梅の効果・効能は?香り豊かな梅の簡単レシピアイディアも紹介!
梅は昔からお酒にしたり、梅干しにしたりするなど日本人に馴染みのある果物です。梅は日本が原産だという説と、中国から渡ってきたという説がありますが、多くの学者は中国が原産だという考えを持っています。梅は日本に3世紀の終わり頃に渡ってきたと言われていますが、今回は梅に含まれている栄養とその効果について解説していきます。
2018年08月02日更新
記事の目次
梅とは
梅は古くから日本で親しまれてきました。奈良時代にはあんずや桃、柿などと同じように生菓子に加工され楽しまれていたといわれています。
その後、梅は塩漬けにして保存食や食薬品として食べられるようになっていきました。梅の塩漬けは梅干しの原型として、平安時代中期に書物に「梅干し」として登場します。
梅干しは鎌倉時代には重宝されるようになり、戦国時代には梅干しは保存食としてだけでなく、戦場での伝染病や食中毒の予防として、傷を消毒にも使われていました。
そして、江戸時代になると梅干しは庶民にも食されるようになってきて、梅干しのしそ漬けや砂糖漬けにした甘露煮のようなものが出てきました。
梅に含まれている成分
クエン酸
梅には酸味成分であるクエン酸が豊富に含まれています。このクエン酸の効果で代表的なのは、疲労回復効果です。
疲れている時に梅干しを食べると良いと昔からいわれていたのは、梅干しに疲労回復の働きがあるからです。
クエン酸は体内のエネルギー生産がアップされて、疲労物質の排出が促されるので、疲労回復効果が期待できるのです。
リンゴ酸
梅に含まれているリンゴ酸は、爽やかな酸味を持つ有機酸の一種です。
クエン酸のように疲労回復効果が期待できる栄養素で、梅の他にはリンゴやザクロにも含まれています。リンゴ酸はその爽やかな酸味を生かして、食品添加物に使用されることがあります。
コハク酸
梅に含まれるコハク酸は、貝類に含まれる旨味成分の一種で、食品添加物として使用されることがあります。また、コハク酸は細胞の血管新生を抑えるので、ガン細胞の増殖を防ぐ効果が期待されています。
酒石酸
酒石酸は有機酸の一種であり、肌を引き締める効果が期待できます。皮脂が過度に分泌されて肌が脂っぽくなりやすい人や、毛穴が開いてしまったときに酒石酸の働きが効果的です。
カルシウム
梅にカルシウムが含まれているのは意外ですが、カルシウムは骨や歯を作るために必要な栄養素としてよく知られています。また、神経伝達が正常に行われるようにしたり、興奮を鎮めてイライラを抑える効果がカルシウムにはあります。
梅の効果・効能
疲労回復
梅に含まれているクエン酸やリンゴ酸には、糖質の代謝を促進して活性化させる働きがあります。これは糖質をエネルギーへの変換をサポートしてくれます。
エネルギー代謝がうまくできないと、栄養素の完全燃焼により肩こりや疲れを感じます。それが細胞の老化につながって、動脈硬化などの生活習慣病の原因になります。
食欲増進で夏バテに
梅に含まれているクエン酸の働きは、疲労回復以外にも食欲増進効果があります。クエン酸は唾液の分泌を促進させる働きがあるため、胃液やその他の消化酵素の分泌を高めます。
その働きは食べ物の消化や吸収をサポートするので、食欲が増進します。
また、梅にはピクリン酸という成分が微量ですが含まれていますが、この成分には便通を改善させる働きがあります。
血液さらさら
梅を加工してできる梅ジャムや梅肉エキスなどの製品は、梅に含まれるクエン酸と糖が結合してムメフラールという成分が作られます。この成分は血流を良くして動脈硬化や血栓などの生活習慣病の予防に役立ちます。
また、血液コレステロールを抑えて酸素や栄養の供給がスムーズになり、老廃物の排出を促すことで疲労回復効果も期待できます。そして、新陳代謝を活発にしてくれることで細胞の老化を抑えてアンチエイジングにも繋がります。
生活習慣病予防
