お香の効果について深く知りたい!人生を変える香りのパワーとは?
自宅でくつろぐ際にお香を焚く方が増えていますが、お香がもたらす効果について正しく知っていますか?お香の役割は、ルームフレグランスの一種として香りを楽しむためだけではなく、実はさまざまな効果があるのです。日本人にとってお香は古くから関わりのある生活に欠かせないアイテム。私たちの心身に与える効果について探っていきます。
2018年07月18日更新
記事の目次
[1]実は知られていないお香の歴史と使われ方
お香の歴史
日本で最も古くお香の歴史が確認できるのは日本書記だと言われています。聖徳太子が摂政を執る推古天皇の時代、淡路島に一本の流木が流れつきました。
島人が薪にして火にくべると何とも言えない芳香が立ち込めます。すぐに都に運ばれ推古女帝に献上されました。聖徳太子はこの類まれなる香木を「沈香」であると教えたと記述されているようです。
実はそれ以前にも香木や香が中国から日本へ伝来していたと言われていますが、仏教とともに祈りの香りとして伝わってきたのです。
中国から伝わってきた仏教とお香の文化は日本でも広まり、主に魔除けや厄除け、虫よけなどの目的で使用されるようになります。
この頃のお香は宗教的な意味合いの強い使われ方をされていたようです。時を経て平安時代になると貴族たちのあいだで新しいお香の文化が形成されていきます。
部屋に香りを漂わせて雅な空間を演出したり、衣装にお香を焚きしめる風雅な習慣です。香木、香料を独自の感性でブレンドしてオリジナルの香りを創造、その香りの優劣を競う香遊びなどが展開されます。
独特な美意識が発展した様子は「源氏物語」や「枕草子」に描写されています。
その後、鎌倉時代になると貴族が嗜好する手間暇かけた香遊びのような形式から、禅宗の影響を受けた武士たちのスタイルへと変化していきます。
この時代から現在の焼香のようなお香文化が形成されていきました。長い歴史のなかで発展してきたお香の文化は宗教的セレモニーから日常生活での香りとの関わりまでさまざまな形で現代に受け継がれてきたのです。
お香が果たす役割とは?
仏教とともに伝わったお香は、宗教的セレモニーの際に欠かせない祈りの香りとして使われていました。
天然由来の高価で希少な香木、植物を原料として作られているものが中心のお香は日本に伝来された後も魔除け、厄除けとしての役割を担っていました。
その場の気を清め、空間を浄化するという高い精神性が宿っているのです。また、実用面では虫よけやニオイ消しの役割を担っていたとも考えられています。
[2]お香がもたらす本当の効果とは?
浄化
お香の本来の役割は空間の浄化。日本人はお酒や塩などで場を清める習慣がありますが、同じようにお香によって空間を浄化することが古くから行われてきました。
芳しい香りはもちろん、火や煙によっても浄化作用は高まります。日常生活の穢れ、邪気、負のエネルギーを払い、空間を清めてくれるというお香の効果。
スピリチュアルな面が強いものではありますが、日本人の精神文化に根差した大切な役割を果たしていると言えます。さらに湿気や悪臭を除湿、消臭するという実用的な効果もあります。
消臭
お香のルーツでもあるインドでは体臭対策として使用されていたと言われているくらい、お香には消臭効果があります。しかし、お香は決して香りの強いものではありません。
また、お香自体に消臭成分は含まれていないため、あくまでも穏やかな香りづけによって嫌なニオイを抑えるという効果だと考えてください。
部屋にお香を焚くことでカーテンやソファなどのファブリック類にニオイが移り、生活臭を抑えることができます。
しかし、お香は火を使い、煙を出すものであるため適度に使うことが大切です。神社仏閣などではお香を焚くのは朝夕の2回というのがだいたいの目安。
換気を行いながら適切に使用することでお香の消臭効果が期待できます。
ストレス低減
現代では、お香を使用する最大の目的がストレスを低減するためと言ってもよいはずです。
