香りブロガーが選んだ 2020年 私のベスト香水TOP4
あまりにも特殊な環境下となった2020年。好きなものを好きな時に自由に買える喜びというものを改めて実感する一年ともなりましたね。特に香水好きには厳しい年になりましたが、そんな中で今年、私が迎え入れたフレグランスたちから気に入った香りをいくつか紹介して、今年のフレグランス記事のしめくくりとしたいと思います!
2020年12月11日更新
記事の目次
[1]2020年、香水を取り巻く環境の変化
2020年は、年が明けて間もない頃から新型コロナウイルスが猛威をふるい、世界規模で未曾有の事態となった特殊な一年でした。
誰もがこれまでの生活スタイルを変えねばならなくなりましたが、香水を取り巻く環境においてもそれは顕著でした。
フレグランスは、その他多くの商品と違い、目で見ればすぐにそれと分かるものではなく、鼻で感じ取らねば魅力が判別できないもの。
でもたとえテスターでも、直接手に取って、マスクを外して香りを嗅ぐ、という行動は、今の世の中では歓迎されるものでもありません。
百貨店やブティックなどでは、入店時にアルコール消毒を求められ、ディスプレイにはビニールをかけて客が無断で触れないようにしたり、三密を避けるために入場を制限して一組ごとの接客とするなどの形が多く取られ、“自由に香りを試す”ことのハードルがすごく高くなってしまいました。
また、3月末から緊急事態宣言が明けるまでの数か月間、大部分の商業施設がクローズとなり、この間は気軽に買い物をできなくなりました。
フレグランスは生活に直結した必要最低限のものという扱いではない分、買い控えも増え、この期間は香水業界も、香水好きな人たちも、厳しい環境だったのではないかと思います。
そんな特殊な環境であったため、私も昨年ほど多くの香水と出会う機会がなかったのですが、いくつかピックアップして、購入した経緯やその香りの特徴・感想などをお伝えしていきたいと思います。
[2]マイベスト香水①
ワイルド ブルーベル コロン /JO MALONE LONDON(ジョー・マローン・ロンドン)
2020年最初に購入した香水は、『JO MALONE LONDON(ジョー・マローン・ロンドン)』の「ワイルド ブルーベル」でした。
この商品は2011年に発売されたもので、イギリスなどの北ヨーロッパではなじみ深い「ブルーベル」という青い花のイメージからできた香りです。
発売当時に嗅いだ時は、ずいぶんロマンティックで可愛らしくて、自分がつけるには似合いそうにないなぁと思っていたのですが、歳を重ねても毎年春先になるとなぜかこの香りを思い出し、もう何年も買おうどうしようか店頭で試しては迷っていたものでした。
それがこのたび、『JO MALONE LONDON(ジョー・マローン・ロンドン)』の公式オンラインショップ限定で特別なデザインの「ワイルド ブルーベル」が発売されると知って、「どうせ買うならレアなものがいいかも」ということで、この機会についに手に入れたのでした!
通常デザインはメタリックシルバーのキャップにシンプルなベージュのラベルですが、限定デザインの「ワイルド ブルーベル」は、キャップがマットな薄いブルー、そしてラベルも細かなエンボス加工が施された、ちょっとナチュラルな風合いになっています。
もちろん、中身はいつもの「ワイルド ブルーベル」なのですが、こうして淡いブルーに包まれると、モチーフになったブルーベルの花の幻想的な印象をより強調して、通常のデザインで使うよりも香りの輪郭がはっきりしてくるような気がします。
トップでややスパイシーなクローブが飛び出した後、続いてスズランやジャスミン、野バラなどのライトでフレッシュなフローラルがみずみずしく香り、ラストには優しいホワイトムスクが広がります。
アクアティックな透明感と静かな印象は、清楚で誰からも好まれそうなイメージ。
この香りが最近特に気になっていたのは、家で他のジョーマローンの香りとのコンバイニングをいろいろと試していたら、「ワイルド ブルーベル」と組み合わせると単品で使う以上に魅力的になる香りをたくさん発見できたから。
特に私のお気に入りは、「ワイルド ブルーベル」×「チューベローズ アンジェリカ」の重ねづけです。
これはもう本当に夢のように美しく、印象派の絵画のようなきらめきのある香りになるので、とってもオススメですよ!
