身近に使われているホルムアルデヒドは危険!?どんなニオイ?除去方法から対策まで一挙公開
住宅や家具から嫌なニオイがする。それってもしかしてホルムアルデヒドが原因かも。ホルムアルデヒドはニオイだけでなく健康被害もある危険な物質です。今回はそんなホルムアルデヒドのニオイの特徴や除去方法、対策についてご紹介していきます。
2018年04月01日更新
[1]ホルムアルデヒドとは?
ホルムアルデヒドは私たちの身近で使われている
先日ニュースで100円のマニキュアからホルムアルデヒドが検出され販売中止になったのを覚えているでしょうか。また子ども用のパジャマからも規定量を超えるホルムアルデヒドが検出されたとして自主回収されたニュースもありました。
ホルムアルデヒドは水素、炭素、酸素からできていて自然界に普通に存在している物質です。住宅の壁や天井、フローリングなどの合板にも接着剤としても使用されています。また電子タバコの一部や生物標本の腐敗を防ぐために使われているホルマリン液もホルムアルデヒドを水に溶かしたものです。近年PM2.5の中にもホルムアルデヒドが含まれていることが確認されホルムアルデヒドは特別ではなく私たちの生活に密接に関わっていて身近にある物質だということが分かります。
さらにホルムアルデヒドは水や水蒸気、空気に溶けやすい性質があります。汚染されたものの近くに別の物を置いておくだけで簡単にホルムアルデヒドが移ってしまいます。つまり新品の家具などの側に衣類が置いてあるとその衣類もホルムアルデヒドに感染してしまうので注意が必要です。
ホルムアルデヒドはどんなニオイがするの?
ホルムアルデヒドは常温では無色透明で目には見えませんが独特のニオイがあります。個人差はありますがツンとくる酸っぱいニオイはホルムアルデヒドの可能性があります。不快感のあるニオイでずっと嗅いでいると体調が悪くなることもあります。
ホルムアルデヒドはどんな影響があるの?
ホルムアルデヒドは私たちの粘膜を刺激し咳や鼻水、喉が渇く、目がチカチカする、めまいや頭痛などといった症状を引き起こします。また住宅に使われたホルムアルデヒドを日常的に触れたり吸い込むことで「シックハウス症候群」となり集中力の低下や不眠、だるさ、微熱や腹痛、皮膚病やアレルギー反応、さらには癌や白血病を引き起こします。人によって受け入れることのできる許容量は異なりますが大人でも刺激があるため大人の皮膚の半分と言われている子どもへの影響ははかりきれません。
さらに日常的に長時間ホルムアルデヒドを触れたり吸い込むことで慢性毒性中毒症状となり過剰な反応が出て症状が悪化していきます。日本では薬事法によって化粧品への配合が禁止されている他、家庭用品においても基準値の設定、建築資材での使用も厳しく制限されるようになりました。しかしインターネットなどで海外の製品などを手軽に購入することができるようになり注意が必要です。
[2]ホルムアルデヒドのニオイを除去する方法
ツンとくる刺激臭を取り除くにはその原因となっているホルムアルデヒドを除去することで改善することができます。ホルムアルデヒドを除去する有効な方法をみていきましょう。
こまめな換気
一番手軽で効果があるのが換気です。窓を開けたり換気扇を回したりすることで室内のホルムアルデヒド濃度を低下させることができます。換気を継続的に行うことでホルムアルデヒドは少しずつ少なくなっていきます。
住宅からのニオイ
住宅は私たちが長時間過ごす場所。住宅から刺激臭がする場合には注意が必要です。1980年代から90年代にかけ、ホルムアルデヒドを使った建築用材で住宅や公共施設がたくさん作られました。それにより健康被害が広がり2003年に改定建築基準法で常時換気できる設備の位置づけやホルムアルデヒドを発散する内装仕上げの面積を制限する、天井裏や床下などの収納部材内部の制限など規制が行われました。
さらに2015年には建築資材への使用が厳しく制限されるようになりました。よって2015年以降に作られたりリフォームしたりした家は安心ですが2014年以降の家で風通しが悪い部屋などは注意が必要です。また新築やリフォームした場合には、すぐには入居せずしばらくたってから入居するのがおすすめです。調査の結果、完成から約3ヶ月後にはホルムアルデヒド濃度がかなり減少していることがわかっています。その際にもこまめに換気は行いましょう。
換気以外の対策としては、観葉植物を置くのも有効です。1980年、NASAの研究所で植物に密閉空間のホルムアルデヒドを除去する効果があることが発見されました。
除去効果が高いと言われている観葉植物は、ネフロネピスです。ネフロネピスはシダ植物で空気清浄の効果があるといわれています。比較的お手入れのしやすいアイビーもおすすめです。アイビーはオールシーズン育てやすく手に入れやすい植物。空気清浄効果も高いのでおすすめですよ。
タンスなどの家具からのニオイ
