焼酎の香りの違いで異なる成分と特徴!美味しい飲み方5つとおすすめの焼酎5選
焼酎を楽しむ人は、味のほか、最大の楽しみは「香り」ではないでしょうか。焼酎にはさまざまな種類があり、気分や好みによって味や香りを選ぶのもひとつの醍醐味といえるでしょう。今回は焼酎について、種類と特徴、おすすめの飲み方などを徹底的にご紹介していきます。
2018年08月24日更新
記事の目次
[1]焼酎とは
製造方法で分ける2種類の焼酎
焼酎は製造方法で「甲類」と「乙類」という2つの種類があります。
甲類は連続式蒸留器で蒸留したもので、アルコール度数が36度未満のものです。自然な風味が特徴となっています。
乙類の焼酎は単式蒸留機で作られたものです。アルコール度数は45度以下で、焼酎そのものの風味を味わうのが特徴です。水割りやお湯割りで味わう麦、そば、米、芋などが主原料になっています。
原材料・香りで分ける焼酎の種類と特徴
- 芋焼酎
- 米焼酎
- 麦焼酎
- そば焼酎
- 黒糖焼酎
- 紫蘇焼酎
- 胡麻焼酎
- 栗焼酎
- 牛乳焼酎
芋焼酎は、サツマイモを主原料にして作られる焼酎のことをいいます。芋の独特な香りは風味があってクセが強いので、好き嫌いがはっきり分かれやすい焼酎です。
好きな人の中には、焼酎は芋以外は飲まないという人もいるくらいです。芋焼酎の中でも芋のクセが強く出ているものから、ほんのり芋を感じるものまで幅広い味のものがあるので、初めて飲むときはクセが強くないものを選ぶといいかもしれません。
米と米麹から作られる焼酎を米焼酎といいます。米焼酎は、米を精米して米麹と掛け合わせて作ります。産地は全国各地にありますが、主な生産地は熊本県を中心とする球磨盆地です。
香りや味わいは吟醸酒に近いものがあり、焼酎を飲み慣れていない人にも比較的飲みやすい焼酎だといえます。最近は、清酒蔵が清酒製造の閑散期を使って米焼酎の蒸留を行うことが増えてきています。
大麦を原料とする焼酎を麦焼酎といいます。ウイスキーも大麦を使って作られるお酒ですが、麦焼酎は香りや味わいがウイスキーに似ているので、洋酒が好きな人には飲みやすい焼酎といえます。
ウイスキーは麦芽を使い、麦焼酎は麦麹から作ります。減圧蒸留で作られた麦焼酎は、クセや嫌なニオイを抑えて雑味を感じさせないすっきりした口当たりが特徴です。
また、減圧蒸留で作られた麦焼酎は、香ばしい甘い香りがします。中には常圧蒸留で作られているものがあるのですが、この作り方でできた麦焼酎は原料そのものの旨味や風味が楽しめ、味も香りも濃厚です。麦焼酎は、元々長崎県壱岐地方で長く作られてきていて、数百年もの歴史があります。
そば焼酎は、1973年に雲海酒造が開発した焼酎です。現在では北海道や長野というそばどころを中心に作られているそば焼酎は、麦焼酎とともに焼酎のブームを作りました。
そば焼酎は、そば独特の香りを楽しめて口に含むとそばの甘さが広がります。この風味と香りを生かすために、そば焼酎はロックで飲むのがおすすめです。蒸留しているとはいえ、原材料がそばなのでアレルギーを持っている人は飲むのを控えたほうがいいでしょう。
黒糖焼酎は、黒糖と主に米麹を使って作られます。黒糖を使用した酒類は税率が焼酎とは異なるリキュール類に該当します。
しかし、黒糖焼酎は奄美諸島で日本復帰前から作られていて名物になっていたため、「必ず麹を使用して仕込む」「大島税務署館内のみの特例とすること」という条件で焼酎として認められました。
そのことから、他の焼酎は日本全国どこでも生産できますが、黒糖焼酎は奄美諸島でしか生産できません。
黒糖焼酎は黒糖を使用していますが、焼酎なので糖分は含まれていません。味わいは黒糖独特の香りと甘みが特徴です。
焼酎はどのような原料であっても、デンプンさえ含まれていれば作れます。そのため、その土地の名産を原料にした焼酎が各地で作られています。その中でも爽やかな香りと味わいで知られているのが、紫蘇焼酎です。
さっぱりとした香りが特徴の紫蘇焼酎のおすすめの飲み方は、ロックです。紫蘇の香りを存分に楽しむことができます。
胡麻は栄養価が高く、香りが良い食品として知られていますが、胡麻を使って作る焼酎があります。ほのかな香ばしい香りが人気で、お湯割りで飲むとより一層胡麻の香りが楽しめます。
栗を使って作った焼酎もありますが、その特徴はまろやかな香りです。口に含むとほのかな香りと栗の甘い味わいが楽しめます。
