日本酒の香りにはどのような種類があるの?香りの表現の仕方や成分を解説!
日本酒にはさまざまな種類があります。人に勧められたものを飲むことがほとんどで自分自身あまり詳しくなかったり、香りの違いがよく分からないといった方も多いのではないでしょうか。今回は日本酒の香りの表現の仕方や成分などをご紹介します。
2018年08月13日更新
記事の目次
[1]日本酒とは
日本酒は日本古来からあるお酒で米と麹を発酵させたものや水を原料とする清酒のことです。
日本酒と焼酎の違いは?
日本酒と焼酎の違いは造り方です。日本酒は「醸造酒」といって果物や穀物を酵母の力でアルコール発酵させたもので、焼酎は「蒸留酒」といって醸造酒を蒸留させたものです。
醸造酒に含まれる低いアルコールを蒸留させることでアルコール純度が高いお酒ができます。
造り方だけでなく、原料にも違いがあります。日本酒の原料は米、焼酎は芋類や穀物類を原料にすることが多いです。
日本酒よりも焼酎の方がアルコール度数が高いため、日本酒はストレートで飲みますが、焼酎は氷を入れてロックで飲んだり、水やお湯などで割って飲んだりします。
種類
日本酒にはさまざまな種類があります。原料やお米の精米歩合、味や香りで分類することができます。本醸造酒、吟醸酒、大吟醸酒、純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒、特別純米酒、特別本醸造酒の8種類です。
「純米」と入っているものが醸造アルコールの入っていないものです。醸造アルコールとは甲類焼酎のようなもので香りがよくなり、味も辛口ですっきりとします。
本醸造よりもお米を磨いて仕込んだものが吟醸、さらに上が大吟醸、純米よりもお米を磨いて仕込んだものが吟醸、さらに上が大吟醸になります。
味や香りによっても4つの種類に分類することができます。
熟酒
古酒や熟成酒などのように熟成された個性派のお酒ですす。ドライフルーツやスパイスのような香りで飲み口はとろりとしています。香りが高く、味も濃いお酒です。
醇酒
お米のうまみやコクがよく出ており、純米系の日本酒が醇酒に分類されます。味がしっかりとしているので味付けの濃い料理にも合います。香りが低く、濃厚な味のお酒といえます。
薫酒
甘い果物や花のフルーティーな香りがします。大吟醸など吟醸系のお酒が薫酒に分類されます。香りが高く、味が淡いお酒です。
爽酒
軽快な香りですっきりと飲みやすいお酒です。本醸造などが分類され、辛口です。香りが低く、味も淡いお酒といえます。
[2]香りの表現
日本酒の香りにはさまざまな表現があります。これを知っておくと日本酒好きにも認められるかもしれませんね。
香りを感じる段階
香りを感じる段階で呼び方が変わってきます。
・上立香(うわだちか)
お酒を飲む前の酒器からする香りのことです。揮発性の香り成分で吟醸系や燗につけたお酒で感じることのできる香りです。
・含み香
名前の通り、口に含んだ時に感じる香りです。
・吟香
飲み込む瞬間に感じる香りです。
・返り香
飲み込んだ後に鼻に抜けていく香りです。
造りの段階
造りのどの段階で現われたかによっても香りの呼び名が変わります。
・吟醸香
過酷な状況下にある酵母菌が作り出す揮発性の高い香りです。吟醸酒特有の甘い果実のような香りがします。
・リンゴ香
吟醸香の一種でバナナ香やメロン香などもあります。
・新酒ばな
新酒特有の香りで熟成すると消えてしまいます。
・熟成香
熟成することによって発生した良い香りのことです。熟成の仕方が悪いと老香といって良くない香りがします。
ダメにする香り
老香の他にも好ましくない香りについてもさまざまな表現の仕方があります。
・アルコール臭
絞りの前に添加する醸造アルコールの臭いです。添加に失敗するとお酒に馴染まず、異臭を放ちます。
・つわり香
発酵に失敗した時に放つ異臭のことです。
・袋臭
醪を絞る袋の状態が悪く、その臭いがお酒にも移ってしまうことです。
・濾過臭
濾過する時に炭や設備から移る臭いのことです。
・火落ち臭
乳酸菌の一種である火落ち菌が繁殖することで発生する臭いです。火落ち菌はアルコールやコウジカビを好むため日本酒がとても居心地の良い住処になります。日本酒がダメになってしまわないように火入れをして火落ちを防ぐ必要があります。
・日光臭
直射日光に当たることで発生する香りです。蛍光灯や人工的な光でも発生することがあるため、保存状態に気を付けなければなりません。
