アロマセラピストになるには?仕事内容や資格・学校選びについて徹底解説
アロマケアとはエッセンシャルオイル(精油)を使用したトリートメントのことですが、それを専門に扱うプロであるアロマセラピスト。アロマセラピストになるには資格や学校は必要なのでしょうか?アロマセラピストになるための道のり、仕事内容をご紹介します。
2018年08月15日更新
記事の目次
[1]アロマセラピストとは
アロマセラピストってどんな人??
アロマセラピストとは、精油の正しい知識を持ち、コンサルテーション、アロマトリートメントを通じ、身体と心の不調を整えるプロのセラピストのことです。
アロマセラピーは現在様々な方法で使われていますが、アロマセラピーの専門サロンでは、カウンセリングのもとエッセンシャルオイルを1人1人の体調に合わせ調合し、それを使用しての全身、または気になる部位別のオイルトリートメントを行うのが一般的です。
現在精油は手軽に手に入り、自宅で楽しんでいる方も多いですが、自宅では中々できないアロマセラピストならではの知識に基づいた調合で、その方の状態や好みに合わせたブレンドオイルを作ることができます。
また精油の幅広い専門知識だけでなく、解剖生理学・皮膚科学・大脳生理学等人体の仕組みや、精油の人体への影響に対しても正確な知識が必要になります。
それにプラスして、トリートメントで行うマッサージの技術も必要となります。
そしてアロマセラピーは心と身体の状態を整え、ストレスから解放するホリスティックトリートメントであり、アロマセラピストには多くの知識と技術はもちろん、カウンセリングで的確にお客様の状態を知るためのコミュニケーション能力もとても大切です。
アロマセラピストの仕事内容
身につけなくてはならないことが多いアロマセラピストですが、実際のサロンではどのように働いているのでしょうか。仕事の内容を細かくご紹介していきます。
・カウンセリング
お客様にはトリートメントに入る前に丁寧なカウンセリングを行います。同じ方でもその日の体調や気分、ご来店した時間帯等でも状態は毎回変わります。
まずはその方の不調部分、精神状態、そしてその時好みの香りはどんなものか等状態と要望を把握します。
・アロマオイルの調合
ブレンドオイルのベースとなるキャリアオイルと精油をそれぞれ選び、濃度や香りの相性に気をつけながらその方1人1人に合わせたアロマブレンドオイルを調合します。
・身体のトリートメント
基本的には軽擦法(優しくなでるような方法)でリンパ・血液の流れを高めるマッサージを行います。疲れがでている部位には優しく揉みほぐしたり、ツボ押しをしたりします。
また、東洋医学における「気」の流れを整え、身体のバランスを整えていきます。
・心のトリートメント
お客様のお話を聞くことでストレスリリーフにつながったり、状態を知り、その時の心の状態に合わせた精油を使用することで精神と感情のバランスを整えます。
・おもてなし
サロンの雰囲気によっておもてなし方法は違いがありますが、基本的にアロマセラピーサロンにはリラックスや癒しを求めてご来店される方が多く、迎え入れるセラピストにはおもてなしの心が求められます。
ご来店時の迎え入れ方、お見送りの仕方はもちろん、お部屋の温度、湿度、音楽の大きさや照明の明るさ、トリートメント時のセラピストの手の温かさや、スチームタオルの温度などもお客様への配慮が必要です。
またお客様との会話のテンポ、声の大きさ、言葉の使い方といったことも大切で、そういったことが、お客様がよりリラックスできる環境をつくる要因になり、1つ1つの会話やカウンセリング時の様子、トリートメント時の身体の状態からからその方の要望を読みとり、お客様が心地よくリラックスできる空間を用意する必要があります。
・サロン雑務
サロンでは接客以外にも様々な雑務があり、タオルや備品準備のための水仕事、トリートメントルームの清掃など体力も必要です。また予約対応等の電話や、サロンや役職によって発注、サロンPR活動、経理業務等がある場合もあります。
[2]アロマセラピストになるには
アロマセラピストになるには資格や学校は必要なの??
