アロマにはどんな効果があるの?精油が身体へ効く仕組みとアロマを手軽に楽しむ方法
現在様々なところで使用されているアロマケア。「身体のケアに良さそうなもの」というイメージはかなり浸透していると思いますが、そもそもアロマの効果とは一体どのようなものなのでしょうか!?アロマは身体や心へどう伝わって効いていくのかお伝えします!
2022年01月07日更新
記事の目次
[1]アロマの効果とは
アロマって一体何?
アロマテラピーやアロママッサージ等よく耳にする「アロマ」という言葉ですが、アロマとは「芳香」のことです。
アロマ[Aroma](芳香)テラピー、もしくはセラピー[therapy](療法)とは芳香療法のことで、つまりは香りを使って心身のケアを行うことを言います。
この心身のケアを行う場合に使用されるアロマは精油がもとになって作られます。精油はエッセンシャルオイル・アロマオイルとも呼ばれ、現在日本では様々な種類のものが販売されています。
ただしこの呼ばれ方には注意が必要で、同じアロマオイルと言われても必ずしも中身が同じではありません。
純度が植物由来の100%でないオイルや、天然香料でないオイル(フレグランスオイル等)も同様にアロマオイルと記載されているため、購入する時には十分に注意が必要です。
心身のケアに使用する精油は100%植物由来のもの「エッセンシャルオイル」を選びましょう。
「100% Pure & Natural」、「Pure Essential Oil」との記載があったり、AEAJ(日本アロマ環境業界)が表示基準適合精油認定制度を精油ブランドに設けており、そこに認定されているブランドの精油は安心して使用することができます。
精油の効果~心と身体の癒し~
精油を使用したアロマケアではどんな効果が得られるのでしょうか。
アロマテラピーとは体内に取り込んだ精油の効果と香りの影響により、人の身体と心のバランスを整えていくホリスティックトリートメントです。
アロマの香りを嗅ぐことで精油(エッセンシャルオイル)が嗅覚経路に作用するため、ストレスを開放しリラックスできます。
また、アロマオイルを塗布して触覚に作用することで生体機能の正常化を助け、身体の循環アップや老廃物を除去し体内を浄化します。
こうして心身のケアができるアロマですが、具体的にはどんなところに影響がでるのでしょうか。
■精神的作用
神経系に作用して心を鎮静させたりリフレッシュさせたりバランスをとる効果があります。ストレスや精神的な疲労を緩和し自律神経や中枢神経のバランスを整えます。
■身体的作用
≪筋肉や身体の組織への効果≫
肩こりや腰痛、筋肉痛、リウマチ、打撲、スポーツ後の筋肉疲労を緩和し痛みやこりをケアします。
≪消化器系への効果≫
胃腸炎や消化不良、吐き気や二日酔い、食欲不振、過食、便秘、下痢、過敏性腸症候群等の状態を落ち着かせ緩和します。
≪循環器系への効果≫
貧血や低血圧、高血圧、血行不良、むくみ、冷え性、動悸等の状態を整え緩和します。
≪呼吸器系への効果≫
インフルエンザや風邪の予防、咳、気管支炎、喘息、肺炎、過呼吸等の状態を落ち着かせ緩和します。
≪美容効果≫
シワやたるみ、乾燥、しみ、ニキビ、ニキビ跡、毛穴の開き、吹き出物、傷、脂性肌、敏感肌、乾燥肌等をケアし皮膚の状態を整えます。
≪ホルモンへの作用≫
自立神経を整え生理不順や無月経等の周期のバランスを整えたり、生理痛、PMS、更年期、発汗過多等、女性特有の悩みをケアできます。
≪殺菌・防虫効果≫
水虫やヘルペス、イボ、魚の目、白癬、ニキビ、虫除け、空気清浄、体臭予防(デオドラント)等菌が原因のものを予防します。
≪免疫系への効果≫
感染症の予防、花粉症や風邪、インフルエンザ等の症状を免疫力を向上させて予防します。
その他にもまだまだ様々な効果がありますが、精油は1つ1つ特徴、香りが違い、人の身体と心の多くの不調をケアすることができるとても便利なものです。
自分がなりやすい症状に効く精油を知っておくと本当に状態が悪くなる前にケアができるので、毎日の生活の質の向上のために1つ知っておくのもおすすめです!