[3]日本酒の香り成分
一番香りが高いとされている吟醸酒の主な香り成分を紹介します。バナナのような香りの酢酸イソアミルとりんごのような香りのカプロン酸エチル、バラのような香りのβ-フェニルエチルアルコールです。
どれも酵母が発酵するときに香りが発生します。また、酸化や劣化などの不快か香りにはメチルメルカプタンやイソ吉草酸、イソバレルアルデヒドなどがあります。
[4]香りの高い日本酒ランキング
香りの高い日本酒が飲みたい方は是非こちらを参考にしてみてください。
1位:出羽桜 桜花 吟醸酒
このお酒を飲んで日本酒が好きになったという方も多く、吟醸ブームを切り開いたといえる商品です。
マックスファクター化粧品”SK-Ⅱ”の香りサンプルや英国最古のワイン商で王室御用達のBB&R社が初めて扱う日本酒に選ばれるなど注目されている日本酒です。
りんごジュースのような甘酸っぱいフルーティーさと吟醸香の爽快さが特徴です。
2位:黒龍 大吟醸 龍
昭和50年に福井県で誕生した大吟醸です。ワインの熟成を応用して華やかさとまろやかさを生み出した名高い商品です。雪国ならではの寒仕込みで香りが高いだけでなく上質な味わいになっています。
3位:磯自慢 中取り純米大吟醸 35
兵庫県の新焼津港の近くにある鰯ケ島で生まれた日本酒です。洞爺湖サミットで乾杯酒として使用されました。
上立ち香はバナナやメロンのような上品な香りです。丸みのあるほんのりと甘みのある味でキメの細かさと滑らかさが感じられます。
4位:醸し人九平次 純米吟醸 山田錦
山田錦を50%まで磨き上げた純米大吟醸です。パリの三ツ星レストランでも使用されており、世界に進出した日本酒です。
ラズベリーやパッションフルーツ、ラフランスなど南国を感じさせるような甘酸っぱい吟醸香と山田錦の旨味が口いっぱいに広がるまろやかな甘口の日本酒です。
5位:十四代 大吟醸 播州山田錦
創業380年の伝統をもつ高木酒造から生まれた大吟醸です。淡麗辛口が人気だった時代に十五代目の高木顕統(あきつな)さんが旨味とコクのある濃醇タイプを世に知らせました。
マスカットや白桃など果物の香りとレモンやハーブの香りが特徴的です。
[5]ワイングラスと日本酒
ワイングラスと日本酒と聞くと全く別物に感じますが、最近ではワイングラスで日本酒を飲むことが普通になってきています。
なぜならワイングラスで飲んだ方がおいしく感じられるからです。ではなぜワイングラスで飲むとおいしく感じるのでしょうか。
ワイングラスで飲むとおいしい理由
・香り
御猪口に比べるとワイングラスは高さがあります。ワイングラスに入れると日本酒の香りが内側にこもるため、長い時間香りを楽しめるようになります。
また、ワイングラスの形状が繊細な香りを逃さず御猪口では感じられなかった香りを堪能することができます。
・形状
ワイングラスは高さや口径の違いで、口の中への入り方や広がり方が変わってきます。そのため、御猪口では感じられない酸味や甘みを感じることができます。
また、グラスが透明のため色合いや粘性もはっきりとわかります。
・雰囲気
ワイングラスで飲むと御猪口のように一口で飲むことがありません。ゆっくりと色や香りを楽しみながら飲むことができ、味だけでなく雰囲気も楽しむことができます。
ワイングラスと相性がいい日本酒
・純米酒
炊き立てのご飯のような美味しそうな香りがより一層引き立ちます。
・大吟醸
バナナやりんご、白桃などのフルーツの繊細な香りを楽しむことができます。空気にふれることで香りが高くなるため、グラスをまわして飲んでみてください。
・生酒
生酒、新酒、しぼりたてはまるで白ワインのようなフレッシュさが感じられます。
・スパークリング日本酒
色や個性的な香りを楽しみ、口に含んだ時の微炭酸の刺激を感じてみてください。
[6]日本酒の香りを堪能しましょう
日本酒はいくつかの角度から見ることでさまざまな表現の仕方がある奥深いお酒ということが分かりましたね。
その季節にしか味わうことのできない旬な日本酒もたくさんあります。ラベルを見て、味や香りで、料理との相性で、その時々に合わせてベストな日本酒選びをしてください。
最近では酒蔵を見学できるように開放している蔵元もあります。酒造りを間近で見ることで親しみがわいてさらに日本酒に興味がもてますよ。日本酒をじっくりと嗜む大人な休日を過ごしてみてはいかがですか?