2020年秋『ZOOLOGIST(ズーロジスト)』新作香水はどんな香り?
カナダのニッチフレグランスブランド『ZOOLOGIST(ズーロジスト)』をご存知ですか?動物や生き物の住んでいる場所や食べているものをイメージして香りが作られています。2020年秋に「NOSE SHOP」で発売予定の新作3種をご紹介いたします。
2020年09月08日更新
記事の目次
[1]『ZOOLOGIST(ズーロジスト)』ってどんなブランド?
2013年、香港出身で香水のコレクターであったヴィクター・ウォンが立ち上げたトロント発祥、カナダのニッチフレグランスブランドが『ZOOLOGIST(ズーロジスト)』です。
ブランド名である「ZOOLOGIST」は日本語で“動物学者”を意味します。
まず、お店でも香水瓶のラベルから興味を持ってくださる人が多いほどインパクトの強いビジュアルが特徴で、一際目立つ存在です。
これらは、一人の方が手書きで絵を書いているそうで、動物や生き物が洋服を着るという発想が面白いですよね。
また、香りのイメージは「動物や生き物が住んでいる場所、食べている食べ物」など、それぞれの動物たちの独自の特徴を香りで表現をしています。
“動物学者”というブランド名に相応しいほど、それぞれの生き物がまるで鼻先で生活しているかのような感覚になります。
『ZOOLOGIST(ズーロジスト)』はカナダのブランドではありますが、世界各国の一流調香師が担当しており、日本からは調香師の稲葉智夫氏が2種の香り(「モス」と「ナイチンゲール」)を担当しています。
使われる香料は“動物を傷つけたくない”との倫理的理由から、天然の動物由来の香料は使用せず、合成香料を使用しています。
生き物をイメージしているのでどの香水もラストはアニマリックな香りの印象になるのも特徴の1つで、すべての香水には何らかの(合成)動物性香料が含まれています。
この『ZOOLOGIST(ズーロジスト)』というニッチフレグランスブランドには熱狂的なファンが世界中にいるので、新作の香水の情報が発表されると、瞬く間に広がります。
「NOSE SHOP」でもスタッフより、お客様の情報が早いことも多いくらいなんです。
新作が発表されると毎回話題になる『ZOOLOGIST(ズーロジスト)』から、今回は「NOSE SHOP」の2020年秋の新作として発売予定の香りを3種ご紹介いたします。
*発売日や販売価格は2020年9月1日時点では未定となっています。詳しくは「NOSE SHOP」にお問い合わせください。
[2]KOALA(コアラ)/ZOOLOGIST
SIZE:60ml
オーストラリア、ユーカリの森で暮らすコアラ。なんだか、眠そうな顔つきでユーカリの葉をムシャムシャ食べている、そんなイメージです。
コアラは親子(母親&子供)以外はそれぞれ単独で行動し、他のコアラに自分の縄張りを知らせるために臭腺から匂いを出してマーキングするそうです。
そんな行動までもこの香水は香りに落とし込んでいます。
まず纏いたてのトップはユーカリのさっぱりした香りとハチミツの甘み、ミモザのパウダリーさが合わさって香ります。
鼻を突き抜けるとがったユーカリの香りではなく、まるで、風でそよぐユーカリの森のような優しさがあります。
次第に紅茶やスパイス、お香などがオーストラリアの雄大な自然をイメージさせます。しかし。コアラはユーカリの葉を食べるのに夢中でこの素敵な景色に気付いていないかもしれませんが…。
そしてラストは、雄大な自然の広がりをオークモス(苔)、サンダルウッド(白樺の木)、アンバー(樹脂)が後押しし、コアラは自分の縄張りを主張するムスクでマーキングします。
私の肌では終始メンタームのようなスースーするユーカリの香りが香りつつ、最初の相棒は蜂蜜、次第に紅茶、最後はサンダルウッドのミルキー感と言うような、ユーカリ+〇〇の香りに変化していきました。
『ZOOLOGIST(ズーロジスト)』の香水はラストがアニマリックなのでトップの香りが好きでも、ラストはちょっと肌に乗せるのは抵抗が…なんて声も聞きますが、このコアラは良い意味で終始纏いやすい香りになっていると思います。
私自身も、今回ご紹介する3つの香りの中では、この「コアラ」の香りが一番好きな香りでした。
濃度:エキストレドパルファム
NOTE:
トップ|ユーカリ、メンソールハニーガムドロップ、ミモザ
ボディ|ブラックティー、ゼラニウム、インセンス、スパイス、ベチバー
ベース|ムスク、アンバー、オークモス、バニラ、サンダルウッド
[3]SLOTH(ナマケモノ)/ZOOLOGIST
SIZE:60ml
なんと言うことでしょう!