[2]アロマが身体に効く仕組み
さて、今まで精油の様々な効果をお伝えしてきましたが、一体精油はどのように身体の中に入り、それぞれの症状をケアしているのでしょうか。
精油がなぜ人の心と身体に「効く」のか。精油が体内に入っていく仕組みと作用についてご紹介します。
アロマの香りはどうやって身体に取り込まれるの?
アロマとは芳香のこととご紹介しましたが、アロマのもとである精油とはそもそも油と書きます。
一般的にイメージするそれとは違い、植物の花や葉果物の皮や根、種子や樹脂、樹皮などから抽出した液体です。
水に溶けにくく油に溶けやすく、空気中に放置すると蒸発していく特徴があります。
この特徴を踏まえて鼻や皮膚から様々な方法で体内に取り込むことができます。そこから取り込んだ香りの情報は人の嗅覚の伝導経路を通っていきます。
■嗅覚の伝導経路
香りの情報(分子)は鼻の鼻孔から鼻腔、そしてそのもっと奥にあるひだ状の嗅上皮という組織にキャッチされ嗅細胞という部分まで到達します。
香りの情報(分子)は、嗅細胞によってインパルス(電気的な信号)に変換され神経等を通って脳へ伝わります。
脳に運ばれた香りの情報(インパルス)は大脳と視床下部に伝わります。
大脳は感情や記憶、行動をつかさどる部分で、視床下部は自立神経、内分泌系、免疫系をつかさどる部分です。
この2つの部分に作用することで心と身体の両方に影響を及ぼすことができるのです。
アロマが心と身体に効くのはどうして??
大脳と視床下部に伝わった香りの情報は様々な作用をおこします。
■心理作用
大脳基底核にある海馬(過去の経験を記憶)に伝わって懐かしいと思ったり幸せだという記憶と香りがつながり精神がリラックスします。
■生理作用
視床下部は自立神経、ホルモン、免疫系をコントロールする中枢の器官であるため、ここから脳のその他の部位へ香りの情報が振り分けられます。
そして、それぞれの場所がコントロールしている身体の部位に香りの情報が伝わり、精油の薬理効果によって様々な生理作用をおこします。
[3]アロマの癒し効果!精油(エッセンシャルオイル)の効果一覧
精油(エッセンシャルオイル)がどうやって身体と心に影響を及ぼすかみてきましたが、ここで代表的な精油の効果をご紹介します。
精油は使い方に慣れてくるとブレンドして使用することが多くなります。
その際香りのバランスを良くするために、精油をノート(※)と呼ばれる3つの分類に分け、それぞれ組み合わせることによってバランスの良い香りを作り出します。
今回はこのノート別に記載するので、それぞれのノートから1つずつ選んでブレンドすると成功率があがるので是非参考にしてみてください。
また、それぞれ植物のどの部分から抽出されたかという抽出部位も記載してあります。
花や果皮から抽出された香りはイメージし易いと思いますが、その他の部位からのものはそれぞれ独特の香りがあります。
オリエンタルやスパイス、樹木系というとイメージしやすくなるかもしれませんが、葉、根や茎からものは初心者にとってブレンドが難しい場合もあります。
色々嗅ぎ比べていくのが1番ですが、初めてのブレンドでは花や果皮等を中心に作ってみると使用し易いかもしれません。
※ノートとは
香りの揮発性のことをいい、それぞれ揮発時間が早い順にトップノート・ミドルノート・ベースノートと呼ばれます。
ブレンドされた香りはまずはじめにトップノートの印象が強く香り、その後はミドルノート、最後に残る香りはベースノートの香りとなります。
このノートのバランスはもともと香水をつくる時に考えられたもので、これをうまく組み合わせることで良い香りになると言われています。
トップノート
精油名 | 抽出部位 | 効果 |
---|---|---|
バジル | 葉と花 | 胃腸の痛み、頭痛、肩こり、腰痛、不安、緊張、精神的ストレス、頭スッキリ |
ベルガモット | 果皮 | 不安、落ち込み、心配、便秘、下痢、ニキビ、うつ、更年期 |
ユーカリ・グロブルス | 葉と花 | 風邪、肩こり、肺、気管支のケア、ニキビ、無力感、免疫強化、鼻スッキリ |
