タバコで体臭がきつくなる!?その原因と対策を徹底分析
タバコの嫌なニオイに悩まされたことはありませんか?服や髪についたタバコのニオイがなかなか取れない、部屋にニオイが染みついてしまったなどタバコを吸わない方はもちろん、愛煙家の方でさえタバコの強烈なニオイに困らされることも多くあるようです。実はタバコの煙が嫌なニオイを発するだけではなく、タバコを吸うことで体臭がきつくなることがあるのです。もちろん禁煙が一番の解決法、でもなかなかやめられないという方や、家族や友人に禁煙をすすめたいという方に、タバコによって体臭がきつくなる原因と対策を詳しく紹介します。
2024年02月27日更新
記事の目次
タバコは女性の大敵?体臭とタバコの関係
実は、タバコと体臭は密接な関係にあるということをご存知でしょうか。
タバコに含まれるニコチンには、交感神経を刺激して汗腺を活性化させる作用があります。タバコを吸うことで交感神経が刺激されると、汗の量が増えて体臭が強くなります。
喫煙は特に、ワキガの原因となるアポクリン汗腺の分泌を促進するため、ワキガのニオイが強くなる可能性が高いのです。
また、タバコの煙に含まれる一酸化炭素は、体内に吸収されると皮脂を酸化させます。皮脂が酸化すると、加齢臭の原因となるノネナールの生成を増加させることに。
さらに、タバコは肝臓の機能を低下させます。肝臓は、体内の老廃物を排泄する重要な役割を担っており、機能が低下すると、老廃物が体内に蓄積して体臭の原因となるのです。
女性を美から遠ざけるタバコとは?
喫煙のリスクや受動喫煙の害について広く知られるようになりタバコを嗜好する人は減ってきているようですが、男女ともに愛煙家はいまだに多く存在しています。喫煙者は覚醒作用やリラックス作用などを求めていますが、タバコは4000種以上もの化学物質で構成され、そのうち約200種は有害物質、50種類以上もの発癌物質が含まれていると言われています。
3大有害物質として知られる「ニコチン」、「タール」、「一酸化炭素」はその危険性も広く知られているはずです。特にニコチンには強い依存性があり、自分の意志だけでやめることができなくなってしまう恐ろしさがあります。また喫煙者本人のみならず周りの方々への受動喫煙の害という大きな問題も抱えているため、若い方が安易にタバコを試してみることは避けたいものです。さまざまなリスクがあるタバコですが、女性にとって美容の観点からも多くの害があります。
タバコに含まれるニコチンの影響で血管が収縮、肌に十分な酸素が届かず、さらにビタミンCが壊されてしまうことでビタミンC不足に陥ってしまうのです。このためシミの原因となるメラニン色素の生成を抑制したり、肌に必要なコラーゲンを作り出す助けができず、シワやシミ、くすみ肌になりやすくなってしまいます。
タバコを長年吸い続けることで年齢相応以上の老化を招いてしまう危険が大きいようです。また、タバコにはニコチンの吸収をよくするためのアンモニアやスカトール、アセトアルデヒドなどの悪臭成分も含まれていることをご存知でしょうか?しかも喫煙者はタバコの強烈なニオイに日常的にさらされることで嗅覚疲労をおこし、悪臭を感じにくくなると言われています。
さらにタバコを吸い続けることで体臭がきつくなるとも言われています。美しさを手に入れたいと願う女性にとってタバコは”美の大敵”であることは間違いなさそうです。
タバコで体臭がきつくなる6つの原因
発汗量が増加してしまう
脳の自律神経系のなかでも特に複雑で精巧な総合中枢と言われる視床下部。タバコに含まれる”ニコチン”にはこの視床下部に存在する体温調節中枢を刺激することで汗を分泌させる作用があります
このため喫煙によって通常よりも発汗量が増え、この汗を栄養分とする雑菌が多く繁殖してしまうことで嫌なニオイを発してしまうのです。また喫煙者の肺から入り、血液に溶け出た有害物質が体内をめぐることで汗自体のニオイもタバコ臭を漂わせ、きつくなると言われています。
皮脂の酸化
タバコを吸うことで交感神経が過剰に刺激されてしまうことがあります。さらに抗ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌も促されることで皮脂の分泌が増加。また、この過剰な皮脂の分泌を抑制すべく働くはずのビタミンCは喫煙により大量に壊されてしまうために正常な皮脂分泌をコントロールすることが不可能になってしまうようです。
