メディカルアロマの効果とは?セラピスト資格を取ってスキルアップしよう
香りでリラックスするだけでなく、精油がもつさまざまな効能を利用して、心身の不調を改善させていくといわれる「メディカルアロマテラピー」。医療現場にあらたな可能性をもたらす取り組みとして、注目されており、さまざまな場面で導入が進んでいます。
2018年11月07日更新
記事の目次
[1]メディカルアロマとは
代替・補完医療としてのメディカルアロマテラピー
東洋医学として漢方薬が扱われるように、西洋では医療としてのアロマの研究が盛んに行われています。
メディカルアロマテラピーは単なる癒しだけではなく、植物の力を借りて、人間がもともと持っている自然治癒力を高めることを目的としています。
病気になる前の状態「未病」の段階からケアをすることができますので、日々の健康維持に役立つ効果も期待できます。
香りでリラックスさせるのが主目的の「イギリス式」に対し、アロマを身体に取り込む発想のメディカルアロマテラピーは「フランス式」と呼ばれています。
日本でも注目され始めている
日本での歴史は20年程度とまだ浅いですが、西洋医学だけではカバーしきれない部分を補完する代替医療として、また双方の利点を活かした統合医療として、メディカルアロマを積極的に導入する医療機関が増えています。
とはいえ、西洋と違って日本におけるアロマの扱いは「化粧品類」及び「食品類」のため、医師が「薬」として処方できるわけではありません。
あくまで代替・補完医療という考え方が根強いようです。
[2]メディカルアロマの導入事例
産婦人科・レディースクリニック
妊娠授乳期における心身の不調(むくみやマタニティブルーなど)のケアとして、メディカルアロマが取り入れられています。
薬を使うことなく体調を整えることができ、ストレス軽減効果も期待できるため、アロママッサージを独自サービスとして導入するクリニックもあります。
肉体的・心理的負担が大きい女性特有の不調に悩む患者さんにも、メディカルアロマは有効だと考えられています。
介護・訪問看護
高齢化が進むにつれて、介護のニーズはどんどん多様化しています。しかし、介護保険の適用範囲が限られていることで、自分が望むような介護やリハビリを受けたくとも受けられない高齢者もたくさんいます。
そうした状況を背景に、メディカルアロマセラピストへの需要が日々高まってきています。
メディカルアロマは直接の介護やリハビリとは結びつきませんが、介護の専門スタッフと高齢者の間にセラピストが介入することで、よりきめ細かいサービスが実現すると期待されています。
アロマの効能で身体機能を改善させる、香りで心身をリラックスさせる、マッサージを通して「ひとりではない」という安心感を与えるなど、メディカルアロマは医療・介護スタッフだけでは出来ない心身のケアをすることができます。
さらにレクリエーションとしてアロマ石鹸作りなどを行うことで、自然と会話が増えて介護現場のコミュニケーション不足を解消させる狙いもあります。
鍼灸・接骨院
鍼灸・接骨院は日本における代表的な代替医療ですが、その目的は骨折・脱臼などの対応、関節や筋肉の痛みなどの緩和などが中心です。
しかし現在はストレスの軽減や疲労回復など、リラクゼーションを求めて来院する患者さんが増えてきたことから、サービスを充実させるためにメディカルアロマを導入するケースも増えています。
効果的な疲労回復を行えばケガを未然に防ぐことができるため、従来の「痛みを取る・リハビリをする」というだけにとどまらないケアをすることが可能になります。
歯科・審美歯科
