知的好奇心を刺激する『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』の香水!
日本発のビッグメゾン、『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』。ファッションや香水に至るまで、その自由で個性的なコンセプトが魅力です。今回はパリでも人気のニッチで知的な香りをセレクトしてみました♪
2022年06月09日更新
記事の目次
[1]パリジャンが思う『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』
出典 instagram.com/commedesgarcons/?hl=ja
日本人なら誰もが知っている、一流ブランド『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』。
1973年にデザイナーの川久保玲氏が立ち上げたブランドで、その反骨精神あふれるルックスはファッション業界の注目を集めました。
創業から50年近く経つ現在でも“高嶺の花”のようなイメージは変わらず、一目置かれる存在ですよね。
『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』はフランス語で「少年のように」を意味していて、私が暮らしているパリとの縁も深いんです。
川久保玲氏は1992年にフランスの芸術文化勲章、「シュバリエ」を受賞していますし、『COMME des GARÇONS paris(コムデギャルソン・パリ)』はシャネル本店、エルメス本店と並びパリの一等地にブティックを構えるほど。
驚いたのは、その知名度の高さです。
特に日本が好き、という訳でもないフランス人が知っているのですから、その影響力は本当に大きいのだと思いました。
私も学生の頃『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』のファッションや香水に憧れていたのですが、海外の香水に興味を持ち始めてからは、すっかり頭から離れてしまっていました。
ところが渡仏後、一部フランスで巻き起こる“日本ブーム”に影響され、また『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』に興味を持つことに。
出典 instagram.com/commedesgarconsparfums/
香水好きというのも相まって、みるみる『COMME des GARÇONS parfaums(コムデギャルソン・パルファム)』の世界にのめり込んでしまいました。
川久保玲氏は創立当初から“ノンセクシャル”なスタイルを発表してきたので、もちろん香りにもその信念が反映されています。
そこには、“ジェンダーレス”という言葉だけでは語りつくせない『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』ならではの魅力と哲学が含まれていました。
今回は『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』らしい、“ノンセクシャル”な香りを3つご紹介したいと思います!
[2]「デザインしないことがデザイン」!圧倒的個性を誇る香水たち
CONCRETE(コンクリート)
トップノート:カルダモン、クローブ、クミン、ジンジャー
ミドルノート:ジャスミン、サンバック、ローズ
ラストノート:シダー、インセンス、ムスク、サンタル
「CONCRETE(コンクリート)」といっても、本当にコンクリートの香りがするわけではありません。
実はこちら、コンクリートにまつわる3つの概念を意識して創られた香りなんです。
・DESTRUCTION(破壊)
・CONSTRUCTION(構築)
・CREATION(創造)
コンクリートの概念をモチーフにしつつ哲学的で、なんとも知的です。
調香師のNicolas Beaulieu(ニコラ・ボーリュー)は、『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』から、サンダルウッドを“壊すように”作って欲しいと言われた、と語っているそう。
ハードな見た目のからは想像もつかないほどソフトな香りにとても驚きました。
サンダルウッドの香りが、ゆったりおおらかに広がり、落ち着いてはいるのですが不思議と重みは感じない、個性的なウッディノートに包まれます。
「ギャップ」、「非凡」、「クリエイティブ」といったキーワードが良く似合う「CONCRETE(コンクリート)」。
個人的には、40代以降の方からこの香りがしてきたら本当にかっこいいと思います。
ありきたりな香りでは満足しない、アバンギャルドな感性を持った男女にぜひおすすめしたい一本です!
AMAZING GREEN (アメイジング・グリーン)
トップノート:松の葉、ピーマン、露、ジャングルの葉
ミドルノート:つたの葉、オリスの根、コリアンダー、サイレックス
ラストノート:ガンパウダー、ベチバー、スモーク、ホワイトムスク
ものすごく珍しい香料の組み合わせで、一見しただけではなかなか香りのイメージがわかない複雑な調香です。
ただこれも『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』の特徴の一つと言いますか、この複雑さがこのブランドらしい“深み”を出しているんだろうな、と思いました。
まずトップノートからミドルノートの硬質な香りがメンズライクで印象的です。
そしてその草葉の硬質さが、熱っぽくてスモーキーなラストノートへと変化し、ちょっぴりダークな色気を放っています。
爽やかなイメージを連想させるボトルデザインですが、実は全く逆で、自然のエネルギーが感じられるようなダイナミックな香りがするんです。
この香りを身にまとっていたら創作意欲が沸いてきそう!
どちらかというとメンズ寄りの香りで、年齢層も20代~30代のエネルギッシュな人向けだな、と思いました。
COPPER(コッパー)
トップノート:ローズ、ペッパー、カシス
ミドルノート:ベンゾイン、ガルバナム、ジンジャー、メタル
ラストノート:アンバー、ブルーベリー、タバコ、バニラ
今まででいちばん奇天烈な香りが、この「COPPER(コッパー)」です。
序盤のメタリックな香りと、ラストノートの甘さのギャップがありすぎて「別の香水か?」と思ったほど。
ですが「COPPER(コッパー)」のコンセプトを聞いて納得しました。それは、「二つの相反する概念を香りに閉じ込めること」。
「COPPER(コッパー)」は“銅”を意味します。
銅の持つ冷たさと(熱を加えた時の)熱さの落差、金属と肌の質感の違い、甘いカシスと苦いタバコの葉の反対性などを示しています。
俗を超えたところにある、その哲学的な概念には驚かされますが、香りもやはり上級者さん向け。
このパンチのあるトップノートは、人間の嗅覚では“好ましい香り”となかなか察知しないと思います。
ですがラストノートでは、ほとんどの人が好むであろう、とても動物的な甘い香りがするんです。まるで嗅覚が試されているかのよう!
絶対に人とかぶりたくない、ニッチのなかのニッチ香水を探している方におすすめです。
[3]個性とはこういうこと
今話題のユニセックス・フレグランスは、どれも似たような香りで個性が埋もれてしまっているように思います。
しかし、『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』のルールにとらわれない自由な調香は、オリジナル性の高いフレグランスを完成させました。
奇抜なことをするのが個性ではなく、「自分らしさの表現」が本当の個性だと思います。
そして『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』はファッションも香水も、その表現方法を大衆に寄せていないから“小粋”なんだと感じました。
人とかぶりにくいオリジナル感を味わえる稀有な香水、『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』からこれからも目が離せません!