桜餅の香りの精油「トンカビーンズ」の効果・効能をご紹介
トンカビーンズは桜餅の香りがする精油です。桜餅は桜の葉を使って香りづけしてありますが、生きている葉や花には、あまり香りが感じられませんよね。それが乾いた状態や、塩漬けの状態だと「クマリン」という香り成分であの独特の香りが生まれます。 トンカビーンズにはこの「クマリン」という物質がたくさん含まれています。今回は、その香りの特徴や、効果・効能について紹介します。
2019年05月16日更新
記事の目次
[1]トンカビーンズとは?
トンカビーンズは「トンカ」という樹木の種子を乾燥させたものから抽出される精油です。
かつてはタバコの香りづけのために使用されていましたが、タバコの合成が豪勢で作られるようになってからは、香水などの香料として使用されることが多くなりました。
トンカビーンズは、香水に使用される際にはベースノートの役割と、固定剤の役割を担います。
トンカという木の種子を乾燥させたもの
トンカは中央アメリカから南アメリカ北部に自生するマメ科の植物です。30mまで成長し、ピンク色の花を咲かせ、その後できた果実から種子が採集され、精油の原料になります。トンカは別名「クマル」とも呼ばれます。
クマルという言葉が、フランス領ギアナの先住民たちが使用する言語を由来としており、トンカビーンズに多く含まれる「クマリン」という成分は、この名前からつけられています。
トンカビーンズは生の状態だとほとんど香りがなく、乾燥させることで独特の香りが生まれます。
[2]トンカビーンズの香りの特徴
トンカビーンズの香りにもっとも近いものは、桜餅の香りです。桜餅は塩漬けにした桜の葉で香りづけをしますが、これにもトンカビーンズと同様、クマリンがたくさん含まれています。
トンカビーンズは香水の香料としても使われる精油で、お菓子のように甘く、そしてパウダリーで高級感のある香りが特徴です。
お菓子の香料としても使われる甘い香り
トンカビーンズの香りは、桜餅の他に、バニラビーンズやカラメルの香りを連想させます。香調の分類で言うと「バルサミック系」に属する香りです。バニラと同様、トンカビーンズはお菓子の香りづけにも使われます。
ドイツやオランダのクリスマスに欠かせないシュトーレンというケーキにも、香料としてトンカビーンズが使用されています。
また、トンカビーンズのパウダリーで高級感のある香りは数々の高級ブランドの香水にも使用されており、代表的なものにはシャネルのNO.5やNO.19があります。
[3]トンカビーンズの効果・効能
春のあたたかな陽気をイメージさせるトンカビーンズの甘い香りは、心と体に良い効果をもたらしてくれます。トンカビーンズに含まれる成分のほとんどを占める「クマリン」という物質について、改めて説明しましょう。
トンカビーンズに含まれる成分『クマリン』
クマリンは、トンカビーンズだけでなく、明日葉やパセリ、シナモンなどにも含まれる香り成分です。
ポリフェノールの一種であり、セリ科やミカン科など、香りの強い野菜や果物にも多く含まれます。
クマリンは優れた抗酸化物質であり、病の原因になる活性酸素を除去することに役立ち、癌や心臓病、糖尿病などの生活習慣病の予防にも役立つとされています。
香料として使用されるだけでなく、抗血栓薬などの医薬品としても使用される成分です。
リラックス効果・集中力の向上
トンカビーンズの甘いパウダリーな香りは、心を落ち着かせ、リラックスさせる効果があります。アットホームな雰囲気を醸し出す安心感のある香りで、不安や恐怖心を取り除き、物事を前向きに考えられるサポートをしてくれます。
集中力のアップも期待できるので、気持ちが落ち着かなくて勉強や仕事に集中できないときにおすすめの香りです。
殺菌作用
クマリンには抗菌作用があり、ウィルスや細菌の侵入・増殖を防ぐ効果が期待できます。また、痰を取り除く働きもあります。そのため、風邪やインフルエンザの予防、症状の緩和に役立ちます。
血をサラサラにする働き
クマリンは抗血栓薬の材料として使用されることもあります。クマリンには血液をサラサラにする作用があり、血液を固まりにくくして、血流を改善してくれます。血流を改善することによって、心臓病や心筋梗塞などの病気のリスクを減らします。
ホルモンバランスを整える
クマリンは女性ホルモンの一種である「エストロゲン」と似た働きをするため、女性のホルモンバランスの乱れによる諸症状を緩和してくれる効果があります。
生理痛の緩和に加え、不妊対策やバストアップなどの効果、また更年期障害の改善など、女性特有の悩みを解決してくれます。
肌のむくみを解消。アンチエイジングにも
血流が良くなることによって、むくみの原因となる老廃物や余分な水分を排出することができ、肌を綺麗に保つことが可能です。
また、クマリンはポリフェノールの一種であり、老化の原因にもなる活性酸素を除去する働きがあるため、アンチエイジング効果も期待できます。
[4]トンカビーンズの精油
トンカビーンズは香料として使われることが多いですが、精油として入手することもできます。
トンカビーンズAbs.10%/生活の木
ガーゼに数滴落として芳香浴を行うことでリラックス効果を得られます。
[5]トンカビーンズの香りに包まれよう!
春にぴったりのトンカビーンズは、心を元気にしてくれるだけでなく、身体の健康にも効果的な香りです。甘くて高貴なトンカビーンズの香りを生活に取り入れ、より健康的な毎日を送りましょう。
☆アロマセラピスト菊池より一言☆
甘く桜餅をイメージさせる香りのトンカビーンズ。疲れた心と身体をこの香りが癒してくれるでしょう。この精油の主成分はクマリン。クマリンは私達の健康をサポートしてくれる成分となります。しかし、トンカビーンズの精油は溶剤で抽出しているためお肌への使用はお勧めしません。フランキンセンスやサンダルウッド、真正ラベンダー、ジャスミン、バニラなどとブレンドしてちょっとリッチな香水を作って香りを楽しんでみてはいかがでしょうか?
※アロマオイル(精油/エッセンシャルオイル)を使う際の注意点
アロマオイルは医薬品ではないため、「治療」できるものではありません。ここに掲載されている内容は精油の効果効能、心身の不調改善を保証するものではありません。予めご了承ください。症状がひどい場合は医療機関を受診することをおすすめいたします。実際にアロマの香りに癒されるという方はたくさんいます。自分の体の状態や気分に合わせて上手に取り入れてくださいね。