変わったところで、牛乳を使用した焼酎をご紹介します。牛乳焼酎は、球磨焼酎伝統の米とアルカリ温泉、新鮮な生の牛乳を発酵させて作られています。フルーティーで甘い香りがして、軽い口当たりが特徴の焼酎です。
好みの香りの焼酎の選ぶためのポイント
自分好みの焼酎を選ぶのは難しいのですが、いくつかのポイントがあります。実際に飲んでみないことには好みは分かりませんが、4つのポイントを抑えておくといいでしょう。
- 香り
- 価格
- 飲み方
- 産地
焼酎を選ぶ時に、香りが好みかは重要なポイントです。焼酎が好きな人は、味はもちろん香りを楽しむ人が多く、自分の好みの香りの焼酎を見つけるとそればかり飲む人が多いようです。
特に芋焼酎はクセがあるものがありますが、美味しい芋焼酎は芳醇な香りがして臭みはありません。店頭で試飲できる場合は、店員さんに香りが良いものを聞いて選んでみることをおすすめします。
焼酎の価格は幅広く、安いものから高額なものまであります。焼酎を飲み慣れていない人はどのくらいの価格帯のものを選べばいいのか迷ってしまうでしょう。
おすすめなのは、なるべく安いもので少ない量のものを選んで飲み比べてみることです。
最初から高額な焼酎を買ってしまったら、口に合わなかったときに残念な思いをしてしまいます。そうならないよう、少ない量で安めのものから試してみてはいかがでしょうか。
焼酎にはロック、水割り、お湯割りなどさまざなま飲み方があります。焼酎の種類によって合う飲み方があるので、飲み方を工夫してみるといいでしょう。
例えば、芋焼酎はお湯割りが芋の香りを引き出すのに適していますし、麦焼酎はその味わいを楽しむためにはロックがおすすめです。
焼酎を選ぶ時のポイントの最後は産地です。焼酎の原材料が何かによりますが、その原材料ががおいしい地域で作った焼酎はおいしくなる傾向があります。焼酎を選ぶときには産地を意識してみてください。
[2]香りが楽しめる焼酎の飲み方
焼酎にはいろいろな飲み方があります。焼酎の香りを最大限に引き出す、原材料の味わいを楽しむにはどのような飲み方がいいのか試してみてください。
焼酎本来の香りが楽しめる ロック
【作り方】
- ロックグラスを冷蔵庫で冷やしておきます
- 大きめの氷をグラスに入れておきます
- 氷に直接注ぐように焼酎を入れます
ロックは焼酎本来の香りを楽しめる飲み方です。最初はストレートのように強く素材の味わいが楽しめ、時間が経過すると水割りのような味わいが楽しめます。レモンスライスや梅干しを添えてもおいしくなります。
焼酎のやわらかな香りを楽しむ 水割り
【作り方】
- グラスを冷やして大きめの氷を入れておきます
- 氷に当てるように焼酎を注いでよくかき混ぜて冷やします
- 好みの濃さになるように水を加えてよく混ぜます
水割りは焼酎のやわらかな味わいを楽しめます。グラスを冷やしておくと美味しく飲むことができます。氷を多めに入れて、好みの濃さになるまで水を入れます。水の量で味わいが変わりますので、自分の好みの濃さを見つけてください。
湯気とともに香りが楽しめる お湯割り
【作り方】
- 湯呑や焼酎用のグラスに70度程のお湯を入れます
- そこに焼酎を注ぎます
お湯割りは焼酎の素材の香りを楽しめる飲み方です。お湯の湯気と一緒に焼酎の香りが立ち上がって、焼酎独特の風味が味わえます。
お湯の中に梅干しを入れてつぶして飲んでも美味しく飲めます。お湯割りを飲む時のポイントは、お湯を先にグラスに入れて後から焼酎を入れることです。
梅の香りと焼酎の香りダブルで楽しむ 梅酒割り
焼酎のロックに梅酒を加える梅酒割は、梅酒の香りが爽やかで風味を楽しむことができます。
おすすめなのは、しそ焼酎「鍛高譚」と梅酒を同量の割合で割る方法です。
しょうがの香りが爽やかな 生姜割り
しょうが割りにすると身体がポカポカ温まるとともに、生姜の香りもして美味しく飲めます。
焼酎はどの種類でも合いますので、好きな焼酎を選び、お湯割りを作ってからそこに生姜を入れます。生姜はおろして好みの量を入れます。まずは少量から入れて、少しずつ増やしましょう。
生の生姜をおろすのが面倒な場合は、チューブ状のしょうがを使うのがおすすめです。
[3]香りが高いおすすめ焼酎5選
芋焼酎の王道 森伊蔵(芋)
芋焼酎の代表的なものである「森伊蔵」は、森伊蔵福井のコシヒカリと低農薬のサツマイモである黄金千貫、そして垂水の名水を使って丁寧に仕込んでいます。