安価で購入しやすい海外製のタンスや家具は要注意です。安価で購入できても健康被害があれば意味がありません。タンスや家具などが外へ運べるのならお天気が良い日に直接日光に当て日干しするのが効果的です。また活性炭や細かく砕いたピーナッツの殻にもホルムアルデヒドの吸着効果があり棚の内部に置くと効果があります。また置いたり吊るすことができタンスや押入れなどでホルムアルデヒドを除去できるものやファブリック系のインテリアなどにも直接ふりかけることができるホルムアルデヒド除去スプレーなどドラッグストアを中心に販売されており活用するのもおすすめです。
洋服など衣類からのニオイ
ホルムアルデヒドは、布の縮みを防ぎハリを出しパリッと仕上げることができるため、布の加工にも使われます。特に子ども服は厳しい基準がありベビー服はビニール袋で密閉されて販売され感染を予防しています。
例えニオイがなくても新しい服を着用する時は必ず洗濯するようにしましょう。袋詰めの衣類であってもどこの過程で感染するかは分かりません。ホルムアルデヒドは水に溶けやすい性質のため、水洗いすることでほぼ取り除くことができるといわれています。
[3]日頃からホルムアルデヒド対策を行おう
塗料や接着剤を使用する時は換気
ホルムアルデヒドは空気に溶けやすい性質のため、ホルムアルデヒドが含まれている塗料や接着剤を使用する際には換気をしながら行いましょう。窓のない部屋では換気扇をまわし肌の露出を抑え、マスクやゴーグルで口や目を保護するとなお良いでしょう。
建築用材を燃やさない
建築資材への使用が厳しく制限される前の古い建築用材は取り扱いに注意が必要です。古い建築材料にはホルムアルデヒドが含まれた塗料や接着剤が使用されている可能性が高く燃やすことで有毒なガスを発生させます。このことから古い住宅や施設での火災においても有毒ガスが大量に発生する恐れがあります。不用意に煙を吸わないようタオルで口を塞ぎ姿勢を低くして非難しましょう。
衣類やキッチン用品はまず水洗い
衣類だけでなく新しい食器や調理器具にもホルムアルデヒドが含まれている可能性があります。使用前にはまず水洗いしホルムアルデヒドを除去してください。
防虫剤や芳香剤の使用はほどほどに
ホルムアルデヒドには殺菌や防腐剤の効果があり、防虫剤や芳香剤にもホルムアルデヒドが使用されている可能性があります。特に芳香剤はホルムアルデヒドの嫌なニオイを除去したくて使用している方も多いかもしれませんがこれはかえって逆効果な場合もあります。たくさん使用することでホルムアルデヒドを多く放散させずにほどほどの使用をおすすめします。
新築やリフォームする時は建材に注意
家を新築やリフォームする時にはホルムアルデヒドが含まれていない建材の使用がおすすめです。近年では無添加の家など建材にこだわっている業者もありますので、そういった面にも注意して業者を選ぶようにしましょう。
ホルムアルデヒドの表記を確認する
ラベルやカタログにF☆☆☆(Fc1、E)といった記号が表記されることがあります。これはホルムアルデヒドを表しホルムアルデヒドの放散量を示しています。
少ないものからF☆☆☆☆~F☆のランクに分けられていてホルムアルデヒドの放散量を確認することができます。ただしF☆☆☆レベルの放散濃度が低い材料を使っていてもその材料をたくさん使った商品であればホルムアルデヒドも多く放散され、逆にホルムアルデヒドの放散量レベルが高くても使用量が少なければ放散されるホルムアルデヒドの量は少なくなることからあくまでも目安でこれらの表示だけでホルムアルデヒドの放散量を推し量ることは難しいのが現状です。
日常生活でホルムアルデヒドは室内濃度0.08ppm以下に
ホルムアルデヒドの刺激臭を感じる濃度は0.08ppmからといわれています。3ppmで目や鼻などへの刺激、4~5ppmで涙や、呼吸器への不快感が生じます。50ppm以上になると、肺炎などを起こし死亡することもあるといわれています。よって厚生労働省では生活空間の中でホルムアルデヒドは室内濃度0.08ppm以下に抑えておくことが望ましいという指標を作成しています。
これは室内の濃度を測定した30分間の平均値で室内濃度がたとえ0.08ppm以下であっても換気をせず室内を締め切った状態でいると濃度は上昇することが分かっています。新築やリフォームした時、新しい家具を購入した時、これらの購入時期が迎える最初の夏は室内濃度が上昇しやすい傾向にあります。注意して換気を行いましょう。
[4]ニオイだけでなく健康被害もあるホルムアルデヒド
ホルムアルデヒドは刺激臭で不快感のあるニオイです。そのニオイをどうにか除去したいと考えると思いますがホルムアルデヒドには毒性があり単にニオイだけを取り除くのではなく健康被害に合わないよう防ぐことが大切です。日頃からホルムアルデヒドを使用していない製品を選んだり換気や水洗いを行ってホルムアルデヒドに汚染する前に予防することが何よりも大切です。危機意識を高め日頃から注意して生活できるといいですね。