不朽の名作映画「アラジン」実写版が今夏を席巻!ゲランで紡ぐ愛の香り3選

公開直後から話題沸騰!この夏ディズニーが贈る実写版映画「アラジン」。異国情緒漂うアラビアンナイトの世界は、砂埃やスパイス、香油、宝石、フルーツ…様々な匂いが入り混じり、今にも映像からオリエンタルな香りが漂ってきそう。そんな世界で繰り広げられる主人公アラジンとプリンセスジャスミンの恋とロマンの物語を、『ゲラン』の香水で紡いでいきたいと思います。

2019年07月04日更新

香水/フレグランス

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[1]実写版「アラジン」について


出典 disney.co.jp/movie/aladdin.html

1992年にディズニーが製作したアニメーション映画「アラジン」の実写版です。

元ネタはイスラム世界の説話集「千夜一夜物語(アラビアンナイト)」の中の一話「アラジンと魔法のランプ」とされていますが、正確にはヨーロッパで追加された物語であり、元々のアラビア語の原典には収録されていないそうです。

内容も、ディズニーの「アラジン」とはかなり違っていて、原典ではなんと舞台はアラビアではなく中国。魔法のランプをこすって唱える願い事も無制限でOK。

姫も“ジャスミン”という名ではなく、単に“王家の姫”と書かれているだけのようです。
“ジャスミン姫”なんてアラビアっぽくないなぁとは思っていましたが、それもそのはず、ディズニーが名付けたオリジナルのネーミングだったんですね。

その他にも何かとシュールな原典の内容を知ると、少しガッカリしてしまうかもしれません。

でも、さすがはディズニー。ロマンスと冒険に溢れた笑顔いっぱいのストーリーとして、全く別物の感動作を生み出しました。

それがこの「アラジン」です。

主な登場人物

・アラジン(メナ・マスード)

出典 disney.co.jp/movie/aladdin/about.html

アグラバーの街で、相棒でもある猿・アブーと一緒に暮らす、優しくて賢い青年。盗みを働きながらその日暮らしの貧しい生活を送っていますが、人生を変えるチャンスを待ちわびています。

・ジャスミン(ナオミ・スコット)


出典 disney.co.jp/movie/aladdin/about.html

アグラバー王国の王女。なかなか宮殿の外に出ることを許されない立場ですが、自立心旺盛で、アグラバーを愛し国の発展と国民の幸せを願っています。トラのラジャーは心を許せる友達でもあり、ボディガードの役割も果たしています。

・ジーニー(ウィル・スミス)


出典 disney.co.jp/movie/aladdin/about.html

魔法のランプの中に、1000年間も閉じ込められていた魔人。陽気で明るく、性格も良い。ランプをこすった者の願い事を3つまで叶えてくれます。

ただし、
・願い事を増やす
・誰かを好きにさせる
・死者を蘇らせる
以上のことはできません。

・ジャファー(マーワン・ケンザリ)


出典 disney.co.jp/movie/aladdin/about.html

催眠術で人を操ることができる、アグラバー王国の国務大臣。魔法のランプを手に入れ、自分が誰よりも”一番”になって王国を乗っ取ろうと企んでいます。オウムのイアーゴがしもべ。

あらすじ


出典 disney.co.jp/movie/aladdin.html

少し前にアニメ版「アラジン」がTV放送されたので観た方も多いかもしれません。

実写版と異なる部分もありますがほぼ同じ内容なので、アニメを観た方には言わずもがなですが、ある日アラジンは街でトラブルになっている女性を助け出します。

その人こそアグラバー王国の王女、ジャスミン。城を抜け出し、お忍びで街に出向いていたところ、貧しい少年を救おうとしたせいでトラブルになります。そこをアラジンに助けられ、一緒に街中を逃げ回り追っ手から逃れることに成功。

ジャスミンは「王女の侍女」だと名乗り、本当の正体を隠したまま城へ戻りますが、アラジンの相棒 猿のアブーがジャスミンの腕輪をこっそりくすねてしまったため、それを返そうとお城へ向かったところ、国務大臣のジャファーに「ジャスミンは侍女ではなく王女」だと告げられます。

