発酵バターは魅惑の風味!普通のバターとの違いや手作りレシピをご紹介
バターは私たちの生活に密接に寄り添っていて、多くの食品に使用されています。その中でも、今話題を呼んでいる「発酵バター」をご存知でしょうか。知らなきゃ損なその魅惑の風味や、普通のバターとの違い、その作り方などをご紹介します。
2020年03月16日更新
記事の目次
[1]発酵バターとは?
密かに人気の発酵バターですが、一体どのようなものなのかご存知でしょうか。
発酵しているバターのことですが、いまいち想像がつきにくいですよね。まずは発酵バターの歴史を紐解き、普通のバターとの違いを見ていきましょう。
発酵バターの始まりとは
バターの歴史はとても古く、発祥の地はヨーロッパと言われています。しかし実際のところそのルーツは定かではなく、紀元前4千年にイスラエルで作られていたのではと思わせる文献なども残っています。
バターを作り始めた頃はまだちゃんとした技術がなかったため、”勝手に発酵していた”のです。
そのため、バターの始まりは発酵バターと言っても過言ではありません。なかなか日持ちもしないので、扱うのが大変な食品だったようです。
しかし様々な用途に使用しながら、ヨーロッパでは「発酵バター」が主流となっていました。
日本でのバターの歴史は4世紀から6世紀頃に中国から持ち込まれたとされています。しかしその時は浸透せずに、1度日本の歴史が途絶えてしまいます。
その後バターが本格的に広まったのは、酪農が普及しはじめた明治維新の頃と言われています。
その頃には、すでにバターを作る技術も進歩し、勝手に発酵してしまうことがなくなり「非発酵バター」が誕生していました。そのため日本では非発酵バターが定着していったのです。
しかし発酵させる技術も誕生したことで、今新たに発酵バターの魅力に注目が集まっています。
昔の発酵は傷んでしまうイメージでしたが、今は発酵させることでより風味を増したものが作れるようになったのです。
発酵バターと通常のバターとの違い
通常のバターと発酵バターとの違いは、その名の通り発酵させているか、発酵させていないかです。通常のバターはクリームを煮詰めてかき混ぜて作られます。
発酵バターはそこに乳酸菌を入れて、時間をかけて発酵させます。発酵バターの作り方は様々ありますが、通常のバターに乳酸菌を練り込む製法ですと、あまり風味が出ません。
クリームの段階で乳酸菌を混ぜることで、発酵バターならではの味や香りが作られるのです。
バターの始まりはすべて発酵バターだったわけですが、昔の技術ですと季節や地域によって味が変わってしまい、最悪の場合腐らせてしまうなど安定した品質が保てませんでした。
その後安定して発酵バターが作れるようになっても、発酵させることが手間となり、だんだんと通常の非発酵バターが主流となっていました。
しかし、そのひと手間のおかげで、実は通常のバターよりもコク深い風味のあるバターになるということも分かり、お菓子などでは特に重宝されるバターとなったのです。
[2]発酵バターの魅力とは
日本ではほとんどなじみのなかった発酵バターですが、最近様々な企業が発酵バターの開発に取り組み、新商品として発売されています。
それは発酵バターには多くの魅力がつまっているからです。次は、発酵バターにどのような魅力があるのか見ていきましょう。
バターの芳醇な香りを感じることが出来る
牛乳のクリーム成分から作られているバターは、動物性の脂であることからコク深い香りを楽しむことが出来ます。
それを発酵させた発酵バターはさらに独特な風味となり、よりコク感じることが出来ます。
この芳醇な香りは、とくに焼き菓子などに使用すると、高級な味を演出することが出来ます。
また発酵バターを作る製法は様々あるので、メーカーごとに個性が出やすいのも特徴です。自分のお気に入りの発酵バターを探すのも楽しいですよ。
腸内環境を整えてくれる
乳酸菌が含まれている発酵バターは、腸内環境を整えてくれることが期待できます。便秘気味の方などには嬉しい効果ですね。
また、ピロリ菌を減らす効果があるとも言われており、胃潰瘍の予防などにも役立ちます。
もちろんバターの食べ過ぎは良くないですが、上手に食生活に取り入れることで、日頃から健康に気を遣うことが出来るでしょう。
美容効果も期待できる
バターは脂というだけのイメージの方もいらっしゃるかもしれませんが、実は多くの栄養素が含まれている食品です。
例えば現代人に不足しがちなビタミンA、ビタミンB群などです。これらには動脈硬化を予防したり、お肌などに嬉しい美肌効果も期待できます。
他にもカルシウムやビタミンDやEなど、身体のバランスを保ってくれる栄養素の宝庫となっています。
[3]発酵バターを手作りしてみよう!