ユーカリ・ラディアタ | 葉と花 | 鼻・喉のケア、花粉症、集中力の低下 |
グレープフルーツ | 果皮 | 落ち込み、食欲不振、過食、むくみ、セルライト、冷え性、二日酔い、自信喪失 |
レモン | 果皮 | 消化不良、吐き気、むくみ、肝臓の不調、ダイエット、ニキビ、冷え性、集中力アップ、高血圧 |
マンダリン | 果皮 | 不安、興奮、便秘、下痢、腸内のガス、高血圧、老化予防、ニキビ、月経不順、冷え性 |
スイートマージョラム | 葉と花の先端部分 | 筋肉の凝り、慢性疲労、月経不順、興奮、パニック、過去のトラウマ |
オレンジ(スイート) | 果皮 | うつ、落ち込み、不安、消化不良、冷え性、肩こり、むくみ |
ペパーミント | 葉と花 | 精神疲労、5月病、肝臓の不調、ガス、低血圧、かゆみ、腰痛、花粉症、日焼け肌 |
ティートリー | 葉 | 風邪、精神不安、うつ、皮膚炎、手荒れ、虫刺され、ニキビ、花粉症 |
レモングラス | 葉 | 冷え性、筋肉痛、興奮、精神過敏、集中力の低下、消臭、ニキビ |
トップノート~ミドルノートの中間
精油名 | 抽出部位 | 効果 |
---|---|---|
ジンジャー | 根茎 | 消化不良、二日酔い、無気力、燃え尽き症候群 |
ローズマリー | 花と葉 | 筋肉の凝り、無気力、慢性疲労、風邪、冷え性、不安、緊張、精神疲労、ヘアケア、ニキビ |
パイン | 針葉 | 冷え性、むくみ、うつ、湿疹、低血圧、花粉症、多汗症 |
スイートフェンネル | 種子 | 消化器系の不調、落ち込み、シワ、痰の予防 |
ミドルノート
精油名 | 抽出部位 | 効果 |
---|---|---|
ローマンカモミール | 花(ドライフラワー) | 身体全体の抗アレルギー、不眠、不安、赤ら顔、クマ、シミ、ニキビ、緊張、ショック、かんしゃく、花粉症、ヘアケア |
ジャーマンカモミール | 花(ドライフラワー) | 荒れた肌の再生、胃腸の炎症) |
ネロリ | 花 | 不安、イライラ、不眠、シミ、皮膚の老化防止、整腸、更年期 |
ゼラニウム | 花と葉 | 皮膚を柔らかくする、シワ、シミ、乾燥、老化、更年期、むくみ、月経不順 |
プチグレン | 葉と小枝 | 心身のリラクセーション、不安、高血圧、肩こり、月経不順、傷の治りを早める |
クラリセージ | 花と葉 | 緊張、不眠、更年期、高血圧、肩こり、月経不順 |
ジュニパー | 果実(球果)と葉 | デトックス、精神疲労、ダイエット、ニキビ、シミ、前向きになる、感染症の予防 |
ラベンダー | 花と葉 | 身体の痛み、疲れ、精神の鎮静、鎮痛、偏頭痛、頭痛、手荒れ、痒み |
ミドルノート~ベースノートの中間
精油名 | 抽出部位 | 効果 |
---|---|---|
ローズ | 花 | 更年期、落ち込み、高血圧、クマ、皮膚を柔らかくする、細胞の成長促進、PMS、月経不順、欲求不満 |
ベースノート
精油名 | 抽出部位 | 効果 |
---|---|---|
パチュリ | 乾燥させた葉 | むくみ、冷え性、PMS、アレルギー皮膚炎、うつ、不安、ストレス、ニキビ、あかぎれ、痔 |
ジャスミンアブソリュート | 花 | 不眠、ストレス、落ち着きのなさ、月経痛、老化肌、シミ、シワ、多幸感をだす |
フランキンセンス | 樹脂 | イライラ、心の傷、パニック、心身のアンバランス、免疫低下、喘息、アンチエイジング、手荒れ、リラックス |
サイプレス | 球果と葉 | 更年期、月経痛、風邪、咳、むくみ、冷え性、肩こり、忍耐力の低下、記憶力・集中力の低下、喪失感 |
ベチパー | 根 | 興奮、精神過敏、不眠、PMS、消化不良、ニキビ、神経性胃炎、うつ |
イランイラン | 花 | 落ち込み、怒り、イライラ、失敗、人間関係への恐怖、内気、悪夢、育毛 |
サンダルウッド | 心材 | 冷え性、足の疲れ、むくみ、緊張、不眠、ニキビ、肌荒れ、皮脂分泌の調整、瞑想を助ける |
自分の症状に効果がある精油はどれなのかがわかったら、店頭で是非1度香りを嗅いでみましょう!