「ワイルド ブルーベル」が似合う季節は、雪解けの頃から徐々に陽射しが柔らかくなっていく4月頭くらいの間だと、私個人は勝手に思っています。
今年で言えば、ちょうどコロナ感染のニュースが増え始め、先行きが分からなくてみんなの不安がいちばん募っていた時。
そして私もこのタイミングで「ワイルド ブルーベル」を迎えたので、身につけることで不安な気持ちを多少なりとも鎮めることができ、かなり癒されたのでした。
[3]マイベスト香水②
ウォーターリリー コロン /JO MALONE LONDON(ジョー・マローン・ロンドン)
今年2番目に迎えた香りは、「ワイルド ブルーベル」と同じく『JO MALONE LONDON(ジョー・マローン・ロンドン)』の香りで、「ウォーターリリー」という名の限定品でした。
過去にFELICE(フェリーチェ)でも記事にしていますが、これは「ブロッサムズ」という限定コレクションのうちのひとつです。
通常、香りはムエットや肌にのせて実際に嗅いで時間をかけて試してみないと、自分との相性や好き嫌い、使いやすさなどが分からないもの。
ですが、「ブロッサムズコレクション」はちょうど緊急事態宣言中に発売となり、そのタイミングではデパートやブティックなどどこも閉まっていたため、発売前に試香することが叶いませんでした。
でも限定品だし、公式サイトで香りの説明を見る限り好きな香りっぽいし…。
なにより、どこにも出かけられず鬱々としていた時だっただけに、新しい香りでフレッシュな気分になりたい!という思いもあり、ゴールデン・ウィーク中に、ほぼ初めてと言ってもいい、お試しなしでのブラインド買いをしてしまった商品でした。
公式オンラインショップしか開いてなかっただけに、注文がそこに殺到したようで到着までにはかなり時間がかかりましたが、実際に届いてその香りを嗅いだら、思っていた以上に好印象で、尖った心がほっと和んだことを覚えています。
「ワイルド ブルーベル」にも近い、かなり透明感があるみずみずしい香りですが、「ウォーターリリー」の方がより軽やかで明るく、気持ちが上向きになるような香りだったのも、この時期の私にとっては救いでした。
トップからやや青みがかったネロリがフレッシュに香り、その後ジャスミンや睡蓮のみずみずしい白い花の香りが広がります。
ラストはホワイトムスクやサンダルウッドで落ち着きますが、全体的にこの香りは普段の『JO MALONE LONDON(ジョー・マローン・ロンドン)』のコロンよりもライトで香り立ちの変化も少ないシンプルな構成に感じます。
その分、疲れた心にもいい香りが直接響いて、心地よさを満喫できたのだと思います。
また、ネロリやジャスミンの精油は、アロマテラピーの世界では、抗うつ作用、鎮静作用など、リラックスを促すと言われています。
「ウォーターリリー」に使われているネロリやジャスミンが天然香料かどうかは不明なので、100%天然の精油と同じ作用は期待できないかもしれませんが、実際私は「ウォーターリリー」を身につけて花の香りを受け取ることで気持ちが明るくなったので、ストレス性が高い時や気分が落ち込んでいる時には、お守り代わりになる香りだと思います。
[4]マイベスト香水③
オードトワレ ヴェチヴェリオ/diptyque(ディプティック)
6月に入って緊急事態宣言も解除された頃、日本橋高島屋内に新しく『diptyque(ディプティック)』のブティックがオープンしました。
本当は春にオープン予定だったのですが、コロナの影響で百貨店がずっと閉まっていたため、数カ月遅れてのオープンでした。
そのオープン記念に、日本橋高島屋店限定で、7.5mlサイズのオードトワレがよりどり3本 7,900円で購入できるというキャンペーンがあったのです。
数カ月のステイホーム期間を経て、ようやく少しずつ街がまた動き出した時期。
けれど、まだ以前のように自由な行動ができるわけでもなく、友達とも気軽に会えるわけでもない中で、会社だけはテレワークがなくなり元どおりに通勤しなければいけない毎日となり、私にとってはこの頃がいちばんストレスが溜まっていた時でした。
そんなところへこのお得なキャンペーンの情報を得たので、オープンのお祝いも兼ねて、3カ月ぶりくらいにデパートへ足を運んだのです。
選べる香りは10種類。既にフルサイズで持っている香りは除き、どれがいいかなと迷いましたが、1本だけは最初からこれを買う!と決めていました。
その香りが、「ヴェチヴェリオ」です。
これはイネ科の植物「ベチバー」を主役にした香りで、トップにはグレープフルーツが、そしてミドル以降には2つの産地から採られたベチバーの香りが広がります。