口当たりが滑らかで芳醇な香りがすることから、芋焼酎好きの人から大変な人気がある芋焼酎です。
市場に出回ることが少ないため、高級品となっています。芋焼酎が好きな人への贈り物に最適な焼酎です。
純米大吟醸のようなフルーティな香り 十四代(米)
十四代は、高木酒造がつくる米焼酎です。高木酒造は1615年に山形県村山市で創業した酒蔵です。日本を代表する酒蔵でつくる十四代は、日本酒好きに知らない人はいないといわれるほど有名な人気日本酒銘柄です。
このプレミアム日本酒をつくる米焼酎は純米大吟醸のようなフルーティーな香りや甘みを感じさせる、それでいてスッキリした味わいが楽しめる焼酎です。
米の甘みや芳醇な香りが日本酒と間違えてしまいそうなほどの十四代。日本酒の十四代と同様、入手困難ですが米焼酎が好きな人はぜひ一度は飲んでほしい一品です。
麦チョコの香り 兼八(麦)
焼酎の中でも麦焼酎は軽やかで香ばしく飲みやすいので、初心者にも人気があります。どんな飲み方でも美味しく飲める焼酎なのが特徴です。そんな麦焼酎の中でも、「幻の麦焼酎」といわれるのが、四谷酒造がつくる「兼八(かねはち)」です。
兼八は、麦チョコのような香りがする焼酎です。甘みがある香ばしい香りで、味はなめらかで柔らかいコクが感じられる麦焼酎で、後味に強い麦の風味がします。
爽やかでスッキリした香り 雲海(そば)
そば焼酎は、芋焼酎に近い香りが人気の焼酎です。爽やかでスッキリした香りと口当たりが特徴のそば焼酎は最近人気が急上昇しています。その中でも、そば焼酎を初めてつくった雲海酒造の「そば焼酎 雲海」は圧倒的な人気を誇っています。
そば焼酎を飲んだことがない人でも、そば焼酎の愛飲者でも飲みやすさが人気です。
熟成酒のような香り れんと(黒糖)
黒糖焼酎は、クセがないスッキリとした味わいと熟成酒のような香りが人気な焼酎です。強い香りの焼酎が苦手な人からも、その飲みやすさから人気が高いという特徴があります。
黒糖焼酎の中でも人気が高いのは、「れんと」です。黒糖焼酎をつくる時に、貯蔵タンクにクラシックの音楽を聴かせてつくります。音楽の音響振動を発生させて、酵母活動を活発にして、まろやかな味にします。
[4]焼酎の香りをより楽しめる工夫
焼酎専用のグラスを使う
焼酎の香りをより効果的に楽しむ方法の1つ目は、焼酎専用のグラスを使うことです。焼酎専用のグラスは、香りが引き立つような工夫がされています。
そして、香りを感じられるような形状であるとともに、手に馴染む形になっているのも特徴のひとつです。焼酎をよく飲む人は自分専用の焼酎グラスを用意してみてはいかがでしょうか。また、焼酎が好きな人へのプレゼントとして、焼酎グラスを贈るのも素敵ですね。
お湯割りは隠れた香り成分が呼び起こす
香りを楽しむ焼酎は、お湯割りにすることで甘く柔らかな香りが引き立ちます。お湯割りを作るときのポイントは、お湯を先に入れて後から焼酎を合わせることです。
お湯を先に入れてグラスを温め、お湯の温度を下げます。そこに常温の焼酎を入れることで、焼酎とお湯の温度差で自然に対流が起きるので、かき混ぜなくても濃度や温度が均一になります。
[5]焼酎の香りにはどんな効果があるの?
リラックス効果
芋焼酎の香りにはラベンダーやバラなどの植物の香りを構成する物質であるリナロールという成分が含まれています。この成分はアロマテラピーでは、鎮静作用や抗不安作用があるといわれています。そのため、芋焼酎の香りにはリラックス効果が期待できるということになります。
血栓と溶かす効果
倉敷芸術科学大学の須見教授らの研究で、焼酎を含むさまざななお酒を使って、血栓を溶かす酵素がどれだけ活性化するか調査を行ないました。
その研究で、芋焼酎には脳梗塞などの原因になる血栓を溶かす効果があるらしいと分かりました。
その効果は、アルコール以外のごくわずかな香り成分に起因することが明らかになってきています。
[6]焼酎の香りを楽しもう
焼酎にはさまざまな種類があり、焼酎の種類によって香りが異なります。また、同じ焼酎でも飲み方により、味わいや香りに変化が出ます。焼酎をあまり飲まない人ははじめは気になる種類の焼酎を少量試してみてはいかがでしょうか。
好みの香りや味の焼酎が見つかったら、どんな飲み方が自分の好みに合うかを試してみるのも楽しいのではないでしょうか。