こうして皮脂分泌量が増加した状態でさらに悪い方向へ進みます。体内ではタバコに含まれる有害物質を処理する際に”活性酸素”を発生させます。この活性酸素が皮脂を酸化させ、嫌なニオイの原因となる”過酸化脂質”という物質を作り出してしまうのです。過酸化脂質は皮脂腺などから分泌され不快な体臭を生み出してしまいます。
肝臓機能の低下
タバコに含まれるニコチンは通常、体内に入ると肝臓で解毒されます。喫煙習慣がある人の場合肝臓の解毒作用が常に働き続けることとなり大きな負担となってしまうのです。また喫煙によって、血液中の酸素を運ぶ作用を邪魔する一酸化炭素が増えてしまい、酸素不足のため肝機能低下を招く恐れがあります。
解毒作用とともに悪臭を無臭化する働きのある肝臓が機能低下に陥りニオイを処理しきれないということになると汗、呼気に混ざり嫌な体臭、口臭を発生させてしまうことがあります。
血行不良
タバコの代表的な有害物質であるニコチンは血管を収縮させる作用があるので、身体の血液循環が悪くなってしまいます。また同じく有害物質である一酸化炭素は血管を傷つけ血液の流れを滞らせてしまうのです。こうして血流の悪くなった状態では酸素を全身に巡らせることができなくなってしまいます。
私たちの身体は酸素を使いエネルギーを生み出していますが、酸素が足りていない状態でエネルギーを作り出そうとすると乳酸やアンモニアが発生してしまいます。これらは汗腺を通り汗として放出され、悪臭として感じられることになってしまします。
口臭がひどくなる
厳密には体臭とは言えませんが、身体全体からのニオイという観点でみるとタバコが原因の口臭によって”ニオイがきつい人”というレッテルを貼られてしまうことがあります。タバコの煙には”ニコチン””タール””酢酸””アンモニア”などの悪臭を生み出す成分が含まれています。
これらの成分が口のなかの粘膜に付き、口臭として不快なニオイを発生させてしまうようです。また、ニコチンの害により血液循環が悪くなることで唾液の分泌が抑えられてしまいます。殺菌作用のある唾液が少なくなることで雑菌が増加し、よりいっそう口臭をきつくしてしまうのです。
味覚が鈍くなる
間接的な原因ではありますが、タバコを吸い続けることよって味覚が鈍くなっていくことがあります。ニコチン、タールなどの有害物質が舌の表面にある味を感じる”味蕾”を麻痺させてしまうと言われているからです。そのため、喫煙者は調味料や脂肪の摂取が増える傾向があり体臭をきつくしてしまうことがあるようです。
タバコと体臭に関連するよくある質問
これまでタバコと体臭にまつわる話をご紹介してきました。ここではタバコと体臭に関連するよくある質問にお答えしていきます。タバコを吸う方が一度は気になったことのある内容になっているので、ぜひチェックしてくださいね。
タバコを吸うと体臭が変わる?
タバコが口臭の原因になることは、もはや常識ですよね。そして、ご紹介してきたように体臭への影響が大きいことも事実です。
タバコの煙には4,000種類以上の化学物質が含まれており、これらの物質が体臭に影響を及ぼします。 タバコには体臭を悪化させる様々な原因があるため、タバコを吸うと体臭は変わると言えるでしょう。
タバコの煙は衣服や髪に付着して独特のニオイを発するため、周囲からはタバコのニオイそのものが体臭と感じられることもあります。
タバコとワキガの関係は?
タバコを吸うことでワキガになる、またはワキガがひどくなることはあります。
人の身体にはアポクリン汗腺とエクリン汗腺という2種類の汗腺があります。アポクリン汗腺は脇や耳の穴、デリケートゾーンなど身体の一部に存在しており、アンモニアや脂質、糖質などを含み、粘度のある汗を出すことが特徴です。
この汗自体は無臭ですが、皮膚の常在菌がこの汗に含まれる栄養分を分解することで、ニオイが発生。これがワキガ臭と言われる強烈なニオイになります。
エクリン汗腺はさらっとした水分の汗を出す汗腺で、全身に分布しています。
タバコが及ぼす影響として考えられるのは、まずニコチンが交換神経を刺激すること。そのせいでアポクリン汗腺の一部に作用し、汗の分泌を活発にさせてしまって、ニオイが強くなるということがあります。
また、ニコチンは視床下部を刺激し、体温調節中枢をにも働きかけ、エクリン汗腺からの発汗を促してしまいます。
このためアポクリン汗腺からの汗の量が増えないとしても、エクリン汗腺の汗が多くなることで細菌分解が活発化。
ニオイの飛躍性も高まり結果的にワキガ臭がきつくなるようです。
サウナが体臭予防になるの?