歯科治療においてアロマが直接的な効果をもたらすわけではありませんが、歯科には独特の薬剤臭や緊張感があり、「歯医者」と聞くだけで恐怖を感じる人もいるほどです。
歯科がメディカルアロマを導入することで、患者さんの緊張を緩和する効果が期待されています。
「治療後のご褒美がほしい」「矯正治療後の顔のたるみをケアしたい」という人のために、サービスの一環としてアロママッサージを行う審美歯科もありますが、いずれも都市部の富裕層をターゲットにしたものが多いようです。
心療内科
メンタルケアの現場では、カウンセリングや生活習慣の見直しなど、単純な投薬にとどまらない多様なアプローチが求められています。
アロマの香りは直接脳に働きかけ、心身の緊張を和らげる性質があることから、心療内科が治療の一環としてメディカルアロマを導入するケースも増えています。
医療知識とアロマの知識、両方を持ち合わせるメディカルアロマセラピストのさらなる活躍が期待される分野です。
皮膚科・内科など
身体のトラブルは起きやすいけれど、医学的にみる「病気」ではなかったり、アレルギーのように現代の医学でもメカニズムが完全には解明されていない症状があったりと、西洋医学にも完全ではない一面があります。
メディカルアロマは自然治癒力を高める効果が期待できること、薬品が身体に合わない患者さんにも対応できることから、自由診療ではありますが治療の一環として導入されるケースが増えています。
[3]メディカルアロマの主な検定・資格
「メディカルアロマ」といっても、学ぶ範囲や資格によって出来ることが異なります。日々の生活を豊かにするものから、実践を意識して本格的に学ぶものまで選択肢はさまざまです。
メディカルアロマ検定2級
メディカルアロマに興味を持ったばかりの人や、日常生活にアロマを活かしたいという人向けの資格です。受験資格はなく、誰でも受験することができます。
精油の安全な使用法などの基礎知識や、消化器系・婦人科系の不調に用いられる精油10種の知識が求められます。
メディカルアロマ検定1級
家庭内だけでなく、医療や介護の現場で役立つ知識が身についたことを証明します。
受験資格はなく、誰でも受験することができます。消化器系・婦人科系・呼吸器系・整形外科系の不調に用いられる精油20種の知識、メディカルハーブの基礎知識と20種類のハーブを用いた応用知識が問われます。
メディカルアロマインストラクター
メディカルアロマの専門家として、アロマの良さを人に伝えたり、メディカルアロマの講師を目指すための資格です。
受験のためには、メディカルアロマ資格取得講座を修了している必要があります。
統合医療の正しい知識はもちろん、不調に用いられる精油30種の知識、メディカルハーブ30種類の知識、基礎医学、心理学、カウンセリング学、脳神経学概論、ボランティア概論などさまざまな分野への正しい理解が問われます。
メディカルアロマセラピスト
医療の現場で使える、実践的なアロマトリートメントの知識・技術を習得したことを証明する資格です。
受験するためには、日本統合医学協会の認定校修了者であることが必要です。(医療系国家資格取得者や協会指定の講座を受講した人は、試験の一部が免除されます。)
人間の体の構造や機能を理解し、基礎医療への知識もあり、アロマが心身の及ぼす影響を理解できているかどうか、また心身の不調に対し、医学的なの視点からアプローチできるか(精油の知識やアロマトリートメントを行う技術を持っているか)どうかが試されます。
セラピストを目指す人のほか、医療・福祉</spanに従事している人が現場での応用ために習得することも多いです。
[4]就職・転職に有利!?メディカルアロマはどうやって学ぶ?