既にジャスミンに対して淡い恋心を抱いていたアラジンは、あまりにも身分違いなことに落胆しますが、ジャファーから「チャンスを与えるから魔法の洞窟に入り、魔法のランプを取って来い」と命じられます。

アブーと共に洞窟に入るアラジン。洞窟の中は財宝だらけですが、ランプ以外のものには触ったらいけないという掟があるので、ひたすらランプを目指して進み、その途中で岩の下敷きになっている”魔法の絨毯を助けたりもします。

そしてなんとかランプを手にしたアラジンですが、アブーが目の前に落ちてきた宝石をうっかり手にしてしまったため洞窟は崩壊し、アラジンとアブー、魔法の絨毯は閉じ込められてしまいます。

途方に暮れるアラジンですが、魔法の絨毯に促されランプをこすってみたところ、1000年もの間このランプに閉じ込められていたという魔神ジーニーが現れます。

「ランプをこすった主の願い事を3つまで叶える」というジーニー。

まずはこの洞窟から脱出することを1つ目の願い事にするかと思いきや、アラジンはジーニーのノリの良い性格に便乗し、ランプをこすらず洞窟から脱出することに成功します。

そして1つ目の願い事として、自分を王子にしてもらい「アバブワー」という架空の国の「アリ王子」として、ジャスミンのいるアグラバーの城へ向かいます。

さぁ、アラジンとジャスミンの恋の行方は─?
そして残り2つの願い事とは…?

アグラバーの街から浮かぶ香りのイメージ


出典 disney.co.jp/movie/aladdin.html

“アグラバー”というのはもちろん実在しない架空の国ですが、映画の冒頭からアラビックな街のシーンが描かれ、ターバンを巻いた街の人や商人、露店などでごった返し、砂漠の国らしい熱気に溢れていて、人々の体臭にスパイス、果物、香油などが入り混じった異国情緒溢れるエキゾチックな香りが、画面越しに漂ってくるかのようでした。

こんなふうに、映像から香りをイメージし、頭の中で具現化させながら映画を見るのは、そのシーンに対するイマジネーションがより膨み、空想力を養うちょっとしたトレーニングになりますね。

[2]ゲランで紡ぐ、愛のストーリー

今回は、そんなエキゾチックな街並みを背景に繰り広げられるアラジンとジャスミンの恋の始まりからゴールまでを、ゲランの香水と共に紡いでいきたいと思います。

それは出会った瞬間に。恋の始まり「シャマード」

CHAMADE(シャマード)オーデトワレ/GUERLAIN(ゲラン)


出典 guerlain.com/jp/ja/fragrance

トップノート:ガルバナム、ヒヤシンス、ベルガモット、グリーンノート
ミドルノート:イランイラン、ローズ、カシスの実、ジャスミン
ラストノート:ベンゾイン、ベチバー、バニラ、サンダルウッド

1969年、ゲラン4代目の調香師ジャン・ポール・ゲランが創作した「シャマード」は、“心が愛に降伏したときの、ハートが打ち震える瞬間を表現”し、それは、“誰もが一度は経験したことのある、あの感覚”と謳っています。

オーデトワレではなく香水(パルファン)のボトルは、恋のキューピッドの矢がハートを撃ち抜いたデザイン。

この香りを収めるボトルとして、これ以上のものはありません。
香りを嗅がなくてもこの香水がどういうものなのかよくわかる、ベストなデザインだと思います。

劇中でアラジンとジャスミンが最初に出会った時、「目と目が合った瞬間稲妻が走り、一瞬で恋に落ちました!」というような、わかりやすくベタな描写はありません。

なのに、一緒に街中を駆け回る中で、逃げ切った後の短い時間で交わされる会話や顔の表情で、もうお互い惹かれ合っているのが十分過ぎるほど伝わってくるんです。

まさに、“誰もが一度は経験したことのある、あの感覚”が、映画の中でごく自然に、そして的確に表現されていました。

つけた瞬間、ヒヤシンスの尖ったグリーンノートに加え、ガルバナムが醸し出すバルサミック感なども合わさり、なかなか強烈に鼻を突いてきますが、この目の前がパーッと開けていくような疾走感溢れるファーストインパクトは、一瞬で恋に落ちた時のそれをよく表しているなと思います。