発酵バターには特別に必要な材料などはなく、普通のバター作りと同じで、そこにひと手間加えるだけで作ることが出来ます。
そのため、実は家庭でも作ることが出来るのです。用意するものはほとんど家にあるものでまかなえます。
自分で作るとより美味しさを実感できますので、ぜひチャレンジしてみてください。
用意するもの
<材料>
・生クリーム 200ml
発酵バターの原料は牛乳なのですが、市販の牛乳はホモジナイズド処理がされており脂肪分が分離しないようになっているためクリーム成分だけを取り出すことが出来ません。
そのため、ご家庭で発酵バターを作る時は生クリームを使用するようにしましょう。また、脂肪分が40%以上のものを選ぶと良いバターになりやすいですよ。
・ヨーグルト 大さじ1
乳酸菌が必要となりますので、ヨーグルトを使用します。発酵させることが出来るなら、どのようなヨーグルトでも大丈夫です。
乳酸菌の寿命は短いので、賞味期限はしっかりと守り、なるべく新しく未開封のものを使用しましょう。
<道具>
・泡立て器(ハンドミキサー)
・ボウル
・ざる
・キッチンペーパー
作り方
1)生クリームのパックをあけて、種となるヨーグルトを加えてよく混ぜ合わせて、パックの口をクリップでとめます。
2)次に発酵クリームを作っていきます。40℃のオーブンで6時間発酵させ、冷蔵庫で3日間程寝かせます。
ここに時間がかかってしまいますが、もしヨーグルトメーカーを持っていたらそちらの方が簡単です。
ヨーグルトメーカーなら7時間~10時間ほどを目安に発酵してみてください。発酵時間が長いと酸味が強いものになります。
3)発酵クリームが仕上がったらバターを作っていきます。ボウルに発酵クリームを入れ、泡立て器で泡立てていきます。
手動の泡立て器でも出来ますが、かなり労力を使うので電動のハンドミキサーがおすすめです。だんだん硬くなり、色も黄色みがかかってきます。
さらに混ぜ合わせていくとぽろぽろの固形物と水分に分かれてきます。この固形物が発酵バターです。この分離の作業は、乳脂肪分が固体の状態でないとうまくできません。
時間はかかってしまいますが、攪拌するための道具がない時には清潔な瓶に入れて、バターのかたまりになるまで振り続けるという方法もあります。
4)次に発酵バターをざるでこします。こしたものを2,3枚のキッチンペーパーで包み、手でギュッと絞ります。
一度分離した発酵バターと水分は混ざり合いませんので、力を込めて絞ってしまいましょう。
余分な水分がなくなるまでキッチンペーパーを変えながら繰り返してください。
ちなみにこの水分は乳清(ホエイ)と呼ばれるものです。脂肪分が取り除かれているので通常の牛乳より低カロリーですし、乳たんぱく質、ミネラル、ビタミン、乳糖など栄養が豊富に含まれています。
日本では売られていることは少ないのですが、海外では普通に飲み物として売られているので、捨てずに飲んでみたり、料理に使用してみるのもいいでしょう。
5)しっかりと水分を切り終わったら、発酵バターをまとめ、冷蔵庫で冷やし完成となります。
現段階では無塩発酵バターですので、塩を加えるなら発酵バターをまとめる時に入れてください。
[4]発酵バターの使い方は?
発酵バターの魅力や、自分での作り方が分かりました。では、その発酵バターの使い道はどのようなものがあるのでしょうか。おすすめの使用方法をご紹介いたします。
シンプルにパンに塗る!
発酵バターはいつも食べているパンに塗るだけでグンとおいしいパンに変えてくれます。
バターの香りが好きな方には、ぜひ1度はこのシンプルな食べ方をしてほしいです。
パンだけでなく、ご飯に乗せて醤油を垂らすような食べ方も、香りを感じることができ、食欲をそそります。
クッキー、パウンドケーキなどのお菓子に
バターと言えば洋菓子を想像する方も多いのではないでしょうか。バターはお菓子作りには欠かせない材料です。
バターには3つの性質があり、柔らかく伸びる性質はパイなど、サクサクにすることが出来る性質はクッキーなど、空気を抱え込むことが出来る性質はスポンジケーキなどにピッタリなのです。そのためお菓子作りに最適な材料です。
その中でも発酵バターを使用するのは、シンプルな焼き菓子がおすすめです。発酵バターの芳醇な香りで、高級お菓子の味を作ることが出来ます。
発酵バターでフィナンシェやパイ作りにチャレンジしてみてください。
バター炒めでお酒のあてにも
発酵バターを使ってお酒のおつまみを作るのもおすすめです。香りの良さを引き立たせるために、バター炒めはいかがでしょうか。
好きな食材を発酵バターで炒め、塩コショウで味付けするだけでフランス料理のような上品な味わいになります。
ホウレンソウやキノコのバター炒めは定番で、ビールや焼酎、ウイスキーにも合います。醤油を垂らしてバター醤油にしても、こうばしい香りが増してお酒が進みますよ。
[5]発酵バターの保存方法
バターは18℃を超えると溶け出しますので、それ以下の温度で保存しなければなりません。
また、品質の劣化や保存期間を少しでも長くしたいのなら2℃から6℃で保存するようにしましょう。
未開封なら3ヶ月から半年ほど持ちますし、開封していても2週間ほど持ちます。そして、すぐに使用する予定がないのなら、冷凍することもできます。
発酵バターを1度に使用する分量に小分けにして、ラップにピッタリと包みます。それをフリーザーバッグに入れて冷凍しましょう。
使用する時は自然解凍するか、凍ったままでも使用することが出来ます。凍らせることで、1か月程持たせることができるようになります。
[6]リッチな気分になれる発酵バターで、ワンランク上の食卓を
日本ではあまり馴染みのなかった発酵バターですが、その芳醇な風味とコクの深さが認知され、今ではレストランや洋菓子店で使用されたり、家庭向けの商品も多く発売されています。
作る時にはひと手間かかる発酵バターですが、手に入れてしまえばあとは普通のバターの代わりとして、同じように使用することが出来ます。まだ食べたことがない方は、ぜひそのリッチな味わいを試してみてください。