運動不足や飲酒、乱れた食生活が原因で起こる高血圧、脂質異常症、糖尿病などを生活習慣病といいます。
梅にはこの生活習慣病を予防する働きがあります。梅干しに含まれるα-グルコシダーゼは、小腸で糖質を吸収する酵素のことです。
梅干しにはこのα-グルコシダーゼを抑える働きがあるので、糖尿病を予防する働きがあります。
また、梅干しには血圧上昇作用を持っているアンジオテンシンを抑える効果が期待できます。そのため、心臓病や動脈硬化の予防に役立ちます。
梅は美容にもよい?美肌効果
梅に含まれるクエン酸には、新陳代謝を促して老廃物を体外へ排出をサポートする働きがあります。この働きにより、美しい肌を維持して老化防止が期待され、むくみも解消されます。
また、梅には優れた抗酸化作用をもつビタミンEやポリフェノールも含まれているので、それらもまた細胞の老化を防いでくれます。
胃がん予防
梅干しにはピロリ菌の抑制効果があることが分かっています。ピロリ菌とは、胃潰瘍や胃痛、胃がんの原因となるもので、タンパク質分解酵素を持っているものです。
ピロリ菌が胃にいることで、胃の粘液を分解して胃の病気になりやすくなります。梅干しを1日2粒程食べることで、ピロリ菌が抑制できるので胃がん防止に繋がります。
お弁当に入れて食中毒予防
梅干しに含まれているクエン酸には、微生物の繁殖を抑制する働きがあります。その働きを生かして、昔からお弁当やおにぎりに梅干しを入れていたのでしょう。
また、クエン酸は胆汁の働きを活発にするため、食中毒の原因になる菌に治する働きがあるため、食中毒予防に繋がります。
肝機能アップで二日酔い予防
梅干しに含まれる肝機能の強化に有効な成分ピルビン酸は、アルコールを飲んだ時に二日酔いを予防する効果が期待できます。クエン酸にも肝機能をアップさせる働きがあります。
また、梅干しは乗り物酔いにも効果が期待できるので、車酔いや船酔いしそうな時に食べるといいでしょう。
便秘・下痢の改善
クエン酸が体内に入ると、TCAサイクルが活発になり人の身体を酸性からアルカリ性に変える働きがあります。
クエン酸が腸に届いた時に、腸のぜん動運動を誘発するので便秘解消効果が期待できます。クエン酸には腸内の悪玉菌を殺菌する働きがあるので、下痢や便秘の改善に役立つのです。
梅干しは塩分が多い?1日どれくらいの量がいい?
梅干しには塩分が多いのか
梅干しには塩分が多いというイメージがありますが、
塩漬けの梅干し1個に含まれる塩分は約1.9gです。人が1日に摂取するべき塩分の量は、男性が8g女性は7gですので、梅干しは食べ過ぎなければ問題はないでしょう。
梅干しは1日に何個が適量?
梅干しは身体によい効果がたくさんある食べ物ですが、目安としては1日1個です。塩分が気になる方は、食塩相当量0.6gの調味漬けの梅干しを食べてみてはいかがでしょうか
おいしく梅を摂取しよう!簡単レシピアイディア
梅ジュース
材料
- 梅(青いもののほうが梅エキスがよく出ます)200g
- 酢 200cc
- 氷砂糖 100g
- 氷 3個
- 水 100cc
- よく洗った梅を容器に入れ、酢と氷砂糖を加えてよく混ぜます。
- 氷砂糖が溶けるまでしっかり混ぜます。2週間程置くと味が染み込むます。
- 保管場所は高温多湿を避けましょう。
- 飲む時は、梅ジュース100ccに水を100cc加えて氷を入れ、かき混ぜます。
梅酒
材料
- 青梅 1kg
- 氷砂糖 500g
- ホワイトリカー 1.8l
- 蓋がしっかり閉まる瓶 5l
- 最初に瓶を消毒します。瓶に熱湯を注ぎ、少し傾けて全体的に熱湯を回します。消毒が終わったら乾いた清潔な布で水分を拭き取り、口を下にして完全に乾かします。水分が残っているとカビが生えることがあるので、注意しましょう。
- 流水で青梅を丁寧に洗います。このとき、洗剤は使用しないように。洗った梅をたっぷりの水に漬けて2時間程度アク抜きをします。しっかりアク抜きをしないと梅酒に渋みが出てしまいます。熟している梅の場合はアク抜きは不要です。アク抜きが済んだらきれいなタオルで梅の水分を拭き取ります。しっかり水気を拭き取ることが重要です。