弾けるようなスタートダッシュの後は、イランイラン、ローズ、ジャスミンといった王道フローラルがじわじわ顔を出してきて、角が取れてまろやかになったグリーンノートと溶け込み良い感じに落ち着いてきます。フワフワ浮き足立って、抑えても抑えても浮かんでくる高揚感を優しく包み込むように。

その後、バニラやサンダルウッドの高貴な甘みが穏やかに香り、温かくて壮麗な余韻を残します。

とても今風の香りとは言えないクラシカルなグリーンオリエンタルフローラルですが、だからこそ古代アラビアの物語にも溶け込めてしまう、威厳ある香水です。

アラジンとジャスミンが出会い、ハートが打ち震えた瞬間・・・
そこにはこの「シャマード」を。
そして次なる恋の展開へとバトンを繋げます。


 

楽しい!嬉しい!愛おしい!溢れ出した恋心に「夜間飛行」

VOL DE NUIT(夜間飛行) オーデトワレ/GUERLAIN(ゲラン)


出典 guerlain.com/jp/ja/fragrance/

トップノート:ベルガモット、ガルバナム、プチグレン
ミドルノート:ジャスミン、黄水仙
ラストノート:サンダルウッド、アイリス、スパイス、バニラ

1993年にゲラン3代目調香師、ジャック・ゲランが発表した「夜間飛行」は、ジャックの友人でもあるフランスの小説家サン=テグジュペリが1931年に書いた小説”夜間飛行”をイメージして作られたもの。

月明かりの下、王子に扮したアラジンが正体を隠したままジャスミンと魔法の絨毯に乗って大空を飛び回るあのシーン。

まるで自分も一緒に魔法の絨毯に乗り空を飛んでいるような、ワクワクが止まらないロマンいっぱいのあの光景は、観た人全ての心を魅了したと思いますが、ここで思い浮かんだ香りはもう「夜間飛行」しかありませんでした。

香りそのものよりも「夜間飛行」というネーミングがもうこのシーンにぴったりですからね。でも、映画を観終わった後この香水のコンセプトを確認したところ─…

「当時の著名な女性パイロットであったエレーヌ・ブーシェのように、女性らしさを失うことなく、男性中心の社会でも自分の立場を貫き、冒険的で志のある女性に捧げられた香り」と。

そう、ジャスミンそのものだったんです!

サン=テグジュペリの“夜間飛行”ではなく、アラジンをイメージして作られたんじゃないかと思うぐらい、この香りのコンセプトはジャスミンに似つかわしいものでした。

そして香りはというと、シャマードと同様こちらもなかなか衝撃的なスタートで幕を開けます。ベルガモットとプチグレンが持つエグみ、茎っぽく青臭いところなど、短所を前面に押し出したような、予想だにしなかった香りが噴出し、思わず顔をそむけたくなるほど。

でもそれはほんの一瞬で、すぐに濃厚なジャスミンが主張し始め、そのまま色っぽく大人っぽい香りに傾くかと思いきや、あどけない少年がこれから始まる冒険にワクワクしているような姿が思い浮かぶ、ボーイッシュで面白い香りに変化していきます。

フローラル感はあまり感じず、粉っぽくバルサミックなオリエンタルシプレーですが、徐々に、ダンディな紳士を彷彿とさせる男性的な香りに。
私はここの部分が苦手なんですが、これはシプレー香水(※)の宿命のような気も…。

そこを抜けるとバニラ、サンダルウッド、アイリス独特のパウダリックな甘さが出てきて、最後には高貴なバニラで幕を閉じます。どこまでも男性的ではあるんですが、女性がつけるからこそ、この香水のコンセプトが生かされるのかなとも思います。

お互いの気持ちを確信し、恋が走り出した二人。最高にロマンチックな空飛ぶ絨毯での夜間飛行には、やはり「夜間飛行」を。そして主題歌「ホール・ニュー・ワールド」がさらに拍車をかけ、忘れがたい感動的なシーンになっています。

(※シプレー香水:ベルガモット、オークモス(苔)、ベチパー(土臭くスモーキーな多年草)、パチュリ(墨っぽい香りが特徴のハーブ)を貴重とした香調。)


