永遠の憧れ♡パリのゲラン本店に見る美しい香水ボトルの物語
『ゲラン』といえば、香水の本場フランスの名門フレグランスメゾン。特別感を与えてくれるエレガントな香りが魅力ですが、その香水ボトルのディテールもため息が出るほど美しいものばかり。パリのシャンゼリゼ大通りにあるゲラン本店では、華麗な香水のディスプレイが見られるほか、現地パリでしか買えない香水も置かれています。そんな絢爛豪華なゲラン本店のレポートをお届けします♪
2019年08月29日更新
記事の目次
[1]香水の女王、『ゲラン』本店のラグジュアリーな空間
1828年、「Pierre François Pascal Guerlain(ピエール・フランソワ・パスカル・ゲラン)」により『ゲラン』の歴史はスタートしました。
1912年にシャンゼリゼ通り68番地にブティックがオープンして以来、100年以上同じ場所に店舗が実在する、とても歴史深いフレグランスメゾンです。
オープン後すぐに第一次世界大戦が始まってしまい、フランス国内でも辛い時期が続きましたが、大戦後には名香として名高い「ミツコ」や「シャリマー」を次々と発表し、フレグランス界を牽引するトップブランドとなりました。
ホテルリッツ・パリを手掛けた建築家のCharles Mewès(シャルル・ミュエス)によって建てられたシャンゼリゼ通り68番地の建物は、建築としても美しく、天井や壁のデコレーションはシルバーやゴールドといった豪華な色合いで統一されています。
コスメとフレグランス専門のブティックなのですが、香水のラインナップが圧倒的に多いのが特徴です。
エントランスから入ってすぐのディスプレイでは「Mon GUERLAIN(モン・ゲラン)」“私のゲラン”という最新作のオードトワレを見ることができました。
女優アンジェリーナ・ジョリーにインスパイアされた、ローズを主調とした香りなのだとか。
最近ではパリでも、洗練されたシンプルなデザインの香水ブティックが多いのですが、ゲラン本店は他のブティックと一線を画しています。
高級感とエレガントな品の良さがあり、まるで五つ星ホテルに滞在しているような贅沢な気分が味わえます。店内の至る所に生花がちりばめられ、ピンクで彩られた内装には女性なら誰もがときめいてしまうでしょう。
[2]4つの香りのユニバース
『ゲラン』は各香水を香りのタイプ別に、4つのユニバースに分類しています。ユニバース(universe)とは、ここで言い換えると“香りの世界観”と表現できます。
・フローラル
・オリエンタル
・フレッシュ
・ウッド
香りはパーソナリティ(個性)の表現と考え、この4つのユニバースをフレグランス選びの目安として提案しているそうです!
『ゲラン』の香水はすべてこの4つのユニバースのうちどれに当てはまるかが記されているので、香り選びのヒントになりますよね。香水によっては複数のユニバースを併せもつものもあります。
この4つのユニバースに分類されたもののほか、「シャリマー」「ラ プティット ローブ ノワール」などの人気アイテムはシリーズごとに並べられていて、迷うことなく香り選びを楽しめる空間です。
『ゲラン』は2000年代初期まで、ゲラン一族による調香師が香りを作り出していました。香水に女性への強い尊敬と愛を表現していたようです。
4代目調香師のジャン・ポール・ゲランによると、
“美しい花に香りがあるように、美しい女性に香りがあってしかるべき。あなたの残す香りの痕跡がだれかの記憶となるのだから。”
とあります。
今年で創業191年になる『ゲラン』。世界中の女性から時代を超えて愛される理由は、“いつでも女性の味方”という想いが込められているからなのでしょうね。
[3]輝くばかりの香水ボトル
さて『ゲラン』の香水は香りの良さもさることながら、その芸術的な香水ボトルも有名ですよね。美しいフォルムの香水ボトルは部屋に置いているだけでインテリアのアクセントになります。
フランスにおけるクリスタルのラグジュアリーブランド、『バカラ』とのコラボレーションで生まれた香水ボトルなど、“ハイエンドな美”に徹底的にこだわっています。
マドモワゼル向けの香り、『ラ プティット ローブ ノワール』の香水ボトルに見られる「逆さハート」のモチーフも、女性の心をくすぐるデザインです。
そしてゲランの香水ボトルの中で最も重要なコンセプトは「ミツバチ」の紋章にあります。
『ゲラン』の創設者である「Pierre François Pascal Guerlain(ピエール・フランソワ・パスカル・ゲラン)」は1853年、皇帝ナポレオン3世との婚礼にあたってユージェニー皇后にオーデコロンを献上します。
シトラス系の香りが心地よいこのオーデコロンは、“オーデコロン イムぺリアル”と名付けられます。オーデコロンのボトルの製造は、ガラス製造業者ポシェ&デュ・クルヴァルに託され、そこには帝政の紋章である蜂が刻まれました。
皇帝のシンボルである蜂は、その後メゾンの象徴ともなっています。ピエール・フランソワ・パスカル・ゲランの生み出したオーデコロンに感銘を受けた皇后は、彼を皇室御用達調香師として認定しました。伝説が生まれた瞬間でした。
「ビー(bee)ボトル」と呼ばれ、親しまれ続けている香水ボトルのデザイン。ゲラン社ではミツバチは“ラグジュアリーの極み”、“幸運を呼ぶシンボル”として称えられているそうです。
また、スキンケアアイテムにも優れた治癒力を持つ蜂蜜を配合したり、フランス養蜂観測所を支援したりと、ゲラン社は独自でミツバチ種の保護に情熱を注いでいます。
[4]パリ本店限定!『ゲラン』の貴重な香水
ゲラン本店には、入手しずらい限定の香水がいくつか置かれていました。そんな貴重な限定アイテム3選をご紹介します!