大地を思わせるアーシーな香りの中に、シトラスのフレッシュで明るい光のような香りがアクセントとなった自然味あふれる香りは、癒される上に私の肌ともすごく相性が良くて、後半徐々にセンシュアルなニュアンスになっていくのもお気に入り♪
数年前に初めて「GINZA SIX」で試した時にも、お店の方や一緒に行った友達に「すごく似合ってる!」と褒めてもらった思い出の香りでもあります。
当時からフルボトルでの購入を検討していた香りなのですが、なかなか買うタイミングが合わず今まで来てしまっていたので、今回のキャンペーンは非常にありがたいものでした。
「ヴェチヴェリオ」は、特に蒸し暑い夏から初秋に似合う香りだと思っています。
ちょうど購入したのも梅雨時で、これから夏になるというタイミングだったので、今年は6月、7月の通勤時によく使っていました。
ただ、「ヴェチヴェリオ」は今回手に入れたオードトワレとオードパルファンの2種類の濃度があり、個人的にはオードパルファンの香り立ちの方がより好み。
なので、そのうちこれは、オードパルファンでフルボトルを手に入れたいと思っています。
[5]マイベスト香水④
アユーラ メディテーション パルファンドトワレ /AYURA(アユーラ)
2020年に迎えたお気に入りフレグランス、最後にご紹介するのは、コスメブランド『AYURA(アユーラ)』から7月末に発売された「メディテーション パルファンドトワレ」です。
こちらも既にFELICEでは記事にしていますので、詳細はそちらも併せてご覧くださいね。
『AYURA(アユーラ)』で大人気な入浴剤「メディテーションバス」と同じ香りが楽しめるフレグランスということで、こちらは限定発売だったのですが、予約段階で完売となってしまった代物。
私はたまたま、予約開始直後に化粧品を買いに行った際についでに予約できたので、無事迎え入れることができました。
実はこの香りは以前コフレにも入っていて、そちらも既に持っていました。
今作と前作とで大きな方向性の違いはありませんが、やはり今作の方がよりフレッシュな気がします。
メディテーションバスは「瞑想風呂」との別名があるくらい、ゆったりとした心をほぐしてくれるようなアロマティックハーブの香りが特徴です。
それと同じ香りがする今回の「メディテーション パルファンドトワレ」は、お風呂上がり、夜寝る前にベッドの中でシュッとひとふきすることで、心地よい眠りへといざなってくれる逸品と言えるでしょう。
ローズマリーやカモミールなどのみずみずしいハーブの香りから始まり、徐々にスズランやジャスミン、ネロリなどのやさしいフローラルへ。そしてラストは安らぐようなサンダルウッドやムスクなどの柔らかい香りが持続していきます。
ステイホームが続いて、誰かにアピールするためというよりも家で自分がひっそりと楽しめる香水の方が、この時期には重宝したのだと思います。
この香りはそういう観点からも、心に寄り添ってくれるやさしさがあって、閉塞感のあったコロナ禍の中で苛立った神経を鎮めてくれるような効果がある香りだと思いました。
[6]2020年に迎えたフレグランスの特徴
こうして改めて、私が今年購入した中で気に入ったフレグランスを振り返ると、ある共通項が浮かび上がりました。
それは、いずれも“透明感”があり、“ナチュラル”で“穏やか”な印象の香りということ。
そして、そうした特徴を持ったフレグランスから私が得たかったのは“癒し”だったように思います。
普段、私は香水に癒しを求めることはないのですが、今年はやはり、コロナ禍で心が疲弊していたり、閉塞感を感じたりしていたため、複雑で豪華な骨格の香りよりも、よりシンプルですっと心身になじむような香りに惹かれたのかもしれません。
また、今年は限定の香りや限定キットで購入する機会が多かったのも特徴でした。
長い間お店も閉まって直接売り場にも行けず、さらに個人的には、夏から秋にかけて全身に湿疹がひどく出てしまって、正直香水をつけるどころではない体にもなってしまい、香水を思う存分試すことは少なかったのですが、数量・期間限定の商品を多く手に入れられたのはラッキーでした。
特に、発売後即完売してしまって購入を諦めていた『JO MALONE LONDON(ジョー・マローン・ロンドン)』Jの限定コフレ「クリスマスコロンコレクション」も、先日無事に手に入れることができたので、これからこちらも使うのが楽しみです!
2020年は、多くの人々にとって、我慢を多く強いられる厳しい年になりましたが、そんなストレスフルな毎日も、香りがあるだけで少し軽やかな気持ちになれたり、楽しい気分になれたりする・・・それを実感した、貴重な機会にもなりました。
まだまだ気軽に出かけられない状況が続くかもしれませんが、時間と環境が許す限り、好きな香りに囲まれて心を穏やかにし、このコロナ禍を強い気持ちを持って乗り越えていけたらなと思っています。