 

恋から愛へ。永遠を誓う「シャリマー」

SHALIMAR(シャリマー) オーデパルファン/GUERLAIN(ゲラン)


出典 guerlain.com/jp/ja/fragrance/

トップノート:ベルガモット、レモン
ミドルノート:ローズ、ジャスミン
ラストノート:バニラ、オポパナクス、アイリス、トンカビーン、ベンゾイン

タージ・マハルを造ったことでも有名なムガル帝国の第5皇帝シャー・ジャハーンが、最愛の王妃ムムターズ・マハルへの愛の証として造ったシャリマー庭園。

この皇帝が王妃のことをどれだけ愛していたかというのはとても有名な話ですが、この物語からインスピレーションを得たジャック・ゲランが1925年に誕生させた香水が「シャリマー」です。

サンスクリット語で“愛の宮殿”を意味し、永遠の愛を描く、世界で初めてのオリエンタルフレグランス。作られた背景といいコンセプトといい、全てが“愛”で満たされた、ゲランが誇る名香です。

映画のラスト近く、「アリ王子」ではなく素に戻ったアラジンは、ジーニーと協力して悪に取り憑かれたジャファーをやっつけた後、ジャスミンの元を立ち去ろうとします。

出会いからここに至るまで、ジェットコースターのような体験を共有し、心も通じ合っているけれど、“王女と結婚できるのは王子だけ”という法律がある以上、アラジンとジャスミンの身分違いの恋が結ばれることは不可能だからです。

が─。

ここでは経緯は省きますが、結果的に二人は結ばれ、結婚することに!
淡い恋心は、永遠の愛に…。

「シャリマー」は、ゆるぎない愛を確信し、安心感と幸福感に溢れたどっしり落ち着いた香りです。

初めは柑橘ビターがじんわりと内側から滲み出てくるように香り、やがて華やかで美しいローズやジャスミンが舞う心地良さにいつのまにかすっぽりと包み込まれ、チョコレートのようなほろ苦さも堪能できます。

最後まで温かい安らぎを感じさせながらも、どこかキラキラと華やかな余韻を残します。

ラストノートに樹脂系、パウダリー系の香料が多く見られますが、無意識のうちに“心”が幸福を感じ取り、癒されている感覚を味わえるのは、これらの香り自体が持つパワーと、ジャック・ゲランの天才的な調香の賜物ですね。

“愛”とは、ドキドキでもワクワクでもなく、それらを経た先にある安らぎと信頼、一緒にいることで得られる絶対的な安心感なんだな、ということがこの香水からも読み取ることができました。

遂に結ばれ、永遠の愛を誓った二人には、最大級の愛が詰まった「シャリマー」を─。

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[3]ストーリー×香りのコラボで、より豊かな映画観賞を


出典 disney.co.jp/movie/aladdin.html

「アラジン」香水をコラボさせるとしたら、この究極のエンターテイメントに負けないぐらいのパワーと歴史があり、かつアグラバーのエキゾチックな世界観に見合うものじゃないと釣り合わない、そうなるともうゲランしかないな、と思いながら映画を観ていたのですが、

・出会い
・育み
・永遠の愛を誓うまで

この恋愛における3段階と、ご紹介した3本の香水のストーリーが見事なまでにハマッたので少し驚いてしまいました。

香水には恋や愛にまつわる誕生秘話も多いですが、ゲランは特にそれが顕著なように思います。しかもゲラン自体が映画になってもおかしくないほど偉大で、由緒あるブランドです。

「アラジン」のように誰からも愛される壮大な作品が、ゲランの香りをイメージすることでさらに魅力が増し、豊かな気持ちで観賞できました。

愛とロマンが200%詰まった「アラジン」とゲランの香水─。

もし香水をお持ちの方はぜひ身にまとって、お持ちでない方はどんな香りか想像しながらこの映画を鑑賞していただくと、より深く愛のストーリーを感じることができるはずです。

そして実はもう一人、アラジンとジャスミン以外に、この映画の中で最上の愛をつかんだ人物がいます。それも、この映画の見どころの一つ。

本当に見応え抜群の映画ですので、気になっている方はお早めに劇場でご鑑賞くださいね。

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