちあわせているため、各種感染症や花粉症の対策にも効果的。
ユーカリ・グロブルスの注意点
ただし香りや刺激が強さにご注意ください。マスクなどに精油を垂らして直接吸入することは避けましょう。
高濃度で使用すると皮膚に刺激が強すぎるため控えてください。
芳香浴などで用いる際は、咳こんでしまわないよう希釈するなど、使用量に気を付けましょう。洗面器にお湯を張って精油を1滴垂らし、蒸気を吸い込む方法もおすすめです。
このとき長時間の使用は避け、目を閉じて蒸気が目に入らないようにしてください。
これらの理由により、高血圧やてんかんの持病がある方は使用を避けた方がよいでしょう。
ユーカリ・ラディアータ
ユーカリ・ラディアータは、1,8シネオールの含有率がユーカリ・グロブルスより低めです。
刺激や作用は穏やかであり、子どもや高齢者が使いやすいタイプといえます。スキンケアやアロマトリートメントにもおすすめですよ。
主要成分のa-テルピネオールには抗アレルギー作用や抗ぜんそく作用があるとされ、風邪予防や花粉症対策に、その効果を発揮します。
樟脳のようなスッキリした香りがあり、森林浴効果のあるα-ピネン(含有量2~5%)、鎮静作用のあるリモネン(含有量5~10%)も含有。
そのため、集中力を高めたいときにもおすすめです。
ユーカリ・ラディアータの注意点
グロブルスほどではありませんが、ラディアータもやはり皮膚を刺激する場合があるため、敏感肌の方・妊娠中の方などは使用量に注意しましょう。
ユーカリ・シトリオドラ(レモンユーカリ)
ユーカリ・シトリオドラは別名レモンユーカリと呼ばれ、レモンに似た甘酸っぱい香りが特徴です。
レモン(シトロン)の香りがするため、ユーカリ・シトリオドラ、またはレモンユーカリと呼ばれています。
爽やかで鋭い香りは、心のリフレッシュや集中力アップに効果を発揮します。
また、シトラス系の香りを虫が嫌うため、蚊よけやダニ防止に役立ち、虫よけスプレーにも使われていることがあります。
ほか2種のユーカリに対し、ユーカリ・シトリオドラはシトロネラールを70~85%含んでいるのが特徴です。
シトロネラールは鎮痛作用や抗炎症作用に優れているため、虫刺されのケアや歯痛にも効果が期待できます。
ユーカリ・シトリオドラ(レモンユーカリ)の注意点
やはり皮膚への刺激には注意しましょう。
肌にスプレーすれば虫除けになり、レモンのような香りはデオドラントとしても効果を発揮してくれます。
無水エタノール5mlに精油10滴(他の精油と組み合わせてもよい)を入れて振り混ぜ、後から精製水45mlを加えてよく混ぜれば完成です。
肌にピリピリとした刺激を感じる場合がありますので、お子様や刺激に弱い人が使う場合は精油の量を半分にしてください。
肌ではなく衣服や帽子にスプレーすれば、より刺激も少なく安心です。
シトロネラの魅力と精油の活用法!天然ハーブの効果で虫除け対策
ユーカリ精油の禁忌事項
ここまで何度もお伝えしたとおり、ユーカリ精油は、香りも皮膚刺激も強いものが多いです。
効き目を優先させて安易に使用すると、かえって皮膚や粘膜を傷めることにもなりかねません。
肌が弱い人や刺激に弱い人は、慎重に使用するようにしましょう。
ユーカリ精油には、そのほかにも気を付けたい禁忌事項があります。実際に使う前に、ここで確認しておきましょう。
妊娠中は控えたほうが無難
ユーカリ・グロブルスは、その刺激の強さから妊娠中は禁忌とされています。
芳香浴くらいならば問題ないという意見もありますが、香りが体調に合わずツワリが悪化したケースもあり、避けたほうが無難でしょう。
ユーカリ・ラディアータに関しては、妊娠中期から使用可能とされています。
ただし、妊娠中は肌が敏感になりやすいため、アロマトリートメントなど成分が直接肌に触れるものには注意が必要です。
ペットに使うときは様子を見ながら
ユーカリ精油はペットのダニ対策にも有効ですが、精油の量が多すぎたり、ペットの体質に合わなかったりすると、かえって大切なペットの健康を損なうことがあります。
