物語を香りで紡ぐニッチフレグランス『ETAT LIBRE D’ORANGE』の香水
みなさんはフランスのニッチフレグランスブランド『ETAT LIBRE D’ORANGE(エタリーブルドオランジェ)』をご存知ですか?ブランドの創始者は『GIVENCHY(ジバンシー)』で調香師をしていたエチエンヌ・ドゥ・スワールです。このブランドはエチエンヌ氏が描く“ストーリー”を香りに落とし込んでいます。今回はバレンタインにもおすすめ、恋の物語のある香水を新作と合わせてご紹介します。
2020年02月10日更新
記事の目次
[1]『ETAT LIBRE D’ORANGE(エタ リーブル ド オランジェ)』のブランドストーリー
2006年にパリで創設された『ETAT LIBRE D’ORANGE(エタ リーブル ド オランジェ)』は、マレ地区の真ん中アルシーブ通り69番地に直営ブティックを構えています。
世界中のファンたちはその頭文字から「ELO(イー・エル・オー)」と親しみを込めた略称で呼んでいます。
このブランドが生み出す香りは、エチエンヌ氏が“ストーリー”を書いて調香師に制作を依頼し、調香師はそのストーリー以外一切の制限を受けずに自由に調香しています。
また、エチエンヌ氏の想いや思想は香りだけでなく香水瓶にも詰め込まれていて、香水瓶が四角の形であり、その“角(かど)”にブランド名を記している理由もきちんとあります。
「“角”は衝突の場所。美しいものはすべて衝突の産物であり、愛もまた男と女のぶつかり合いです。角はすべての終わりであり、すべの始まりです。」
角とは異なった性質のものが出会う場所であり、男と女であり、光と影であり、エロティシズムときれいなものである。
直営ブティックを通りの“角”に構えているのにも、こんなこだわりの強さが感じられます。
ELOはすべてが混ざり合う、ファンタジーの場所だとエチエンヌ氏は言います。ブランドが持つストーリー性は大きく、私はこの“角”の意味を知った時にELOが持つ思想に強く心惹かれました。
[2]バレンタインにおすすめしたい!ELOの愛の物語を紡ぐ香水たち
YES I DO/イエス アイ ドゥー(甘い謎)
販売価格:7.5ml 3,900円(税別)*在庫なくなり次第販売終了、50ml 12,500円(税別)、100ml 18,500円(税別)
「付き合って下さい」と告白された女の子。
返事は…にっこり笑って「YES!もちろん♡」そう応えた。
可愛らしく可憐な少女がこの香りのコンセプトです。
この香水はクリーンでピュアなホワイトフローラルの香り、最初から最後までスズランやジャスミンの白い花の優しい香りが広がります。
ラストはマシュマロやココアがほのかな甘さを漂わせ、可愛い、可憐な少女をめいっぱい描きます。
ピュアでハッピーな雰囲気はバレンタインや、ウェディングにもぴったりな香りです。
ただ、この香水瓶に目をやると「Don’t Get Me Wrong Baby.(みくびらないでね)」と記されており、この女性が可愛らしさだけではない芯の強さも合わせ持つ女性であることを表しています。
NOTE:
スズラン、ジャスミン、オレンジの花、アルデヒド、アンバー、パチョリ、ココア、ムスク、マシュマロ・・・
PUTAIN DES PALACES/ピュタン デ パレス(ファム・ファタルの儀式)
販売価格:50ml 12,500円(税別)、100ml 18,500円(税別)
どんな女性だって、一度は自分の感情の高ぶりに正直になってホテルのバーで素敵な男性を誘惑することに憧れたりするでしょう?この香水はそんな気持ちを後押ししてくれるはずです。
潤んだ瞳に蒸気した頬、柔らかい唇にレースが揺らめく魅惑の女性…彼女は“娼婦”。淡い官能のファンタジーのモデルなったのは、フランスの文豪エミール・ゾラが書いた小説「ナナ」に出てくる娼婦です。
香りは、化粧品のライスパウダー(化粧の最後に肌に叩くお粉)とジャスミンの香りを中心とした、どこまでもパウダリーな香りです。
誘惑のために装ったレースの服と唇の柔らかな輪郭の境は曖昧で、花の香りと化粧品の香りが入り混じります。そして途中からほろ苦く甘いアーモンドの香りのように変化して、肌の上でどこまでも挑発的に香ります。
まさに官能的な香りで、特別な日、勇気を出したい日におすすめの香りです。
また、この香水は娼婦である“彼女たち”やその時代背景に敬意を払い、包み隠さず正しい表現である“Putain(娼婦)”と言う言葉を使い、誠意をもって物語を香水に昇華しています。
NOTE:
ローズ、スミレ、レザー、スズラン、タンジェリン、ジンジャー、ライスパウダー、アンバー、アニマルノート・・・
DANGEROUS COMPLICITY/デンジャラス コンプリシティー(危険なストレンジャー)
販売価格:50ml 12,500円(税別)、100ml 18,500円(税別)
夫婦やカップルが再び情熱を取り戻すための“媚薬”がコンセプトであり、上記で紹介した香水「ピュタン デ パレス」のモダン版を作りたいとの思いから生み出された香水です。
愛の情熱はお酒で酔ったときと似ている、ということからトップノートはラムやジンジャーの媚薬が一気に燃え尽き、その後はフルーツと花々が合わさって情熱的に香ります。
そして最後はサンダルウッドのスモーキーさとレザーが男性的に香る香水です。特にラムの香りから金木犀、イランイランのトロピカルな香りの変化をは官能的で、まさにパウダリーとレザーの混じり合い。男と女の肌の交わりと言えるでしょう。
そんな香りはカップルや夫婦で過ごすバレンタインにぴったりです。2人で分け合いたい香りになるでしょう。ただ、度が過ぎてしまうと二人の関係性も崩壊してしまうため「デンジャラス」との名前が付いていますのでご注意を!(笑)
NOTE:
ラム、ジンジャー、ココナッツ、ベリー、ショウブ、金木犀、エジプトジャスミン、イランイラン、ロレノックス、パチョリ、レザー、サンダルウッド、カシミアウッド・・・
TRUE LUST/トゥルー ラスト(愛の現実)
販売価格:50ml 12,500円(税別)、100ml 18,500円(税別)
今年2月1日に日本で発売したばかりの新作の香水。“恋に落ちる瞬間の香り”がコンセプトです。
上記にご紹介した「ピュタンデパレス」の香りと「デンジャラスコンプリシティー」の香りを合わせた香りとして作られており、実際にそれぞれの香料がブレンドされているのがユニークです。
「誘惑と危険」「危機と情熱」のスリリングな結合から生まれる欲望の香りは、私の肌の上ではトップノートはまさにピュタンデパレスのパウダリーな優しい香りが押し寄せてきます。
しかし、それは長く続かずにサンダルウッドやレザーがスモーキーに力強く表れました。
纏う人によっても香りの出方が少し変わるので、彼と、彼女とお互い嗅ぎ比べてみるのも楽しいはずです。
NOTE:
ラム、ジンジャー、ローズアブソリュート、バイオレット、ココナッツ、オスマンサアブソリュート、スズラン、ジャスミン、イランイラン、タンジェリン、ライスパウダー、アンバー、レザー、アニマルノート、サンダルウッド・・・
[3]恋物語を香りにのせて
香りは目に見えるものではありませんが、「ELO」の香水には、さまざまな形の「恋」や「愛」の物語があります。
この物語を知ることで“香り”をより魅力的に感じるでしょう。バレンタインに2人で「恋物語」の香りを纏ってみてはいかがでしょうか?