メディカルアロマを学べば医療の知識も身につく
就職・転職のことを考えるとき、また仕事の現場で活かせるスキルを身につけたいとき、メディカルアロマの資格を持っていると、より即戦力としてのイメージを持たれるようです。
資格さえ持っていれば即仕事に直結するわけではありませんが、今後の活躍が期待される分野ですので、専門的な知識を真剣に学べば活動の幅が大いに広がる可能性があります。
安価で気軽に始められるオンライン講座がおすすめ
スクールに通ってメディカルアロマを学ぼうとすると、通う手間がかかりますし、金銭的な負担も大きくなります。
入門としてメディカルアロマを学びたい人には、まずは受講料も安くて自分のペースで学習できる「オンライン資格取得講座」がオススメです。
日本統合医学協会が主催するこの講座は、約3ヶ月の受講期間・4万円(税別)でメディカルアロマ検定1級・2級、メディカルアロマインストラクターの資格取得を目指すことができます。
週1回、1年間スクールに通うと約30万円かかることを考えると、オンライン講座は知識がゼロからでも始めやすく、試験もオンラインのため時間と場所を選ばないメリットがあります。
本気でプロフェッショナルを目指すならIFPA、IFA認定スクールへ
さらに踏み込んで本格的なメディカルアロマの専門家になるためには、IFPAもしくはIFAが認定したスクールに通って、深い知識と高い技能を習得しなけなければなりません。(IFPA、IFAは立場の違いから別々に存在していますが、どちらも国際的に認められたイギリスのプロフェッショナル・アロマセラピスト協会です。)
認定コースでは、アロマの基礎知識からメディカルアロマの幅広い知識に至るまで、合計250時間を超える学習時間を要します。コースの修了後、ケーススタディ(症例研究)を提出し、アロマセラピー理論・解剖生理学・アロマセラピー実技の試験に合格すると、認定校の卒業証書が授与されます。
その後、英国IFPA(IFA)本部に会員登録され、認定セラピストとして活躍することができます。
資格の内容にもよりますが、費用は約90万〜130万円と高額で、認定スクール自体の数も多くはありません。
時間も労力もかかりますが、「国際的な認定資格」に寄せられる信頼は厚く、仕事面でプラスに働くことはいうまでもありません。
[5]精油を手に入れるときの注意点
精油はロフトなどで購入できるほか、インターネットで取り寄せることもできます。しかし、中身をよく確認しないまま購入すると、中身が劣化していたり効力がないものに当たってしまう可能性があります。
とくに精油をお客さんや患者さんなどに使用する場合、安全性などを十分に確かめておく必要があります。信頼できる販売元の商品か、事前によく調べておきましょう。
信頼できるブランドを選ぼう
「どれが信頼できるかわからない、自信がない」という人は、まず世界的に信頼されているブランド銘柄を調べることから始めましょう。
品質が高いと評判の精油ならば安心して使うことができます。プラナロムやル・コントワールアロマなど、品質最高位の代表的なブランド精油がAmazon・楽天で購入できます。
類似品に注意するためにも、商品レビューをよく読み、販売元の情報は必ずチェックするようにしましょう。
怪しい商品、安価な商品に注意しよう
たとえば100均などにもアロマを謳った商品はありますが、あまりに安価なものは「アロマ風」商品であって、薬効はまったく無いと考えたほうがよいでしょう。
植物の有効成分を凝縮した精油は、キャリアオイル(植物油)などで薄めて使うのが本来の使用法です。
そのまま使うと刺激が強すぎて、かえって炎症を起こしてしまう場合があります。
そのことを踏まえ、「肌に直接つけても大丈夫」「飲用できる」と安易に書いてあるものは避けるようにしましょう。
成分分析表を確認しよう
信頼できるブランドの本物の精油には、必ず成分分析表がついています。植物の成分は気候などの影響を強く受けるため、ロットごとに成分や価格が変動するからです。
つねに品質と価格が一定で、値段も安いものはニセモノである可能性があります。
成分分析表は信頼の証です。購入した商品の箱を開けたら、まずこの表が入っているかを確認するようにしましょう。
[6]メディカルアロマの可能性はますます広がっていく
日本国内ではまだ認知度の低いメディカルアロマですが、その可能性は広範囲にわたり、今後ますます需要が高まっていくと期待されています。医療・介護従事者がスキルアップとして学ぶのはもちろん、知識がゼロからでも学習を始めることができますので、アロマや医療に興味がある人や実践的なスキルを身につけたい人は、一度挑戦してみてはいかがでしょうか。