今までアロマセラピストの仕事内容をご紹介してきましたが、アロマセラピストになるためには資格や専門の学校に行く必要はあるのでしょうか。
現在日本ではアロマセラピストは国家資格に定められていないため、資格を持っていなかったとしてもお客様にトリートメントを行うことは可能です。そのため、自分はアロマセラピストだと名乗ればすぐにでもなることができます。
しかし、海外では国家資格になっている国や地域もあり、それはアロマセラピーが、心と身体に必要であり、きちんと効果を望めるものだとされているからです。きちんとした教育を受け、実践を積んできた人にしかクライアントに触れることはできないのです。
実際サロンで働くにあたって、求められる能力・技術・知識はかなり高いものがありますし、例えば精油の知識が浅い状態で、またはトリートメント経験のない状態でお客様の満足する接客をするのは難しいでしょう。
アロマオイルは人間の心身に影響を及ぼすものなので、仕事にするのならばしっかりとした知識、技術を身につけてからトリートメントを行うことが不可欠です。
知識と技術を身につけるためにアロマセラピストの学校がありますが、ここに通うことでアロマの正しい知識や技術をしっかりと身につけることができます。もちろん独学でも勉強はできますが、学校では日々学生同士やクライアントに向けて実践での実技練習ができることは重要なポイントです。
さらに学校ではそこの学習内容に沿ってアロマセラピストの資格がとれるようになっている所もあり、さらに卒業後の勤め先を紹介してくれるところもあります。
このように就職を考えた場合には学校に通ったほうがスムーズに、そして希望に沿った就活ができることが多いようです。
アロマセラピストになるために、資格は絶対に必要なものではありませんが、資格がない場合「未経験者OK」とでている求人を選ぶしかなく、資格があることで勤め先の選択肢が拡がり、より自分に合ったサロンを選べるようになります。
アロマセラピストになるための道のり
次にアロマセラピストになるための道のりをパターン別にご紹介していきます。
- アロマセラピストの学校に入り、資格を取得して学校の紹介、または自分で探したサロンに就職し、経験を積んでいく
- 無資格・未経験の状態で、サロン求人の「未経験者歓迎!」等記載があるサロンに就職し、そこで経験を積んでいく(サロンによっては働きながら資格取得をサポートしてくれる所もあり)
- サロンではなくアロマグッズを専門に取り扱う店に務め、そこで商品知識を増やしながらお客様におすすめの精油を紹介したり、ブレンド方法をお伝えしたりする(これはセラピストよりはアロマのカウンセリング中心の仕事になります)
その他にも持っている資格や経験により、最近では産婦人科などでもアロマセラピーを取り入れているところも増えてきていますので、病院などの医療機関に就職することや、また、アロマスクールの講師として生徒の指導にあたる道もあります。もちろんしっかり技術と知識と経験を積み、自分のサロンを開業することも可能です。
アロマセラピストの資格
■自分が目指す方向にあった資格を取得しよう!
色々調べてやっぱり資格を取得してから始めたい!と思った時、迷うのはどの資格にするか・・・ですよね。資格は種類によって方向性や特徴が違います。自分がどんなセラピストになりたいのか、どんなサロンで働きたいのかをよく考えてその特徴にあった資格を選びましょう。
中々決められない時は、就職したいサロンの経営者が持っている資格を参考にしてみるのもいいかもしれません。
代表的なアロマセラピストの資格紹介
・AEAJアロマセラピスト
AEAJは内閣府に公益認定された、アロマテラピー関連で唯一の公益法人。植物の香りを用いた「アロマテラピー」を通じて人々の心身の健康に寄与することを目的に、アロマテラピーの普及・調査・研究などの活動を行っています。その一環として、アロマテラピー検定をはじめとした各種資格認定による、正しい知識と技能を持った人材育成に取り組んでいます。
また、自然の香りある豊かな環境(アロマ環境)を未来につなぐため、環境カオリスタ検定や香育など、自然環境の保全・創造にむけた取り組みも推進しています。
プロのアロマセラピストとして、一般の方にアロマテラピートリートメントやコンサルテーションを実践できる能力を認定する資格です。
精油の専門知識に加え、解剖生理学や皮膚科学に関する知識、トリートメント技術などを習得し、ボディおよびフェイスへのアロマテラピートリートメントやコンサルテーションを提供できる専門人材です。
・IFA国際アロマセラピスト
国際アロマセラピスト連盟(IFA)はアロマセラ ピーのための専門機関です。また IFAは 1985に設立された臨床とホリスティックアロマセラピーを初めて世界的に展開した管理機関です。我々の目的は知識の向上と教育と訓練によるアロマセラピーの専門的技術の実践による健康とウェルビーイングを保持し続けることです。
我々はプラクティショナーとコース提供者のためにアロマセラピーの水準規定を統制し公認しています。我々はメンバーの誠実性の高水準を得るため、またクライアント、公共と専門職を守るための知識と専門意識を援助します。