タバコによって体臭がきつくなる原因を考えると、サウナは間接的に体臭を抑えてくれることがあります。
サウナの効果は、主に次の4つです。
まずはサウナで温まることで血行促進。
次にサウナに入ったあとに水風呂などに入る入浴法をすることで、副交感神経と交感神経を交互に刺激し、自律神経のバランスを整えられます。
また汗を大量に出すことは、デトックスにも効果的。
サウナで温まれば冷え症も改善され、内臓の働きもよくなります。
しかしながら、サウナは根本的な解決ではありません。適切な入浴法を守らないと、身体に負担をかけてしまい健康を損ねることも。
体臭を気にするのであればまずは禁煙し、サウナはリラックスのためという気持ちで利用すると良いでしょう。
アンモニア臭を消すにはどうする?
タバコには数種類の悪臭成分が含まれています。代表的な成分がアンモニアです。
喫煙は、糞尿の悪臭にも含まれるアンモニア臭を自ら吸引してしまっている行為だと考えると恐ろしい気分になりますね。
しかしタバコの強いニオイを嗅ぎ続けると、嗅覚が麻痺し、強烈なニオイを感じにくくなってしまうのです。
アンモニア臭はアルカリ性の悪臭なので、酸性の成分で中和すれば、ニオイを消せます。タバコを吸う部屋には、お酢を置いておくとよいでしょう。服や髪についたニオイは、消臭剤などを利用してニオイを和らげる方法があります。
喫煙により体臭や口臭としてアンモニア臭を感じる場合は、デオドラント製品やマウスウォッシュなどでケアすれば、ニオイを軽減できます。
ただし、強烈なニオイを完全に抑えることは難しいでしょう。
タバコで体臭をきつくさせない6つの対策
禁煙
喫煙歴が長いほどやめることが難しいタバコ。ニコチンの強い依存性によって意志のちからだけで禁煙することは想像以上に厳しいことかもしれません。しかし、禁煙グッズ、禁煙外来などアイテムや専門家の助けを借りながらも禁煙することが根本的な解決への唯一の方法です。いざ禁煙を行った場合、汗から漂うニオイなど体内に残ったタバコ臭が消えるまで1、2ヵ月はかかると言われています。
また日常的にタバコを吸っていた方は部屋や車などの生活空間にもタバコのニオイが染みついてしまっていることがあります。生活空間の消臭も同時に行いタバコのニオイを完全に取り除くように取り組みましょう。
活性酸素を抑える
タバコを吸うことで体内に大量の活性酸素が発生してしまいます。これにより皮脂の酸化やニオイ成分であるアルデヒドを分泌させてしまい体臭がきつくなります。禁煙が難しい場合にはできるだけ活性酸素を抑える食生活をすることが大切です。具体的にはビタミンCやポリフェノールなどの抗酸化作用のある食品を意識的に摂取するようにしましょう。
血行促進
喫煙により血流が悪くなるお話をしましたが、血液循環の改善にはこまめに運動をすることや湯船にゆっくりつかるなどの入浴法を見直すことが大切です。毎日の習慣として生活に取り入れることで徐々に良くなってくるはずです。
ニオイケア
ニオイの主成分であるアンモニアを始め、いくつものニオイ成分が絡み合いタバコ臭を放っています。根本的な解決策ではなくついてしまったニオイをケアする方法を紹介します。
・服
もっとも簡単な方法は、服を脱いだ後にすぐにしまわず干しておくことです。衣類の傷みなどの心配がないようでしたらできるだけ外に出しましょう。風通しの良い日陰に数日間干しておくと、強いニオイもほとんど気にならなくなるようです。また、洗濯できるものなら、重曹など消臭効果に優れたアイテムを使いよく洗います。洗濯できない服はアイロンのスチームや蒸気を当てるなど繊維の奥に入り込んだニオイに働きかけることがよいようです。さらに衣類用消臭スプレーなども取り入れてみましょう。
・髪
タバコのニオイがつきやすい髪のニオイケアはしっかり洗髪することが重要です。ニオイが気になる日はできるだけ髪を二度洗うダブルシャンプーがおすすめです。外出先でのニオイケアには、携帯用のヘアミストなど髪用の消臭・フレグランスアイテムを活用しましょう。
・口臭
歯磨きをこまめに行う、マウスウォッシュやマウスミストのアイテムを利用して口臭を抑えます。また口のなかが乾燥し、唾液の分泌が少なくなることでも口臭はきつくなるのでまめに水分補給を行うこともポイントです。
タバコが及ぼす体臭への悪影響を知ることが美しさへの第一歩!
タバコが身体に及ぼすさまざまな害、なかでも美容の大敵となる体臭との関係について正しく理解することで、美しさに一歩近づいたと言えます。よりキレイになりたいと願う女性ならすぐにタバコとの付き合い方を見直そうと思うはずです。
今は、禁煙外来などで飲み薬などを処方してもらえます。禁煙外来を利用して一度禁煙にトライしてみるのもいいかもしれませんね。
(工藤内科医師/工藤孝文先生)