もはや、ナマケモノの香りを作ろうと思った事に脱帽です。
『ZOOLOGIST(ズーロジスト)』公式でナマケモノの香水が作られると発表されてから、お店でも、どんな香りになるかワクワクしますね、と話していました。
さて、ナマケモノですが、彼らは中米や南米の熱帯雨林の中で生涯のほとんどを木にぶら下がって過ごしており、その名前のとおり動かない(動きが遅い)ことで有名です。
ナマケモノの主食は葉っぱや木の実などで、自らの毛に生えた苔や藻も食べます。(こうすることで、木や植物に擬態して敵に見つからないようにしてるそう)
また1日に約8gしか食べず、消化に平均16日ほどかかるくらい、全てが遅いそうです。
そんなナマケモノが暮らす、熱帯雨林の湿っていて暑い気候を、この香りはラベンダーや蜜蝋、ジャスミンで表現しています。
終始、ラベンダーの花の濃厚な香りに包み込まれ、ナマケモノが食べたかもしれない、甘酸っぱいアサイーベリー、ほろ苦い香りのマリーゴールドがアクセントです。
そして、ジャタマンシンと呼ばれるお香のような香りのハーブ、樹脂であるフランキンセンスやミルラの甘み、干し草、ナマケモノの体に生えたかもしれないオークモス(苔)がさらに甘みや深みを添える香水です。
苔が生えるスピードより遅いかもしれないナマケモノを守るような、ジャングルの木と緑の要塞を彷彿とさせる、“エキゾチック”と言う言葉がピッタリ合いそうな香りです。
濃度:エキストレドパルファム
NOTE:
トップ|カモミール、アサイーベリー、ラベンダー、バイオレットリーフ
ボディ|マィリーゴールド、ビーズワックス、アニス、ジャタマンシー、ジャスミン、クミン
ベース|ヘイ(干し草)、フランキンセンス、ミルラ、マッシュルーム、オークモス、バニラ、トンカマメ
[4]BAT(コウモリ)2020 Version/ZOOLOGIST
SIZE:60ml
実はコウモリの香りは、まったく新しい新作と言うわけではなく、以前にも発売されていました。
しかし、香料が採取できないことから一度廃盤になり、調香師も変わり“新しいBATの香り ”として生まれ変わりました。
以前の「BAT(コウモリ)」も嗅いだことのある私の感想としては、かなりフルーティー、それでいてベタっとしない、さっぱりした香りになった印象で、肌に纏うにはとても使いやすくなったと思います。
以前はバナナの香料が使われていて、ベタっとした甘さと重さ、アニマリック感が新しい香りよりも強かった印象です。
さて、コウモリは飛べるので鳥類かと思われますが、哺乳類の仲間で子供を産んで育てます。
コウモリは1000種近くいますが、この香水がオマージュしているのは吸血コウモリでなく、熱帯に住みフルーツを食べて生活する別名「フルーツコウモリ」と呼ばれるコウモリです。
果実を口の中に入れて噛んで果物の果汁だけ飲み、口の中に残ったカスは吐き捨てるそう。目が大きくモモンガに似ており、日本だと小笠原諸島や琉球列島に生息しているそう。
この香水はトップに、コウモリが食べたであろう、イチジク、パッションフルーツ、ピンクグァバと想像してだけで美味しそうな、クセになる南国のフルーツの香りが広がります。
そしてソイルアコード(複数の香料から土をイメージした香りを作り出している)が、コウモリが住む湿った土壌をイメージさせます。
そして、ラストは彼らの黒い体、翼をイメージさせるレザーとアニマルノートの力強さが加わります。
果物の甘い香りに引かれて、ついて行った先は彼らの寝床だった…そんなイメージに感じました。
純粋なフルーティーな香り飽きた方、フルーティーな香りにひとクセ欲しいと思っていた方にピッタリな香水だと思います。
濃度:エキストレドパルファム
NOTE:
トップ|フィグ、パッションフルーツ、ピンクグァバ、ソイルアコード
ボディ|ヘイ(干し草)、インセンス、ミネラル、夜に咲くジャスミン
ベース|アニマリックノート、レザー、苔むした石、チークウッド、ベチバー
[5]香りから動物たちに思いを馳せてみて
『ZOOLOGIST(ズーロジスト)』の香水たちは、香りだけでなくフューチャーされている生き物の生体を調べてみると、香りのイメージが具体的に湧いてきます。
香りは目には見えないものですが、その香りのバックグラウンドを知ると、纏う時により一層香りを楽しめますよ。
今回紹介できなかった、人気の香りもたくさんありますので、まるで動物園に来たかのような楽しい気分にさせてくれる『ZOOLOGIST(ズーロジスト)』の香水を試してみてくださいね。
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