ガーデニングでも人気の植物、マートル精油(エッセンシャルオイル)の効果・効能
マートルは、アロマでよく名前が知られるユーカリやティーツリーと同じフトモモ科の植物です。和名では「ギンバイカ」と呼ばれ、ガーデニング用の植物としても人気を集めています。アロマの分野では空気清浄や風邪予防などにも効果があるとされるマートルの特徴と効果を詳しく紹介します。
2019年08月06日更新
記事の目次
[1]マートルとは?
マートルはティーツリーやユーカリと同じフトモモ科に属し、小ぶりな白い花を咲かせる植物です。梅の花に似ていることから、日本では「ギンバイカ(銀梅花)」と呼ばれています。
地中海沿岸を原産とする常緑低木
ユーカリやティーツリーをはじめとしたフトモモ科の植物はオーストラリアを原産とすることが多いですが、マートルは地中海沿岸が原産地です。
小ぶりな白い花を咲かせ、葉からは香料を採取することができます。黒い実はマートルベリーと呼ばれ、こちらは食用可能です。
原産地付近で栄えた古代文明でもマートルは大切にされてきました。シュメール文明では、女神イシュタルの聖花とされ「エデンの園の香り」ともいわれています。
イシュタル信仰は時代が進むにつれて古代ギリシャのアフロディーテ、ヴィーナスと言った女神に受け継がれていきます。
このため、アフロディーテやヴィーナスにもマートルが捧げられてきました。
祝いの木としてブーケなどに使われる
女神に捧げられる花として知られるマートルは、古代ギリシャでは「愛と不死」の象徴として扱っていました。
その使用方法はさまざまで、媚薬や香水、料理など幅広く活用していたと言われます。
ローマでは結婚式に欠かせない花であり、今でも愛と純潔を示す花として花嫁のブーケや髪飾りに使われています。
結婚式に使われるイメージが強いことから「祝い木」という別名も持ちます。
その他、マートルは「ミルトス」という表記で『旧約聖書』にも登場します。現在でもユダヤ教では儀式にマートルが用いられています。
マートルの花言葉
マートルの花言葉は「愛」、「高貴な美しさ」で、古代から女神のために捧げられた花としてふさわしい意味を持つ言葉が選ばれています。
[2]マートルの育て方
マートルはかわいらしい花を咲かせ、葉はハーブとして使うことができることから、ガーデニング用の植物としても人気が高い植物です。
日常の手入れ
マートルの手入れには剪定が必要です。伸びすぎた枝は樹形を乱し、花つきを悪くしてしまう原因になるため、先端を切り詰めましょう。
出典 shuminoengei.jp
また、枯れた枝や、重なり合った枝なども切り落とす必要があります。
枝の成長よりも幹が太る速度が遅いため、枝葉が茂りすぎると幹が枝を支えきれなくなります。
バランスを見て、枝が茂りすぎていると感じたら刈って幹に負担をかけないようにしましょう。
置き場所
原産地が地中海沿岸ということもあり、温暖な気候に適した植物で、耐寒性はあまりありません。
関東以西の地域であれば地植えで育てることができます。ただし、冬場の乾燥した空気や冷たい風には弱いため、日当たりの良い場所に植えるようにしましょう。
冷たい風に当たりすぎると枝先が傷んで花が咲かなくなることもあるため、よく日が当たり、寒風を避けることのできる場所を選ぶようにしてください。
増やし方
マートルは挿し木と種で増やすことができます。挿し木に適切な時期は7月ごろで、その年に伸びた新しい枝を10cmほど切って土に挿します。
種をまいて増やす場合は、11月ごろに熟した果実を採集して種を取り出し、乾かさないように冷蔵庫の中で保管して翌春の3月以降にまくようにしてください。
順調に育つと、半年後には20cm~30cmにまで成長します。
[3]マートル精油に含まれる成分と効果・効能
すっきりとした甘い香りのマートル精油は、アロマテラピーにも利用されています。マートル精油の効果と効能を紹介します。
リラックス効果
マートルの精油成分には、α-ピネンが多く含まれています。α-ピネンは森林浴効果があるとも言われており、鎮静作用を期待できます。
マートルの香りは気持ちを落ち着かせ、神経が高ぶって眠れないときにも効果的です。
α-ピネン以外にも、リモネンやリナロールなど、リラックスをサポートしてくれる成分が含まれているので、マートルは心の乱れを落ち着かせ、精神のバランスを取り戻したいときに用いると効果的です。