精油は産地や生産方法等によっても香りが変わるため、同じ名前の精油でも商品によって香りの特徴が微妙にかわってきます。
症状に合っていることはもちろん大切ですが好みの香りかどうかもとても大切なポイントです。色々嗅ぎ比べて好みのものを探してみましょう!
[4]アロマの効果を楽しむ方法
アロマの活用方法
今まで精油の効果についてお伝えしてきましたが、いざ精油を使用してトリートメントを行う場合どうしたらいいのでしょうか?
マッサージやアロマディフューザー等メジャーなもの以外にもいくつか活用方法があるのでご紹介します。
自分の症状や生活環境に合わせて取り入れやすい方法から是非試してみましょう!
■アロママッサージ
アロマのブレンドオイル(精油と基材となるベースオイルをブレンドしたオイル)を使用し、優しくなでるような手技を中心にして気になる部位をマッサージする方法。
リンパや血流の流れを高めるとともに、身体の中を流れる電気的なエネルギーである東洋医学における「気」の流れを整える効果があります。
➡お悩み部位
筋肉疲労やむくみ、肩こり腰痛などの循環器系の不調の改善に良い
■吸入
揮発した精油の成分を鼻や口から吸い込む方法。ボウルやマグカップ等に熱いお湯(60〜70℃くらい)をはり、そこに精油を1~2滴ほど加え蒸気とともに吸入したり枕やティッシュ、ハンカチ等に1〜2滴落とし空気中に揮発した成分を吸入します。
➡こんな時におすすめ
胸や喉の呼吸器系、吐き気、胃痛の不調の改善
■拡散
アロマランプやアロマディフューザー、スプレー等でオイルを身近に散布する方法。
周辺の環境を整えるためリラックス、リフレッシュ、集中力アップしたい時に手軽に取り入れやすいため、一般的に人気のある方法です。
➡こんな時におすすめ
勉強や仕事に集中したい時、安眠、気分転換、空気中の雑菌の中和
■沐浴
湯船に精油を入れる方法。全身の入浴や半身浴、足・手浴、座浴などがあります。血液の循環を高めたり、身体を温めることで毛穴が開きより効果が高まります。
➡こんな時におすすめ
皮膚トラブルの改善やリラクゼーションに良い
■湿布
タオルやガーゼに精油を染み込ませ症状がでている部位に巻く方法。ボールに水を入れその上に精油をおとし、そこにタオルやガーゼを上から浸ししぼって使用します。精油は水より軽いためボールの表面に浮いてきます。
➡こんな時におすすめ
筋肉疲労、頭痛・目の疲れ、むくみや日焼けの改善
[5]アロマは現代のストレスケアにぴったり
精油は今店頭や通販でも気軽に手にはいり、とても身近な存在になってきています。100%植物由来の精油は香りでリラックスできるだけでなく、その植物が持つ薬理効果によって心と身体の不調を緩和してくれます。
病院にいくほどでもないけれどなんだかずっと頭が重だるい、慢性的な肩こりがあるが放置している、仕事終わりは毎日目が痛くなる・・等々現代病ともいわれる毎日の中で感じているちょっとした不調を整えるにはアロマケアはとても便利です。
特別な場所に行く必要もなく自宅で好きな時に好きなやり方で行えるため、ご自身のセルフケア・リフレッシュにぜひ活用してみてくださいね!
まずは自分の不調部位に効果がある精油、そして好きな香りかどうかを必ず確かめて自分にあった精油をぜひ見つけてみてください。
※アロマオイル(精油/エッセンシャルオイル)を使う際の注意点
アロマオイルは医薬品ではないため、「治療」できるものではありません。ここに掲載されている内容は精油の効果効能、心身の不調改善を保証するものではありません。予めご了承ください。症状がひどい場合は医療機関を受診することをおすすめいたします。実際にアロマの香りに癒されるという方はたくさんいます。自分の体の状態や気分に合わせて上手に取り入れてくださいね。