お香の原料は植物など天然由来の穏やかな香り成分が中心のため、心を落ち着けて、深い癒しをもたらします。ア
ロマの香りとは違った独特の奥ゆかしい和の香りは瞑想へと導いてくれる静寂の香りとも言えます。
また、お香の炎の温かさ、煙がゆらめく様子によってさらに心を落ち着ける効果が期待できるのです。
お香にもさまざまな香りがあります。伝統的な和の香りはもちろん、アロマにも使われるような現代的な香りなど種類も豊富。
眠りへと誘うようなリラックスした香りから、気分をリフレッシュする香り、幸福感を高める香りなど選び方次第でさまざまな効果を得られるはずです。
虫よけ
夏になると蚊取り線香を焚く家庭がたくさんあります。蚊取り線香もお香の一種。お香には防虫効果もあります。
たとえば白檀(びゃくだん)や龍脳(りゅうのう)、丁子(ちょうじ)、桂皮(けいひ)などのお香は防虫効果が高く香り袋などに用いられ衣類の虫よけとしてタンスに置かれることもあります。
蚊取り線香の香りは好まないという方も自分の気に入ったお香を焚くことで虫よけ効果を得ることはできます。
しかし、庭で活動する場合や特別蚊の多い場所などでは専用の虫よけアイテムを使用しましょう。
赤ちゃんや小さなお子さん、ペットなどがいる家庭ではお香を購入する際に香りに注意して選ぶようにしてください。
開運
お香に開運効果があると言われているのは、浄化作用があり宗教的な儀式に使用されていたことによります。
突き詰めると信じるかどうかという精神的な問題にはなりますが、香りを嗅いだ人の心が癒され、負のエネルギーがら遠ざかることができるようなら開運効果があると言えます。
たとえば玄関やトイレなど生活臭がこもりやすい、”陰”の場所にお香を焚くことで嫌なニオイを抑え、空間を浄化。心地よく過ごせることができるという効果が期待できます。
安眠
仕事や家事などに追われ忙しい、夜遅くまでパソコンやスマホを操作する時間が多いなどの原因から睡眠不足に陥る人が多くいます。
私たちの自律神経には活動するための交感神経とリラックスするための副交感神経があります。
スムーズに眠りに入るには欠かせない副交感神経がうまく働かず、興奮状態が持続、なかなか寝付けないという悩みを抱える方が増えているのです。
お香には心を鎮める鎮静効果、癒しの効果があるため就寝前にお香の香りを嗅いでから眠りにつくと安眠できると言われています。
なかでも「沈香」の成分が入ったお香は鎮静効果に優れ寝つきがよくなると言われています。
恋愛成就
お香と恋愛運の関係が噂されることが多くありますが、これは開運と同じように精神的な問題によります。
心を穏やかに、本来の自分を取り戻し、素直な気持ちを表現しなければならないことから、リラックス効果、癒し効果のあるお香が恋愛をかなえると言われているのです。
心を落ち着ける白檀やアロマにも使われるローズは女性の幸福感を高め自信をもたらしてくれます。
このような香りを嗅ぐことで一種の暗示をかけて気持ちを前向きにさせるという行為が良い結果を生む確立を高めてくれるのです。
[3]日本人に人気の高い代表的なお香の香りとその効果
白檀(びゃくだん)
お香の代名詞とも言える白檀。西洋名はサンダルウッドです。アロマや香水など幅広いフレグランスの成分に使われる有名な香木です。
ビャクダン科の常緑小高木であり紀元前5世紀ころから稀有な香木として使われてきたと言われています。原産地はインドやインドネシア、オーストラリアなど。
なかでもインド南部のマイソール産の白檀は香り高く最高級品質として認知されています。最近では採取量が減少し、主にオーストラリア産の白檀が出回っています。
白檀は漢方やアーユルヴェーダにおいて万能薬として用いられているたいへん貴重な香木。生のままでも香りがするためさまざまな匂いのアイテムに利用されています。
主な効能は喉の痛みや咳などの症状の緩和、鎮静効果や免疫力を高める効果があります。白檀は女性に人気の落ち着いた香り。