柔らかな甘い香りが、ストレスや緊張で疲れたり、イライラしたときに心を癒し、精神のバランスが整うことで、本来の明るさを取り戻してくれます。
風邪の予防に
マートル精油には、α-ピネンをはじめ、1.8-シネオールやリモネンなど、免疫力を向上させ、抗菌・抗ウィルス作用を持つ成分が多く含まれています。
特に1.8-シネオールは抗炎症作用や抗アレルギー作用もあるため、風邪やインフルエンザ、喘息、気管支炎、花粉症、鼻炎などの幅広い呼吸器の不調の軽減に役立つと考えられています。
呼吸器のケアのほかにも、膀胱炎や尿道炎などの感染症に効果があります。
また、マートルはフトモモ科の植物の精油の中でも優しい香りであるという特徴があります。
ユーカリやティーツリーのツンとしたカンファー調の香りが少し苦手という人は、マートルの精油を試してみるのをおすすめします。
肌の調子を整える
マートルの精油に含まれるα-ピネンや1,8-シネオールなどの精油成分は、毛穴や皮膚のたるみを引き締める収れん作用があると言われています。
殺菌作用も期待できるため、毛穴の汚れやニキビで悩んでいる人のケアに適しています。
また、収れん作用によって皮脂の分泌を抑えることもできるので、頭皮や髪の脂っぽさに悩んでいる人にもおすすめです。
皮膚が引き締まることで、しわやたるみの予防にもつながるため、マートル精油はエイジングケアにも効果的です。
しかし一方で、1,8-シネオールは皮膚刺激性も指摘されているため、敏感肌の人は肌に直接塗布するのは避けた方がいいでしょう。
敏感肌以外の人も、低濃度に希釈したものでパッチテストを行ってから使用することをおすすめします。
[4]おすすめのマートル精油(エッセンシャルオイル)とおすすめのブレンド
心身ともにさまざまな効果をもたらしてくれるマートル精油は、通販で購入することができます。相乗効果を発揮したり、香りの相性の良いブレンドもあわせて紹介します。
マートル精油/生活の木
マートル精油は比較的安価で購入できるため、使用しやすいのもポイントです。
風邪の予防にアロマディフューザーで室内に香りを拡散したり、マスクなどに使用するのもおすすめです。
また、マートルに含まれる1.8-シネオールは抗菌作用が高いことから、消臭作用を発揮すると言われています。
雑菌の繁殖が悪臭物質を発生させるため、雑菌を繁殖させないようにすることで消臭することが可能です。
マートル精油でアロマスプレーを作り、排水溝や生ごみの三角コーナーなどに吹きかけると効果を発揮してくれます。
おすすめのブレンド
マートルはフトモモ科の中でも香りがやさしくクセがないため、何系の香りとも比較的ブレンドしやすいです。
特に相性が良いのはハーブ系やスパイス系ですが、ウッド系の精油ともよく合います。
風邪予防の効果を高めたいときは、ユーカリ、タイム、ティーツリーとのブレンドがおすすめです。
リラックス効果を高める場合には、ベルガモット、クラリセージなどと合わせてみてください。
[5]ガーデニングにもおすすめのマートルでリラックスしよう
古代から縁起の良い植物として人々に愛されてきたマートル。現在も、その愛らしい白い花と甘く優しい香りでガーデニング用の植物としても精油としても人気を集めています。
アロマの効果を得たい人はもちろん、植物を育てたいと思っている人も、マートルを選んでみてはいかがでしょうか。
☆アロマセラピスト菊池より一言☆
ユーカリに似たスッキリの中に甘さを感じさせる落ち着いた香りが特徴のマートル。
酸化物の1.8シネオールやモノテルペン炭化水素を多く含み、風邪や呼吸器系のトラブルへ穏やかに作用する精油です。神経毒性のあるスイートマートルと間違えないよう、学名を確認してから購入しましょう!
※アロマオイル(精油/エッセンシャルオイル)を使う際の注意点
アロマオイルは医薬品ではないため、「治療」できるものではありません。ここに掲載されている内容は精油の効果効能、心身の不調改善を保証するものではありません。予めご了承ください。症状がひどい場合は医療機関を受診することをおすすめいたします。実際にアロマの香りに癒されるという方はたくさんいます。自分の体の状態や気分に合わせて上手に取り入れてくださいね。