犬や猫は人間よりも嗅覚が優れており、なかでも身体の小さいペットはその影響をまともに受けてしまいます。決して人間の都合で無理強いしないようにしましょう。
特に猫は自分の身体をよく舐めるため、毛についた精油を体内に取り込んでしまいがちですが、それによって命を落としたり、体調を崩したりすることもありますので注意が必要です。
ペットに使う際には、十分に希釈したものを少量ずつ使用し、ペットの様子に異常がないかをよく観察しましょう。
[3] 風邪予防にも◎ ユーカリの精油の効果・効能
ユーカリには精神や身体に対し、さまざまな効果・効能があるといわれています。また、防虫作用も有名です。効能・効果をチェックして、ぜひ毎日の暮らしに役立ててくださいね。
1.心や精神への作用
ユーカリの持つ鎮静作用により、不安定な精神状態を落ち着かせてくれます。神経に働きかけることにより、疲れた心をリフレッシュさせ、やる気が出ないときには活力を与えてくれます。
爽やかでクリアな香りは心地よい刺激となり、考えがまとまらないとき、頭をスッキリさせ、思考を明快に保つ効果もあります。集中力を高めたいときに利用するとよいでしょう。
2.身体への作用
のどがイガイガするなど、呼吸器系の炎症による不快感を緩和させます。炎症を鎮め、粘膜を正常な状態に戻す働きがあり、風邪のときに起こる咳・鼻水・鼻づまりなどの症状、花粉症のケアにも役立ちます。
また、消炎作用があるため、筋肉痛や打撲の痛みを和らげる効果もあるようです。
皮膚に対して、軽いやけどや発疹などのケアにも使われます。殺菌作用があるため、ニキビケアや虫よけの効果も期待できます。
ペパーミントなどのアロマと共にシャンプーにブレンドすると、育毛やフケ予防につながります。
3.防虫作用
爽やかな香りを虫が嫌うため、防虫効果があります。
市販の防虫剤に含まれるナフタリンなどの化学物質が苦手な方は、天然の防虫剤としてユーカリを利用してみるとよいでしょう。
ドライハーブ状のユーカリをガーゼに包み、ドレッサーや引き出しに入れることで衣服を虫から守り、夏場には精油を小皿に数滴たらして窓辺に置くと、蚊よけ効果が期待できるでしょう。
ユーカリの鎮静作用により、ベッドルームで使用しても眠りの妨げになることはありません。
[4] ユーカリ精油の使い方
ユーカリの成分や効用についてはご理解いただけましたでしょうか。
ここからはユーカリの効能を活かし、どのような形で利用すればよいかをご案内していきます。
アロマにはさまざまな楽しみ方があり、専用のグッズも市販されています。時間やシチュエーションごとに、自分に合った方法を見つけてみましょう。
鼻づまりや喉の痛みに「芳香浴」
「森林浴」が光を浴びるリラックス方法であるように、香りを感じてリラックス効果をねらうのが「芳香浴」です。
天然由来の香りが部屋中に広がり、ルームフレグランス感覚でおこなえます。
次に紹介する方法で空気中にユーカリ精油の香りを発散させ、その香りを楽しみましょう。
吸い込んだ香りは神経を落ち着かせ、集中力を高めます。香りは呼吸器から体内を巡るため、全身のバランスも整っていくでしょう。
アロマライト
お皿部分にユーカリ精油を数滴たらし、スイッチを入れて温めてください。ライトの熱でオイルを温め、香りを広げます。
火を使わないため就寝前に利用しても安心ですし、ルームライトとしても使用できて便利です。
ディフューザー
空気圧や超音波による振動でユーカリ精油の粒子を部屋に拡散します。広い空間でも十分に香りを楽しめるのが特徴です。
噴射されている様子を目でも楽しめるのも魅力。タイマー付きなどさまざまな機能やデザインのものを選べます。
マグカップ
マグカップにお湯を入れ、ユーカリ精油を数滴たらしてください。持続期間は短いですが、手軽に芳香浴を楽しめます。
天然の虫除けとして「ハンカチに垂らす」
ユーカリの精油をティッシュやハンカチ、コットンに1、2滴垂らし、近くに置いておくだけでも効果があると言われています。
外出先やオフィスでも、手軽に虫よけやリフレッシュができますよ。
気軽にできる使い方ですが、鼻に近づけるときは、精油が直接肌に触れてしまわないように気を付けましょう。