瞑想タイムや心を落ち着けて深くリラックスするときに選びたい香りです。初めてお香を試す方にもおすすめの穏やかで上品な香りです。
乳香(にゅうこう)
西洋名はフランキンセンス。ソマリア、エチオピア、ケニア、エジプトなど乾燥地帯に生息する樹木で、この木の樹皮に傷をつけることで樹脂が分泌され、その後乳白色に固まった樹脂を採集して、お香や香水の原料としたのもです。
新約聖書にも登場するなどその歴史は古く、また神聖な香りとして教会でも使われてきました。
香り成分としてのみならず中医薬、漢方薬としても使用されています。乳香には鎮痛効果や殺菌、抗炎症作用もあり、また免疫力を上げる効果もあると言われているためです。
すっきりとしたウッディな香りは不安やイライラを鎮め、心を落ち着けてくれる効果が期待できます。
沈香(じんこう)
東南アジアに生息するジンチョウゲ科の樹木。樹液が固まってできる樹脂が長い年月をかけて化学変化を起こし、独特の香りを漂わせるようになったものが沈香です。
人工的に作ることは難しいとされているため、沈香はほとんどすべてが天然のもの。木が成長するまでに20年、さらに沈香になるまでには50年以上もの月日がかかると言われている稀有な香木なのです。
日本に初めて伝わったお香も沈香だとされていますが、仏教の宗教行事には欠かせない香りとして長い歴史をもっています。
現在使われているお線香にも沈香が使われていることが多くありますが、年々採集量が少なくなり希少価値が高まっています。
伽羅(きゃら)
伽羅は沈香のなかの最高級品。主にベトナム産の沈香で五味(甘、酸、辛、苦、しおからい)を表現する奥深い香りとして珍重されています。
また、一般的な沈香は含油量が4割に満たないのに対して5割を超える含油量があるのです。
50年もかけてできあがる沈香ですが、高品質の沈香は100年から150年もの歳月をかけてできあがると言われ、伽羅も古いものほど高価になります。
貴重な沈香のなかでもなかなか手に入れることの難しい伽羅。奥深い香りを強く放ち、心を鎮め、深い癒しを与えてくれるのがなによりの魅力です。
「神が創った香り」とまで崇められる伽羅は現在ではワシントン条約の2種に指定され、許可なく輸出入することができなくなっています。
金木犀(きんもくせい)
金木犀は芳しい秋の花として日本でも古くから親しまれています。庭先で香る金木犀の香りに秋の訪れを感じるという趣ある情景を思い浮かべる人も多いはずです。
もともとはアロマや香水の香りに使用されることが多い金木犀ですが、和モダンのテイストを取り入れた現在のお香文化では製品化されることが多いようです。
甘く華やかな花の香りが穏やかに漂う金木犀のお香は、リラックス効果が高く、女性に愛される香りの代表的なひとつです。
グリーンティ
グリーンティも最近のお香文化の流行りとともに作られた新しい香りです。日本人がイメージする緑茶というよりは、レモングラスのすっきりと爽やかななかに、ほんのり甘さを感じさせるような香りの商品が主流。
グリーンティには気分をリフレッシュさせ、気持ちを前向きにさせる効果が期待できます。
商品によってほかの香料とブレンドされていることも多いため、自分の好みに合う香りかどうかをよく吟味して選ぶようにしましょう。
ココナッツ
トロピカルテイストのココナッツの香りは海外商品に多い香りです。ココナッツの甘く穏やかな香りには癒しの効果と日本人にとっては南国へ誘われるような非日常の幸福感をもたらしてくれると言えそうです。
比較的手に入れやすい価格帯で販売されていることから人気が高まっています。
[4]香りを楽しむだけではもったいない!お香の効果を知って毎日を変えよう
毎日の生活に香りを取り入れる人が増えるなか、お香は日本人にとってなじみやすいものとして広く受け入れられてきました。どこか奥深く神秘的な香りを放つお香には、香りを楽しむだけではなくなまざまな効果があることがわかりました。時には人生を大きく変えるほどの力になってくれる香り。前向きなパワーを取り込んで、より質の高い日常生活を送りましょう。