「Muguet Millésime 2019(ミュゲ・ミレジム 2019)」
「Muguet(ミュゲ)」はフランス語でスズランの意味です。
フランスでは5月1日はスズランの日とされ、この日にスズランの花を贈った人も貰った人も幸せになれるという言い伝えがあります。
フランス人から愛されている「Muguet(ミュゲ)」の名前の香水は、春の訪れを彷彿とさせるようなフレッシュグリーンの香りです。
・トップノート…フレッシュグリーン
・ミドルノート…ターキッシュローズ
・ラストノート…ジャスミン
2019年の限定品である「Muguet Millésime 2019(ミュゲ・ミレジム 2019)」は、『SERICYNE(セリシンヌ)』とコラボレートしたラグジュアリーなボトルが魅力です。ボトル全体にシルクが施されているのだそう!
みずみずしい香り立ちで、まるで開店直後のお花屋さんにいるような香りです。清楚で上品ながらも最後には優しい甘さが残る、まさにスズランの可愛らしさを表現した香水です。
「Encens Mythique(オンソン・ミティック)」
『ゲラン』の「Absolus d’Orient(アブソリュ・ドリエン)」シリーズは、オリエンタルを基調とした香りが特徴の日本未入荷の香水です。東洋にインスパイアされていて、全てユニセックスな香りとなっています。
その中でも「Encens Mythique(オンソン・ミティック)」は特にミステリアスな香りで、ニュージーランド原産の貴重なアンバー(琥珀)を原料としているそうです。
・トップノート…ローズ、アルデヒド
・ミドルノート…パチュリ、ベチバー、サフラン
・ラストノート…インセンス、アンバーグリス
香り立ちはスパイシーなのですが、15分ほどでお香のような香りに変わります。まるでアジアの秘境にある寺院を連想させるような神秘的な香りです。
漆黒のボトルからもミステリアスな雰囲気が漂っています!
「 Mitsouko(ミツコ)」
『ゲラン』でも名香と名高い「 Mitsouko(ミツコ)」は、今年2019年に発売から100周年を迎えます。
20世紀初頭のベストセラー小説『ラ・バタイユ』の日本人ヒロインの名前が「 Mitsuko(ミツコ)」だったことからインスパイアを受けた香水です。
3代目調香師のジャック・ゲランは物語の中の慎ましやかでありながら、強い意志を秘めた女性をイメージして、ヒロインの名を冠した「Mitsouko(ミツコ)」を生み出しました。
シプレー系香水の最高峰である「Mitsouko(ミツコ)」。世界中に熱いファンがいるのも納得の名香です。
※シプレー系…この系統の香水は、地中海のキプロス島をイメージして作られています。キプロス島のフランス語読みが「chypre(シプレー)」となります。そこに生息するバラやジャスミン、柑橘類や西洋杉をブレンドして作られています。上品で古風な香りが特徴。
・トップノート…ベルガモット
・ミドルノート…ローズ、ジャスミン、ピーチ
・ラストノート…オークモス、ベチバー、シダーウッド、ブラックペッパー、シナモン、アンバーグリス
「 Mitsouko(ミツコ)」日本人が思うほど優しい香りではありません。むしろダイナミックで芳醇な香りです。
日本では女性の若さへの憧れがあるので、こういう“成熟した女性”を思わせる重い香りをまとう女性は少ないのかなと思います。むしろ「 Mitsouko(ミツコ)」を愛用している人は年齢問わず、確固たる自分を持っていて、ほとんど他の香水に見向きもしない、という印象を受けます。
20世紀初頭のヨーロッパでは日本文化がブームだったので、当時のフランス人がイメージする日本人女性の“芯の強さ”や“潔さ”、そして“内に秘めた大胆さ”を香りで表したと言えます。
写真のPOPには「Sur la route du Japon」と書かれてあり、直訳は「日本への道」となります。「 Mitsouko(ミツコ)」発売100周年を記念してブティックのエントランス付近に飾られているのを発見したときは本当に感動しました。
そして2019年限定ボトルの「 Mitsouko(ミツコ)」のお値段はなんと650ユーロ(約78,650円)!
日本人女性の名を冠した香水は未だにないですし、さらに名門フレグランスメゾンである『ゲラン』を代表する香りって素敵ですよね。
[5]特別感を与えてくれる『ゲラン』本店
香りもボトルもラグジュアリーで、身にまとう女性をワンランクアップさせてくれる『ゲラン』の香水。
その華麗なヒストリーにふさわしいパリのゲラン本店は、「これぞ名門フレグランス!」といった風格があります。
上階にはゲランコスメを使用したエステサロンもあるそうで、ゲランファンにとっては最高の気分が味わえる場所です。
パリには名だたるフレグランスブランドの本店がありますが、その中でも一際輝く存在と言っても過言ではありません。
宝石箱のような空間で、とっておきの自分時間が過ごせるでしょう♡
【La Maison Guerlain(ラ・メゾン・ゲラン】
68, avenue des Champs –Elysées
75008 Paris
TEL: +33 1 45 62 52 57