1日の終わりにリフレッシュ「アロマバス」
1日の終わり、一番のリラックスタイムであるお風呂の時間に、ユーカリのアロマを取り入れてみるのはいかがでしょうか。
アロマバスをする際は、ユーカリの精油(エッセンシャルオイル)と、はちみつやバスオイル、植物オイルなどの基剤を用意してください。
ユーカリ精油の原液は皮膚に強すぎるため、数滴を基材とよく混ぜ、希釈してからお湯に入れましょう。
バスタブのお湯に広がるアロマは、鼻と皮膚、2つのルートから体内に取り込めます。
肌トラブルのケアほか、新陳代謝のアップによる冷え症の改善、肩こりなどの筋肉疲労や腰痛にも効果的です。
全身浴なら全身に効果が行きわたりますし、患部が決まっているのであれば、のぼせる心配がないフットバス・ハンドバスもよいでしょう。
おまけ:ユーカリは精油だけでなくハーブティーもおすすめ
ユーカリはハーブティーに利用することもできます。少量をポットに入れ、お湯を注いで蒸らしていただきましょう。
ドライハーブ状のユーカリはハーブティーのお店や通販で購入できます。
ユーカリ茶のスーッとした香りは風邪や花粉症の鼻づまりなどに効果があります。むくみケアにもおすすめですよ。
直接体の中に入っていくことになりますので、肝臓など消化器系が弱い方は服用を避けるか、飲む量に気を付けてください。
NOWエッセンシャルオイル ユーカリ
サプリメントやボディケア用品などを扱う米国NOWFOODS社公認の代理店による正規輸入品のユーカリ精油。ユーカリの葉や小枝から抽出されたもので、空気の浄化や虫除けなどに活用されています。
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100%天然のユーカリのエッセンシャルオイル。クリアで清潔感のある香りなので、リフレッシュしたいときや気分が沈んだときにおすすめです。ハウスキーピングや空気の清浄にも役立ちます。
[5] ユーカリの精油を取り入れて、快適なアロマ生活を送ろう♪
いかがでしたか?ユーカリ精油は正しく使用すればとても頼もしい存在。
その成分や特徴的な香りによって、インフルエンザや花粉症対策、虫除けなど、身近な困りごとに対して利用できるのがユーカリの長所です。
ただし「天然自然のもの=安心安全」と安易に考えることはよくありません。
精油は植物の有効成分をギュッと凝縮したものですから、そのぶん刺激は強くなります。それぞれの精油の持つメリット・デメリットを知り、禁忌を知り、正しく使用するようにしましょう。
注意点を理解した上で、自分に合った方法を見つけ、心身ともにトラブルのない、アロマライフを楽しんでくださいね。
☆アロマセラピスト菊池より一言☆
私の大好きな植物のひとつであるユーカリ。見た目もお洒落なのでリースにしたドライフラワーをサロンに飾ったり、我が家の小さな花壇に植えて成長を楽しんでいます♪
ユーカリの精油も色んなシーンで使用します。
風邪やインフルエンザが流行る時期にはユーカリグロブルスかラディアタの精油にレモンやティートゥリーなどの精油をブレンドしたスプレーを毎年作ってます。家族全員、予防接種をした事ないのですがインフルエンザとは無縁です!!これもアロマのお陰かもしれません。
レモン・ユーカリは虫除けの季節には欠かせませんし、サロンでは関節炎や肩こりの方には植物油にこの精油やジュニパー、ペパーミントなどをブレンドしトリートメントをすると痛みが軽減し、お客様に喜ばれます。
多くの品種があり、それぞれ成分が違う=作用が違うので、学名を確認してから購入しましょうね。
※アロマオイル(精油/エッセンシャルオイル)を使う際の注意点
アロマオイルは医薬品ではないため、「治療」できるものではありません。ここに掲載されている内容は精油の効果効能、心身の不調改善を保証するものではありません。予めご了承ください。症状がひどい場合は医療機関を受診することをおすすめいたします。実際にアロマの香りに癒されるという方はたくさんいます。自分の体の状態や気分に合わせて上手に取り入れてくださいね。