会員は実践をサポートするためのその分野における最新情報や変化や発展など広範囲にわたる利益を得ることができます。私たちはコース認定校・提供者を通じて世界的に認識された資格を多くの 方に取得していただくためにアロマセラピーと精油の専門分野に特化したディプロマコースを提供しています。
当連盟の専門性規格に到達するためにコース認定 校・提供者を支援し、教えるための革新的なコースも提供しています。IFAは国民医療保険病院やホスピス、看護専門職におけるアロマセラピーの先駆けであ り、我々の専門知識は独自の教育プログラムや、メンバーの継続的な専門的施術の増加で証明されています
・CIDESCOアロマセラピスト
CIDESCOアロマセラピストとは、CIDESCOの試験に合格したセラピストのみが受けられるCIDESCOアロマセラピスト試験合格者のことです。
CIDESCO(シデスコ)は、エステティックの教育機関として世界的に認められた国際団体です。1946年にベルギーで設立され、70年にわたる歴史を誇ります。
【CIDESCO INTERNATIONAL 】フェイシャル・ボディトリートメント、メイクアップ、化粧品学などのエステティック全般に関する知識と技術のレベルアップと、世界中への普及を目的とし、各国のエステティシャン、皮膚科医などの医療従事者、学識経験者が多数参加して設立されました。現在、世界で30ヵ国以上の国が加盟、日本は1972年から支部を設立し加盟国となりました。
CIDESCOでは独自の基準に基づき、エステティシャン、学校、サロンの認定制度を設けて世界水準を保っています。CIDESCOセラピストとなるには、CIDESCOが定める認定校にてハイレベルなカリキュラムを受け、合格することが必要です。
ごく短い研修で発行される他の資格とは一線を画し、優れた人材を多数輩出することで世界的に高い評価を受けています。磨き上げられたエステティシャンのみに可能な、世界水準のエステティックを提供します。
引用:シデスコ日本
・日本アロマセラピー統合医学協会アロマセラピスト
今、医療界で新たに注目されているのが、「統合医療」という取り組みです。それは、人が本来備えている自然治癒力の向上をめざし、西洋医学を中心に、伝統的な代替医学をバランス良く組み合わせて活用すること。
そして、その一つの方法が「メディカルアロマ」です。香りや趣味として一般的になった“アロマ”ですが、精油の持つ働きを心や身体の不調に活かしていく“代替医療”としての役割が高まっています。
また、「統合医療」には基礎医学や心理学、アロマ、メディカルハーブなど、さまざまな知識や技術が幅広く求められています。日本アロマセラピー統合医学協会は、「メディカルアロマセラピスト」をはじめとする各種資格認定とともに、「統合医療」を広く普及させる活動に努めています。
・NARD
NARD( Natural Aromatherapy Research and Development )は最新のアロマテラピー研究を行い、メディカルアロマテラピーの情報発信の中心地ベルギーから、ヨーロッパ、日本を始め世界の各国へアロマテラピーの普及・啓蒙の活動をしています。
独自のアロマテラピーに関する研究・研修センターを設置して、試験農場にて各種ハーブの育成・栽培、蒸留抽出の実験、ガスクロマトグラフィー等による精油の成分分析を行っています。
また、アロマテラピーの知識が正しく理解され、多くの方がアロマテラピーに接して、活用される機会を広げるよう、日本独自のスクール・セミナーなどの教育・研修のシステムを作り、アロマテラピーの普及・啓蒙活動を行っています。
引用:NARD JAPAN
どれも特徴や取得までの道のりは様々です。現在日本ではアロマセラピーは民間資格のため、それぞれの団体がそこの基準で資格を設けている状態です。そのため選んだ資格によって学ぶ内容も大きく変わってきます。資格選びに失敗しないためにも事前にしっかり見比べましょう。
アロマセラピストの学校
■アロマセラピストの学校選びのポイント
アロマセラピストの学校に通ってセラピストを目指す場合、どの学校にするかで内容は大きく変わってきます。現在アロマセラピースクールは様々な種類があり、その内容によって受講費、受講期間等様々です。
自分の目指している目標や目的に合ったところを選ばないと通いきれずに挫折してしまうこともあるかもしれません。資格選びと同様、自分がなぜアロマを勉強したいのか、どんなセラピストになりたいのかをしっかり考えそれにあっている学校を選びましょう。
アロマスクールの中には、提携しているサロンへの就職を支援、提携しているサロンでの現場研修を行っていたり、卒業後の進路サポートを丁寧に行ってくれるところもあるので、とにかく卒業後はすぐに働きたい!という方はこのようなサポートが手厚い学校を選ぶのも良いと思います。
そしてアロマスクールは必ずしも資格取得だけが目的ではなく、アロマの知識を深めるためのコースもあります。趣味で楽しみながら身近な人にアロマセラピーを行いたい、セルフケアするための基礎知識・技術を知りたいという、今の環境の中にアロマを取り入れて楽しみたいという方はそのようなコースもおすすめです。
[3]アロマセラピストの仕事環境は?!