- 青梅の水分を拭き取ったら、竹串を使って梅のヘタを丁寧に取り除きます。きれいに取らないと梅酒にエグ味が残ってしまいます。
- 青梅と氷砂糖をそれぞれ半分に分けます。瓶に入れるのを半分ずつにするのです。
青梅を半分、丁寧に瓶に入れます。次に氷砂糖を半分入れます。その上から残りの半分の梅を入れ、さらに残りの氷砂糖を入れます。 - 瓶の中にホワイトリカーを入れます。梅酒を作る時、日本酒で作ると美味しいと聞くことがあるのですが、アルコール度数が低いため発酵してしまうことが多いのでホワイトリカーを使用したほうがいいでしょう。
- ホワイトリカーを入れたらしっかり蓋を閉めて、高温多湿を避けて温度が一定の場所で保存します。1年以上経つと飲み頃ですので、梅の実を出して梅酒をこすと長期保存できます。梅の実を入れたままにしておくと時間が経つと梅酒が濁ることがあります。
梅かつお
材料(2人分)
- 梅 2個
- かつおぶし 1パック
- しょうゆ 小さじ2分の1
- 梅干しの種を取り除いて梅肉を包丁でたたきます。
- ボウルに梅肉を入れて、かつおぶしとしょうゆを入れ混ぜる。冷蔵庫の中に入れれば2週間ほどもちます。
梅ジャム
材料
- 梅 1kg
- 砂糖 800g
- 竹串・鍋(ホーローかガラス製)・殺菌した保存容器
- 梅を水でよく洗ってから、ヘタを竹串で丁寧に取り除きます。
- 鍋の中にたっぷりな水を入れて梅を入れ、50度くらいになったら水を捨てます。再び鍋を水に入れて50度くらいになったらまた水を捨てます。固い梅の場合はこれを2~3回、完熟しているものだったら1~2回繰り返します。
- 茹で上がった梅をザルにあげ、種を取り除きます。実を包丁でたたいて細かくします。なめらかにしたいときは裏ごしします。
- つぶした果肉を鍋に入れて砂糖を3分の1の量を加えて、よく混ぜて中火にかけます。鍋が焦げ付かないように注意して混ぜながら煮ます。煮立ってきたら残りの砂糖を半分加え、5分程煮ます。アクが出てきたら取り除きながら、このまま弱火で5分程煮ます。
- 残りの砂糖を全部入れてから15~20分程煮て、果肉が透明になってきたら出来上がりです。熱いうちに保存容器に入れましょう。
梅ご飯
材料(4人分)
- 梅干し 1個
- 米 2カップ
- 青じそ 10枚
- いりごま(白ゴマ) 大さじ2
- A 白だし大さじ1・酒大さじ1・水2と4分の1カップ
- 米はよく洗ってざるにあげて水気を切ります。梅干しは種を取って大きくちぎります。
- 炊飯器に米と梅干し、Aの調味料を入れて普通に炊きます。お米を炊いている間に青じそを千切りにして水の中で軽く洗って水気を切っておきます。
- 炊きあがったら、白ごまを加えて梅干しが全体に散らばるように混ぜて器によそったら千切りした青じそをちらします。
梅の保存方法とは
すぐに加工できない場合
梅は収穫してからも追熟が進んでいきますので、新鮮なうちに梅干しなどに加工して保存するようにするといいでしょう。
しかし、すぐに加工できない場合は、常温の冷暗所に保存しましょう。
冷蔵庫の中で保存してしまうと、表面が褐色化したり陥没してしまう低温障害を起こしてしまいます。そのため、冷蔵庫の中での保存は避けましょう。
長期間加工できない場合
梅は冷凍保存することができます。青梅の場合、水洗いしてからたっぷりの水に2~3時間程アク抜きをします。
ザルにあげて竹串を使ってヘタを取り、水気を拭き取って密封袋に入れて冷凍庫に保存します。
梅を食べて健康に!
梅には疲れをとって、美肌にしてくれるなどの嬉しい働きがあります。夏場のお弁当に入れると食中毒を予防するなど、人の健康を守ってくれる効果も期待できるスーパー食品です。ジュースや梅酒などに加工しても美味しく楽しめるので、毎日の生活の中に梅を取り入れてみてはいかがでしょうか。