アロマセラピストになってからの環境はどうなるの?
アロマセラピストの資格や学校についてご紹介してきましたが、実際にアロマセラピストになってからはどんな環境になるのでしょうか。
そして大体のサロン業務は上記で紹介しましたが、気になるのはお給料ですよね!アロマセラピストは技術職なので経験によっても差がでますが、まずは初任給をみていきましょう。そしてそもそも仕事の求人自体はあるのでしょうか。
■アロマセラピストの給料
アロマセラピーサロンで働いた場合、平均の初任給は15〜16万円程度と言われています。年収は200〜300万円程度であり、一般的な事務職と比べて少し低いようです。ただ初任給は経験の有無、資格の有無によって変わる場合も多く、サロンの基準により様々です。
また、初めは資格がなかった場合でも働きながら知識をつけ資格を取得したり、今持っている資格より上位の資格を修得した場合でも給料が上がることが多いようです。
その後は経験を積んでサロンの管理職になったり、独立して自分のサロンを開業すればまた収入は変わってきます。
■アロマセラピストの求人
アロマセラピストの求人募集ですが、スクールからの紹介や今までお客様として通っていたサロンに就職という流れもありますが、ネットで探すこともできます。通常の就職サイトではなく、美容職専門の求人サイトもありますので、そちらをチェックするのも今の傾向が知ることができて良いと思います。
資格優遇や経験者優遇という募集から、初心者歓迎というサロンもあります。働きたいと思うサロンがどのような方向性か事前に求人をチェックしてみるのも資格や学校選びに役立ちます。
また、これまでアロマ専門のトリートメントサロンを中心にお伝えしてきましたが、アロマセラピストはアロマグッズショップ、医療機関、その他のリラクゼーションサロン、福祉施設等でも求人がある場合もあり、どの様な環境で働くかの選択肢は様々です。能力を活かして充実したアロマセラピスト生活が送れると良いですね。
[4]アロマセラピストを目指すに向けて
アロマセラピストの仕事は身体と心を癒すこと
最後に、アロマセラピストを目指すに向けて大切な心構えについてお伝えしたいと思います。アロマが好きでそれを使って仕事がしたい!と思いアロマセラピストを目指す方は多いと思いますが、アロマセラピストとはアロマの知識・トリートメント技術だけがあれば良いというわけではありません。
実際サロンでプロのセラピストとして働く上で求められるのは、上記にもあるように、知識と技術、そしておもてなしの心です。おもてなしの心とは一体どういったことなのでしょうか。接客業に携わったことがある方はイメージが湧きやすいかと思いますが、直接お客様の肌に触れて2人きりの空間でトリートメントを行うセラピストの仕事は、数ある接客業の中でも特別な気配りや配慮が必要な繊細な仕事です。
また、2つの手を使い行うことでお手当てという言い方もされるセラピストの仕事は、お客様の気(疲れやストレスも含む)を吸い込み、排出して浄化していくことなので、セラピストの心の状態や体調もしっかり整えておくことが必要です。
■心からのおもてなしが大切
サロンにお越しになるお客様は、トリートメントケアを求めてご来店されますが、例えその技術が完璧だったとしても、それ以外の部分でお客様の満足度は大きく変わってきます。
例えば、カウンセリングが不十分で要望を伝えきれなかった、話のテンポが合わず会話が噛み合わない、部屋が寒かった、もっとアドバイスをしてほしかった、ただゆっくり話を聞いてほしかった…等々、お客様のお悩みはもちろん、それ以外のちょっとした部分に気づけるか、お客様の身体と心の声に耳を傾け、「気付こう、気付きたい」という気持ちで常に接客ができるかどうかでセラピストとしての仕事の質が大きく変わってきます。
そういった心からのおもてなしは、アロマセラピストを目指す上でとても大切であり、常に持ち続けるのは中々難しいことです。経験が必要というだけでなく、セラピスト自身の心身の状態を整え、お客様を迎え入れる環境にも常に気を配り続けることが必要です。
しかし、お客様からの喜びの言葉や、カチカチに凝り固まり、ストレスに満ちていた心と身体が解き放たれ、笑顔でお帰りになられる姿をみることで、この仕事のすばらしさを感じるのです。もっともっと喜んで頂きたいという気持ちがモチベーションとなり、心からのおもてなしにつながっていくのだと思います。
プロとしてアロマセラピストを目指すのであれば、知識と技術を身につけながらこの部分も育てていきたいですね!